沖縄・伊良部町、「自衛隊誘致」白紙撤回を決議

25日、沖縄県伊良部町の臨時議会は、下地島空港への自衛隊誘致決議を「白紙撤回」する決議を可決しました。

前夜に開かれた住民説明会には、町民の約半数が参加。自衛隊誘致派の議員が、その場で「白紙撤回」を約束せざるを得なかったそうです。
政府が、自衛隊と米軍との基地共同使用をうちだしているいま、自衛隊基地を誘致すれば、米軍がくっついてくることは火を見るより明らか。沖縄本島の基地被害を身近に知る住民たちが、それに徹底的に反対したのも当然でしょう。

自衛隊誘致を撤回 伊良部町議会 合併も一転可決(琉球新報)

自衛隊誘致を撤回 伊良部町議会 合併も一転可決

 【伊良部】伊良部町議会(友利浩一議長)は25日午前、臨時議会を開き、下地島空港への自衛隊訓練と駐屯誘致に反対する議案を審議し、賛成16、反対1の賛成多数で可決した。18日にいったんは否決した新市「宮古島市」設置の5市町村合併議案については午後1時すぎから審議に入り、賛成13、反対4の賛成多数で可決。これを受けて4市町村による新たな合併推進協議会(会長・伊志嶺亮平良市長)は、5市町村で合併を申請することにしており、宮古の合併は当初の枠組みで再スタートすることになる。
 自衛隊誘致決議については、24日夜に同町中央公民館で開かれた住民説明会で提出者の豊見山恵栄議員らが「白紙撤回」の議案審議を明言した。臨時議会の開かれたこの日、池間正栄議員が下地島空港への自衛隊訓練と駐屯誘致に反対する議案を提案した。
 池間議員は提案理由で「24日の住民説明会での住民の意思を尊重することにした」などと説明。特に反対意見などもなく、圧倒的な賛成多数で議案は可決された。
 傍聴席には、前日の説明会を主催した「自衛隊誘致に反対する住民委員会」の福島正晴委員長ら多数の住民が詰め掛け、議会の審議を見守った。傍聴者には開会直後の休憩で1時間半ほど議会が停止したことへのいらだちもみられたが、誘致反対議案が圧倒的多数で可決されると、一斉に歓声が上がった。
 自衛隊誘致から一転して議会が反対の立場を表明したことについて、浜川健町長は「議会が住民の意思を尊重したので必然の結果だと思う。4市町村長に報告したい」と喜んだ。
[琉球新報 更新 2005年3月25日 金 14:22]

↓こちらが、24日夜の住民説明会の様子を伝える琉球新報の記事。自衛隊誘致派の議員たちが、その場で「白紙撤回」を明言せざるを得なくなった様子が伝わってきます。

「住民無視」と怒り 説明会場は自衛隊反対一色 伊良部町(琉球新報)

「住民無視」と怒り 説明会場は自衛隊反対一色 伊良部町

 【伊良部】「住民をばかにするな」―。伊良部町議による下地島空港への自衛隊誘致決議に関する住民説明会が行われた24日夜、会場となった伊良部町中央公民館には、参加した町民らの怒りの声が何度も響き渡った。自衛隊誘致賛成派の議員は住民を納得させる説明ができず、ついに25日の議会で決議の「白紙撤回」を行うことを明言。宮古圏域を巻き込んだ誘致問題は、地元伊良部町民が立ち上がったことで新たな局面を迎えた。
 開会時間の同日午後6時すぎ、会場の入り口には子供からお年寄りまで多くの住民が詰め掛けて長蛇の列ができた。会場内は自衛隊誘致に反対する多くの住民の熱気が充満し、登壇を前にした議会議員らの表情には緊張感がにじんだ。
 議員への質問では、住民側からの「誘致決議文に『米軍の使用は断固として認めない』とあるが、その法的根拠を示せ」との問い掛けに対し、誘致賛成議員は「有事の際には米軍の使用があると解釈しているが、それ以外では反対していく」などと発言。会場には「住民をばかにするな」など怒りの声が飛び交った。
 一方、誘致反対議員の「下地島空港の問題は避けて通れない問題。宮古圏域で考えるべきで、それを緊急動議で決議したことは住民意思を無視したこと。許せることではない」との発言には大きな拍手が送られ、会場全体が自衛隊誘致反対・合併賛成の空気に包まれた。
 登壇してこれまでの経緯を説明した浜川健町長は「宮古5市町村での合併調印までしたのに、このような話で合併を壊されかけ、町議会もおかしくなった。伊良部町はわれわれ町民のもの。議会は前向きに検討してほしい」と25日の議会判断に期待を寄せた。[琉球新報 更新 2005年3月25日 金 10:31]

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