これで「戦争放棄は維持」と言えるのか?

衆参両院の憲法調査会の最終報告書案(事務局作成)が出そろったとして、各紙が内容を伝えています。

戦争放棄や象徴天皇制を維持・衆参憲法調査会が報告書案(日経新聞)

日経では「戦争放棄・象徴天皇制を堅持」という見出しがトップにかかげられていますが、よく読むとこれは「憲法9条第1項は変更しない」という意味。同第2項(戦力不保持、交戦権放棄)については、変更して自衛権と自衛隊を認める規定を置くが衆院では多数(参院は「意見が分かれた」とされています)、さらに集団的自衛権についても、(1)認める(2)制限して認める(3)認めないの3つに分類、衆院は(1)(2)合わせて6割を超えたとしています。

つまり、「戦争放棄」は堅持するが、「集団的自衛権は行使する」…って、これって矛盾してますよ?。集団的自衛権の行使=戦争なんだから。

国民世論の多数は、憲法9条の改正は必要なしというもの。他方で、自衛隊の災害救助活動や、この間の非戦闘地域・自らの身体を守るための最小限の武器をのぞいて武器非使用の国際貢献活動が、国民の間で“容認”されてきたことを背景に、第1項を残しつつ、第2項に自衛隊の保持を明記し、集団的自衛権を認める(憲法に明記するかどうかは、意見が分かれているみたいですが)ことで、アメリカ中心の多国籍軍や「有志連合」での自衛隊の武力行使を認めようという策略です。それを「戦争放棄を堅持」だなんて、ごまかしは許せません!

戦争放棄や象徴天皇制を維持・衆参憲法調査会が報告書案

 衆参両院の憲法調査会の最終報告書案が30日出そろった。ともに戦争放棄を定めた9条1項や象徴天皇制維持の方向性を打ち出したほか、「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」という現行憲法の3原則や、2院制を維持することで足並みをそろえた。一方で、集団的自衛権の行使容認や憲法改正を発議する要件の緩和については賛否両論を併記し、具体的な方向性は示さなかった。

 衆院憲法調査会(中山太郎会長)は4月中旬、参院憲法調査会(関谷勝嗣会長)は同20日に最終報告書をそれぞれ議長に報告する。政党側では自民党が11 月に改憲草案を策定する方針で、民主、公明両党も改憲案を検討中。衆参両院が論点をまとめることで、改憲論議は新たな段階に入る。
 衆院は3分の2以上の支持を得たものを「多数意見」とし、安全保障に関する9条の改正や環境権など新しい人権の明記など10余りの論点で改正の方向性を打ち出した。参院は改正の必要があると明示した論点はなかったが、改憲論や現行憲法の疑問点を多く収録し、改憲の方向性を強くにじませた。
[NIKKEINET 2005/03/30 22:45]

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