JR宝塚線の脱線事故のメディア報道で感じたこと。
伊丹駅でのオーバーランについて、JR西日本は当初8mとしていたのが、昨日になって40mだったことが明らかになった、と一斉に報道していますが、事故直後から、乗客は「3両分ぐらいオーバーランした」と言っていました。なぜ、JR西日本が8mだと発表したときに、それを問題にしなかったのでしょうか?
また、事故車両がカーブに時速108kmで進入したことが明らかになると、「制限速度を30kmも上回る猛烈なスピードで…」などと報道し始めました。まるで、速度違反が脱線の原因になったかのような報道ぶりですが、それまでは、JR側の計算上は133kmで転覆するという発表から、「速度を出しすぎていたというだけで脱線は考えにくい」と伝えていたはず。それが突然、「制限速度を30kmも上回る猛烈なスピード」では、辻褄が合わないと疑問を感じないのでしょうか?
現場のカーブについても、「急カーブだ」と報道するものもあれば、「緩やかなカーブ」とする報道もあり、まちまち。実際問題として、R300は、そんな急カーブではないと思うのですが、この辺でもメディアの定見のなさが目立ちます。
「置き石」問題では、何局かの民放局が、現場を直前に列車が通過してから誰も線路内に入っていない、という近所の住民の証言を伝えていますが、はたしてJR西日本や警察は、これを承知しているのでしょうか? そのことをマスコミは、なぜ確認しないのでしょうか?
メディア全体が、23歳の運転手が1分半の遅れを取り戻すためにスピードを出しすぎたのが悪い、という方向に流れていることはないでしょうか? 過去の「処分」の報道も、うがった見方をすれば、運転手に自己の責任を負わせるような気がしてなりません。JRが実施している適性検査の内容も分かっていません。違反者にたいする「日勤研修」なるものの実態が、会社への忠誠を誓う反省文を書かせたり、上司が罵声を浴びせるものだという話もあります。JR西日本が、この4月、2度にわたって尼崎駅での発着状況を秒単位で調べたことも指摘されています。JR西日本が、宝塚線が電化されて以降、列車本数を急速に増やしたにもかかわらず、ATSなどの整備を後回しにしてきたことは明白です。メディアには、ぜひこうした点を、きちんと追及してほしいと思います。