米軍普天間へリ部隊、辺野古沖移設断念か

毎日新聞が、「米軍再編:普天間の海兵隊ヘリ部隊 嘉手納に移設固まる」と報道。

しかし、普天間は都合悪いから嘉手納へというのでは、“たらい回し”の批判は避けられません。

米軍再編:普天間の海兵隊ヘリ部隊 嘉手納に移設固まる(毎日新聞)

米軍再編:普天間の海兵隊ヘリ部隊 嘉手納に移設固まる

 日米両政府の1日までの在日米軍再編協議で、米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のヘリ部隊を米空軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)に移設する方針が固まった。米海軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機部隊についても岩国基地(山口県)への移転を進めることで大筋合意し、在日米軍再編案の骨格がまとまった。今後は周辺自治体の負担軽減策が課題となるが、北朝鮮情勢を理由に「抑止力強化」の姿勢を強める米側は兵力削減には否定的だ。4日にシンガポールで開く日米防衛首脳会談で政治レベルの最終調整に入ることを確認し、今秋をメドに日米首脳会談での合意を目指す。
 普天間飛行場については99年に沖縄県名護市辺野古沖への移設が決まったが、海を埋め立てる代替施設の建設に反発も強く、着工のメドすら立たないことに不満を募らせた米側が移設計画の見直しを求めていた。普天間返還に合意した96年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告は同飛行場のヘリ部隊を新たな海上施設に、空中給油機部隊を岩国基地に移転させる内容になっている。今回の再編でヘリは嘉手納基地に、空中給油機はSACO通り岩国基地に移すことで、普天間飛行場の早期返還を図る方向となった。
 普天間返還を実現するためには嘉手納基地に新たなヘリポートを建設する必要があるが、順調にいってもあと10年はかかる辺野古移設より短期間で、約480ヘクタールもの市街地を占拠している普天間飛行場の返還が可能になる。ただ、沖縄県内では県内移設に反発が強いうえ、経済効果の期待された辺野古沖の代替施設建設が中止されることへの抵抗も予想される。周辺の自治体が反対するのは必至で、政府は嘉手納基地の騒音対策や海兵隊訓練の海外移転を進めることで地元の理解を得たい考えだ。
 厚木基地には横須賀基地(神奈川県)を母港とする米空母キティホークの艦載機が駐留。夜間発着訓練(NLP)の騒音が長年の問題になっており、91年以降、約1200キロ南方の硫黄島を暫定利用している。岩国基地では米海兵隊の戦闘機部隊などが使用する滑走路を1キロ沖合に移設する工事が08年度に終わる予定。政府は新滑走路の完成に合わせ艦載機とともにNLPも岩国基地に移転させたい考えだが、地元の反発が強ければ硫黄島のNLP継続を米側に求めることも検討する。
 在日米軍再編協議ではこのほか、米陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)のキャンプ座間(神奈川県)移転▽米空軍横田基地(東京都)への航空自衛隊航空総隊司令部(同)の移転??の方針が固まっている。[毎日新聞 2005年6月2日 3時00分]

米軍再編:県内移設に沖縄反発必至 政府は負担軽減で腐心(毎日新聞)

米軍再編:県内移設に沖縄反発必至 政府は負担軽減で腐心

 在日米軍をめぐる長年の懸案だった普天間飛行場の早期返還と厚木基地の空母艦載機移転が在日米軍再編案に盛り込まれることが固まり、日米の再編協議は最終段階を迎えた。日本政府は普天間・厚木の「負担軽減」を再編協議の成果としてアピールしたい考えだが、普天間の県内移設に対する沖縄県の反発は必至。空母艦載機と海兵隊空中給油機の受け入れを求められる岩国基地の地元も抵抗する構えを見せている。世界戦略の拠点に在日米軍基地を位置づける米側は抑止力維持に傾いており、政府は嘉手納・岩国の負担軽減策に腐心している。【平田崇浩、宮下正己、古本陽荘】

◇発着数の削減要求
 普天間飛行場を含む沖縄海兵隊の扱いは在日米軍再編の最大の焦点。日本側は再編協議が本格化した昨夏の時点で「抑止力の維持」と「基地負担の軽減」の両立を目標に掲げ、海兵隊の削減を要求の柱の一つに据えた。小泉純一郎首相も海兵隊部隊の国内外への移転検討に言及していた。
 しかし、昨秋以降、東アジア地域の戦略協議を先行させた結果、米側は北朝鮮の核開発や台湾海峡情勢を理由に「沖縄重視」の姿勢を鮮明に打ち出す。なおも「トップ判断で在沖海兵隊の削減は可能」(政府関係者)と小泉首相とブッシュ米大統領の決断に期待する声もあるが、外務省や防衛庁の幹部は「この状況で海兵隊を削減する話にはならない」と公言するようになっている。
 政府は日米特別行動委員会(SACO)最終報告に基づく普天間飛行場の名護市辺野古沖移設を見直し、同飛行場の機能を分散移転させ、ヘリ部隊を嘉手納基地に移転する方針。だが、これは県内の負担つけ回しに過ぎず、辺野古沖以外の普天間の県内移設を拒否している沖縄県など地元の反発は必至だ。
 このため政府は、ヘリ部隊が嘉手納基地に移転しても同基地における米軍機の飛行回数(年間約7万回)が現行以下にとどまるよう米側に要請することを検討。騒音被害が増えないことを訴える苦肉の策だ。海兵隊部隊の一部訓練の海外移転による常駐部隊の削減案なども浮上している。

◇岩国基地 軍民共用「密約」も
 岩国基地への空母艦載機移転に向け、政府が地元の理解を得るために検討しているのが岩国基地の軍民共用化と米軍住宅建設による経済振興策だ。市街地にある厚木基地から岩国基地への移転を望んでいた米側も軍民共用化の受け入れを非公式に日本政府に伝えている。ただ、艦載機移転を地元に打診する前に軍民共用化に合意した日米の「密約」に反対派が反発することも予想される。
 岩国基地の軍民共用化は、1キロ沖合への滑走路移設に伴い、岩国市などが景気浮揚を目的に要望。政府関係者によると、米側は海兵隊の運用に支障のない利用範囲での軍民共用化を了承しているという。政府は、岩国市内で山口県住宅供給公社が開発中の大規模宅地を移転部隊の家族住宅として買収することも検討している。
 地元側には経済振興策を条件に艦載機受け入れに柔軟な意見もあるが、騒音被害と事故の危険性が大きい夜間発着訓練(NLP)の移転には反発が強い。井原勝介・岩国市長は1日、先手を打って外務省に町村信孝外相を訪ね、「住民生活に大きな影響を与えるので反対だ」と申し入れた。
 このため政府内には、岩国基地に艦載機部隊のみを移転し、NLPは東京・硫黄島での暫定使用を継続させる案が浮上。岩国市では経済界を中心に、沖合移設とは別の新滑走路建設を条件にNLP受け入れを模索する動きも出ており、政府との条件闘争になる可能性もある。[毎日新聞 2005年6月2日 3時00分]

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