日本政府が、米軍普天間基地を伊江島補助飛行場に移転させる案を検討中らしい。
辺野古沖に海上基地をつくって移転させる計画が、住民の反対運動でなかなかすすまないため、アメリカが痺れを切らし、日本政府も新しい移転先を考えざるを得なくなったようですが、所詮、こっちのものをあっちへ移すだけの“たらい回し”にすぎません。しかも、普天間基地は自衛隊に移管し、いざというときは米軍が自由に使えるようにしておこうというのだから、実は“たらい回し”にさえなっていない…。
普天間の米海兵隊ヘリ 伊江島移転を検討/日米両政府(東京新聞)
普天間の米海兵隊ヘリ 伊江島移転を検討/日米両政府
移設作業が難航している沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場について、海兵隊のヘリコプター部隊を米軍伊江島補助飛行場(同県伊江村)に移転する案が在日米軍再編をめぐる日米両政府の協議で検討されていることが2日、分かった。政府・与党幹部が明らかにした。
併せて普天間飛行場の管理権を自衛隊に移管し、緊急時には米軍が物資集積地として利用できるようにする。この場合、空中給油機部隊は海上自衛隊鹿屋基地(鹿児島県)か航空自衛隊新田原基地(宮崎県)に移す方向で調整、同飛行場が有する機能ごとに分散移転を進める。分散案が固まれば、沖縄県名護市辺野古沖への移設計画は抜本的に見直される可能性がある。政府はヘリ部隊移転で、住宅地に隣接する普天間飛行場の危険性を取り除くとともに、米軍の抑止力維持も両立させる。ただ、伊江村は米軍への反発が強いなどの事情でこれまで候補地になっておらず、調整は難航が必至だ。
政府は辺野古沖での代替施設建設に向けボーリング調査を進めているが、完成までには今後10年以上かかる見通し。このため輸送、給油、物資集積という同飛行場の機能ごとに分散移転させる構想が浮上。伊江島は約2000メートルの使用可能な米軍滑走路が1本あり、普天間飛行場の危険性をすぐに解決できるため検討対象に上がった。
同飛行場をめぐっては返還後の基地従業員の雇用問題など経済的な課題が発生することも懸念される。政府内には、自衛隊基地に移管することでこうした問題を解決できるとの期待感がある。
一方、ヘリ部隊が伊江島に移転する場合、給水など駐留環境の面で難点があるとされ、日本政府内でも疑問視する声がある。
[東京新聞2005年4月3日朝刊]