米議会の調査委員会が、沖縄の米海兵隊司令部のグアム移転案について、「アメリカの国益に多大の危険をもたらす」として懸念を表明。
海兵隊グアム移転に懸念
アメリカ軍の再編計画をめぐりアメリカ議会の調査委員会は5日、報告書をまとめ、日米両政府が沖縄の海兵隊をグアムに移す検討をしていることに強い懸念を示し、海兵隊はほぼすべて沖縄に残すべきだと勧告しました。この委員会は、ブッシュ政権が進める海外のアメリカ軍の再編計画を検証するため、連邦議会が設置したもので、5日、報告書をブッシュ大統領に提出しました。
報告書は、日米両政府が▽沖縄に駐留するアメリカ海兵隊第3海兵遠征軍の司令部をグアムに移す検討をしているとしたうえで、▽ほかの司令部機能も移転させ、海兵隊を最大で8000人削減する案も出ていることを明らかにしています。
これに対し、委員会としては「沖縄は東アジアの戦略的な要衝で、兵力を削減することはアメリカの国益に多大な危険をもたらす」として、日米両政府の協議の行方に強い懸念を示しました。そして、9年前に全面返還することで合意した海兵隊普天間基地については、同じ沖縄県内の嘉手納基地か、山口県の岩国基地に統合すべきだとしたうえで、それ以外の海兵隊については、すべて沖縄に残すべきだと勧告しています。報告書の勧告には拘束力はないものの、ブッシュ政権はこれも参考にしながらアメリカ軍の再編計画を進めることにしており、今後の日米の協議の行方に影響を与えることも予想されます。[NHKニュース 2005/05/06 12:11]