『サンデー毎日』のシリーズ憲法の第6回、大橋巨泉さんが登場しています(5/29号)。
巨泉さんは、東京の下町生まれ。3月10日の東京大空襲は「ものすごかった」と。家族は千葉に疎開していたけれど、東京に残った父親と連絡がつかず、お母さんは「半狂乱だった」。そして、丸2日たってようやくお父さんが目を真っ赤にして疎開先に帰ってきたそうです。「僕は生きている限り、あの日の親父の顔と目を忘れることはできない」という言葉が印象に残りました。もし自分が総理大臣だったら改憲に費やすエネルギーを逆につかう、日本国憲法は「数百万人という同胞の命と引き換えに得たものですから、そう簡単に変えられてたまるか」とも発言されています。
興味深く読んだのは、巨泉さんが民主党参議院議員だったこと(2001年7月の参院選で当選、半年後、党議拘束に背いて「テロ特措法」に反対し辞職)に関連して、自分の率直な気持ちを語っておられるところです。
日本の政治のあり方が変わらないのは、55年体制のもとで社会党が形だけは声高に反対するが、裏で自民党と取り引きするというやり方が与野党に根づいてしまったからだ。それならば、選挙で自民党に勝てるような政党があれば、腐敗した金権政治から脱却できると思って、ああいう(民主党の国会議員になるという)選択をしたんですが、実際に入ってみると、本当は自民党から立候補したいんだけれど、世襲の壁で出られないから民主党から立った、みたいな若手議員がたくさんいるんですよ。
だから結局、形の変わった自民党が二つできただけでね。かえって逆に、キャスチングボードを握るはずだった社民党や共産党が埋没してしまった。だから今、僕は内心、忸怩たるものがあるんですね。