都響第606回定演Bシリーズ/ワーグナー:ニーベルングの指輪ハイライト

今シーズンは、都響定演Aシリーズ(上野・文化会館)をとっているのですが、今日は、ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指輪」ハイライトで、緑川まりさんがブリュンヒルデを歌うということで、サントリーホールの定演(Bシリーズ)に行ってきました。

  • 「ラインの黄金」?前奏?ラインの乙女たちと黄金強奪
  • 「ワルキューレ」?ワルキューレの騎行/ヴォータンの告別と魔の炎の音楽(フィナーレ)
  • 「ジークフリート」?愛の二重唱(フィナーレ)
  •     休憩
  • 「神々の黄昏」?夜明けとジークフリートのラインの旅/ジークフリートの死と葬送音楽/ブリュンヒルデの自己犠牲と終曲

【演奏会情報】指揮:飯守泰次郎/ブリュンヒルデ:緑川まり/ジークフリート:成田勝美/ヴォータン:長谷川顯/アルベリヒ:島村武男/ヴォークリンデ:平井香織/ヴェルグンデ:田中三佐代/フロスヒルデ:大林智子/サントリーホール 2005年4月22日 19時開演

一曲目の「ラインの黄金」前奏曲?ラインの乙女たちと黄金強奪?では、ラインの乙女たちの声がうまく響き合わず、アルベリヒは声量が不足気味、オーケストラも出だしのホルンがちょっと不安定だったりして、不安を覚えたのですが、「ワルキューレの騎行」(オーケストラの演奏だけだったので、不協和音的な歌がかもし出す不安定な印象が薄れて、少し物足りない感じでしたが)をはさんで、ヴォータン役の長谷川顯(バス)が登場したあたりからぐっと良くなってきました。
そして、いよいよ緑川まりさんが白いドレスで登場。ホールを圧倒する声量で、ジークフリートとの愛を歌い上げ、一気に盛り上がりました。

後半は、「ラインの旅」の動機で盛り上がったあと、一転して、沈鬱な「ジークフリートの死と葬送」に。そして、こんどは黒のドレスに着替えた緑川さんが登場し、自ら炎に身を投じるブリュンヒルデの自己犠牲を力強く、情感たっぷりに歌い上げたあと、神々の王城は炎上してしまうのに、なぜか明るいエンディングへ。

もともと、上演に4日かかる「ニーベルングの指輪」を、前半60分、後半40分にまとめるということ自体が無理な話で、「ラインの黄金」では、長い長い「指輪」の物語の発端となるアルベリヒの黄金強奪を取り上げた訳ですが、そのあとのストーリー展開は全部省略して、すぐ「ワルキューレ」へ。その「ワルキューレ」は、最初の「騎行」と最後のヴォータンの告別のみ。そして、神性を奪われたブリュンヒルデは、すぐに復活して愛の二重唱をうたい、休憩後は、一気に、ジークフリートが死んでしまう…。と、とてもじゃありませんが、ストーリーを要約的にせよ追いかけるなどということは不可能な抜粋ぶり。したがって、筋が頭に入ってないと、ちょっと入り込みにくかったかも知れません。

それにしても、やっぱり緑川まりさんの歌いっぷりは、やっぱり見事ですね。声量も、他のソリストを圧倒していました。僕のイメージするブリュンヒルデに比べると、ちょっと貫録がありすぎる、というのが唯一残念なところです。(^^;)

もちろん、「ニーベルングの指輪」の演奏でといえば、もっといいものはたくさんあるでしょうし、歌い手という点でも、日本人だけでももっと優れたメンバーを揃えることは可能でしょう。しかし、都響が、いまの条件のもとで、これだけの演奏をしてみせてくれたというのは、やっぱり素晴らしいことだと思います。飯守泰次郎氏とオケへの惜しみない拍手は、それを示しているのだと思います。

都響第606回定演Bシリーズ/ワーグナー:ニーベルングの指輪ハイライト」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: ぶらーぼぉ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください