グレッグ・ルッカ『耽溺者』

グレッグ・ルッカ『耽溺者』

同じ作者のボディガード・アティカス・シリーズの番外編。アティカスの彼女・私立探偵のブリジッド・ローガンを主人公にしたお話。薬物中毒だった頃の親友に助けを求められ、自ら囮となって麻薬密売組織に単身乗り込む…。

ということで、女性が主人公となったミステリーもの好きな私としては、アティカス・シリーズにはまったく手をつけなかったのですが、この番外編にはちょい期待して手に取ってみました。お話自身はなかなか面白いし、元ジャンキーで、現在は私立探偵というヒロインは、そうとうぶっ飛んだキャラで、なかなか魅力的。
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メディアは分かっているのか?

JR宝塚線の脱線事故以来、メディアでは、JRのオーバーランをこと細かく報道しています。たとえばこの記事。

JR西、またオーバーラン 6日連続、見習い運転士が(共同通信)

しかし記事を読むと分かるように、オーバーランは4メートルで電車に遅れはなかった、しかも運転手は見習い中で、指導のための運転手が同乗していたという。つまり、記事にするような事件性は何もなかった訳です。たぶんこの見習い運転手は、この4メートルのオーバーランを体験して、ブレーキのタイミングを学習したことでしょう。オーバーラン自体は確かに運転ミスだけれども、何のミスもなしに完璧な運転ができるようになるなどということはありえないのだから、こういうミスは認められて良いはず。

にもかかわらず、なぜ、こういうことまで記事にするのでしょうか? こういうことを記事にすると、オーバーランは一切許されないというプレッシャーをますます運転手にかけるだけです。しかし、運転手に余計なプレッシャーをかけてみても、安全には役立たない、というのが今回の事故の一番の教訓ではなかったでしょうか。メディアは、いったいなぜこうした記事を流すのか、ぜひ再考を求めたいと思います。
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