3日、サントリーホールで日本フィルハーモニー交響楽団の第570回定期演奏会を聴いてきました。プログラムは、
- 北爪道夫:「様々な距離」 本フィル・シリーズ第39作(初演)
- モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364(320d)
- ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(1910年全曲版)
この日の秀逸は、何といっても、「火の鳥」全曲版。正直言って、ストラヴィンスキーの曲はあまり好きではなかったのですが、この日の演奏を聴いて、自分の不勉強を痛感しました。(^^;) そもそも「火の鳥」は1919年の組曲版しか聴いたことがなく、全曲版を聴いてみると、まったく印象が違うのに驚きました。
沼尻竜典氏の指揮と日フィルの演奏は、華やか。聴いていると、それこそ、手塚治虫さんならアニメ映画のバックにこんな音楽をつけるだろうなと思うような場面がたくさんでてきます。いかにも火の鳥が現われた風、火の鳥が逃げ回っている風といった感じで、いまとなってみればパターン化しすぎという印象もしない訳ではありませんが、それでも、曲のイメージの新鮮さとかエネルギー感みたいなものは圧倒的でした。クラリネット、ファゴットの、ちょっと不安感を醸し出すような音色が印象的でした。また、いつもは何かと気になる日フィルの弦パートも、今日は、とてもよかったと思いました。
ところで休憩前の2曲ですが、1曲目は、和音のあいだの「距離」、弦楽器と打楽器の「距離」など、いろんな音の「距離」を表わしたという曲です。今回の演奏会が初演ということで、ちょっと緊張していたような感じがしましたが、いわゆる現代音楽としては、比較的分かりやすいように思いました。
2曲目は、一転してモーツァルト。このへんのプログラムの考え方がイマイチよく分かりませんが、舞台上のオケの編成も半分ぐらいになって、こうやって聞き比べてみると、モーツァルトの音楽の組み立て方が、単純(といったら怒られそうですが)なことがよく分かります。
それでも、ヴァイオリンが奏でる旋律をヴィオラが少し低い音で追いかけるなど、2つの楽器の“違い”が楽しめる楽曲です。ソリストが並んでみると、ヴィオラの方が相当大きいことがよく分かりますね。あれをヴァイオリンと同じように弾くのは大変だろうなと、素人ながら思ってしまいました。僕は、個人的には、ヴァイオリンよりヴィオラの方が好きなので、またヴィオラの魅力を楽しめる音楽を発見したという感じです。
【演奏会情報】指揮:沼尻竜典/ヴァイオリン:町田琴和/ヴィオラ:清水直子/コンサートマスター:木野雅之/演奏:日本フィルハーモニー交響楽団/サントリーホール 開演19:00
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