日経新聞夕刊に、JR西日本がカーブの速度超過対策の安全装置の設置が、同じJRグループの他社とくらべて遅れていたとの記事を掲載しています。
インターネットで流れている記事は前半のみですが、新聞記事によると、JR東海は、ATS改良型を開発し「40キロ以上の減速が必要なカーブ」すべてを改良型に切り替えていたという。それにたいし、JR西日本は、「50キロ以上の減速が必要なカーブ」20カ所中、5カ所にしかATS-Pを設置していなかったとしています。
JR西日本、カーブの速度超過防止対策に遅れ
兵庫県尼崎市のJR電車脱線事故で、主因との見方が強まる「カーブでの速度超過」。JR西日本によると、事故現場のように、直線部分とカーブでの制限速度の差が時速50キロ以上ある地点は管内に20カ所あるが、速度超過を自動的に防ぐ安全装置があるのは5カ所だけ。JR東日本やJR東海と比べ、JR西日本の対策の遅れが際立っている。
国土交通省は鉄道営業法に基づく「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」で、「列車は安全な速度で運行しなければならない」(103条)と規定。車のような法令上の罰則はないが、電車も速度超過は省令違反にあたる。
「スピード違反」があった場合、自動的に速度超過を抑えるのが、最新型の自動列車停止装置(ATS-P)。JR西日本は1990年8月、阪和線の一部区間に初めて取り付け、その後、大阪環状線や大和路線など9路線にも設置した。
しかし2002年10月以降は新設がなく、全線に対するATSを設置した距離の割合(設置率)は7.7%のまま。危険性が高い「50キロ以上の減速が必要なカーブ」には、20カ所中5カ所にあるだけだ。
JR東日本の場合、ATS-Pより高性能の自動列車制御装置(ATC)の設置率は、全体では約30%だが、東京駅の100キロ圏内に限ると、10年以上前にほぼ100%整備した。
JR東海は、旧型のATSにATS-Pのような「速度照査機能」を付けた改良型を開発。「40キロ以上の減速が必要なカーブ」はすべて、この改良型に切り替えたという。
JR西日本はJR東海のような改良型も開発済み。しかしATS-Pがないカーブ15カ所には設置はされておらず、「JR東日本や東海より対策が遅れていると言わざるをえない」(広報室)と認める。
同社のATS-P導入に対する投資額をみると、1998?2000年度は年度によって21?16億円あったが、その後は急減。「継続的に整備を進めている」(同)とするものの、03年度は1億円、昨年度も5億円だった。(以下略)[日経新聞 2005/05/06夕刊]