憲法記念日を前に、新聞メディアで憲法にかんする世論調査がいろいろ発表されています。
1つは、4月17日に発表された時事通信の世論調査。憲法9条に関して「自衛隊を軍隊と位置づけ、戦力保持を明記する」ことに賛成したのは28.5%。それにたいし、「9条は現行通でよい」が41.7%と上回りました。
2つ目は、今日の東京新聞。共同通信の世論調査ですが、憲法9条について「改正する必要がある」31.3%にたいし、「改正する必要があるとは思わない」41.3%で上回っています。全体として、憲法改正について、反対派29.8%(「反対」10.1%、「どちらかといえば反対」19.7%)にたいし賛成派は61.0%(「賛成」21.2%、「どちらかといえば賛成」39.8%)になりましたが、「憲法改正の方向性に賛成した人のうち、九条改正にも賛成した人は45.7%にとどまった」とも。
3つ目は、4月20日の毎日新聞の世論調査。年代別に見たときに、「改正すべきだ」が最多なのは30代、最も少ないのが20代という結果。
自衛軍明記、賛成3割未満=9条「現行通りで」42%?時事世論調査
時事通信社が17日まとめた世論調査結果によると、憲法9条改正で「自衛軍」など戦力保持を明記することに賛成の人は3割に満たず、反対と答えた人が過半数を占めた。一方、天皇制については、現行の象徴天皇制を支持する人が8割を超えた。
調査は8日から11日にかけて、全国の成年男女2000人に面接し、有効回答率は66.9%。
9条改正に関し、自衛隊を軍隊と位置付け、戦力保持を明記することに賛成と答えた人は28.5%だった。これに対し、「9条は現行通りでよい」が41.7%、「(戦力不保持を規定した)9条2項を削除すればよい」が11.9%で、戦力保持明記に反対の人は合わせて53.6%に上った。[時事通信 4月17日15時1分更新]
憲法改正:「改正すべき」が6割――毎日新聞世論調査(毎日新聞、4月20日付)
憲法改正:「改正すべき」が6割――毎日新聞世論調査
毎日新聞が全国世論調査(電話、16、17日実施)で憲法改正について尋ねたところ、「改正すべきだ」と答えた人は60%、「改正すべきでない」は30%だった。改正賛成派に憲法9条について聞いたところ、戦争放棄を規定した「1項」を堅持し、戦力不保持をうたう「2項」の変更を求める回答がいずれも約6割で、15日決定した衆院憲法調査会の最終報告書と共通する傾向を示した。
昨年4月に実施した同じ方式での調査には「改正すべきだ」が59%、「改正すべきでない」は31%。いずれも前回調査と、ほぼ同傾向を示した。
調査結果を支持政党別で見ると、「改正すべきだ」が最も多いのは自民党支持層の73%。続いて民主党64%、公明党63%と続き「支持政党なし」は57%だった。民主党は昨年4月調査から9ポイント増えた。年代別では「改正すべきだ」が最多なのは30代(62%)、最も少ないのが20代(56%)。【宮下正己】◇世論調査の質問と回答
◆憲法を改正すべきだと思いますか、思いませんか。
全体 男性 女性 改正すべきだ 60 63 57 改正すべきでない 30 30 30 ◇<「改正すべきだ」と答えた方に>憲法9条1項は「戦争の放棄」を定めています。変更する必要はあると思いますか、思いませんか。
変更すべきだ 37 49 27 変更すべきでない 60 51 69 ◇<「改正すべきだ」と答えた方に>9条2項は「陸海空軍その他の戦力を保持しない」などと定めています。変更する必要はあると思いますか、思いませんか。
変更すべきだ 58 73 46 変更すべきでない 37 26 48 (注)数字は%、小数点以下を四捨五入。無回答は省略。
◇調査の方法 16、17の2日間、コンピューターで無作為に選んだ電話番号を使うRDS(ランダム・デジット・サンプリング)法で全国の有権者1000人を目標に電話で調査し、1019人から回答を得た。[毎日新聞 2005年4月20日 東京朝刊]
毎日新聞の世論調査については、設問の第2、第3は、憲法9条の改正は必要ないという人を除いた数字だということに注意。例えば、9条2項は「変更すべきだ」という意見が58%とありますが、これは9条改正賛成(60%)のなかでの話。全体では、35%(60×0.58)しかなく、9条2項改正に反対という意見は、9条改正反対という人(30%)+9条改正は賛成だが9条2項の改正には反対(60×0.37=22%)で、全体の52%、つまり過半数を占めています。