米軍普天間基地の海兵隊ヘリ基地を、沖縄東岸の伊計島に移設させる案を、政府が検討していると、「東京新聞」が報じています。
しかし、伊計島には現在米軍施設はなく、まったくの新基地建設になる訳で、沖縄の「負担」軽減どころか新規「負担増」です。
普天間の米海兵隊ヘリ 伊計島への移転検討/政府自治体の反発必至(東京新聞)
普天間の米海兵隊ヘリ 伊計島への移転検討/政府自治体の反発必至
移設作業が難航している沖縄県の米海兵隊普天間基地について、ヘリコプター部隊(五十六機)を沖縄本島と橋でつながる伊計島に移転する案を政府が検討していることが分かった。候補となった米空軍嘉手納基地への統合案の実現が困難さを増しており、新たな候補地として浮上した。島には集落やホテルがあるほか、近くに民間の石油備蓄基地があり、周辺自治体が反対するのは必至だ。 =解説<3>面
宮城島や平安座島を経由して橋で沖縄本島東部の与勝半島につながる伊計島は、沖縄駐留の海兵隊が移動の足として使う強襲揚陸艦が寄港する米軍施設「ホワイトビーチ」まで約10キロと至近距離にある。
ホワイトビーチまで約20キロの普天間基地より近い▽金武湾の沖合にあり騒音被害が小さい▽周辺に密集した住宅地がない?ことから候補に上ったとみられる。
ただ、米軍施設はなく、政府が米軍再編の目標にした「基地負担の軽減」と矛盾する。
島の面積は1.75平方キロメートルと狭く、基地を新設しても1996年の沖縄特別行動委員会(SACO)で合意した滑走路1300メートル程度の施設にとどまる見通し。固定翼機が離着陸できる滑走路を確保するのは不可能なため、空中給油機部隊の12機は予定通り、日本本土へ移転する。
政府は行き詰まった辺野古沖への移設を事実上、断念。ヘリ部隊を嘉手納基地に統合する案を検討中。日本側は騒音被害が拡大しないようF15戦闘機部隊のグアム移転などを求めているが、米側が難色を示している。
日米両政府は米軍再編協議を年内に決着させることを確認しており、伊計島への移転は嘉手納基地への統合協議が失敗に終わることを見越して浮上した。近く伊計島のあるうるま市に打診するとみられる。
<メモ>伊計島
与勝半島から4.7キロの橋でつながる平安座島、宮城島の先にある小島で、最長部でも約2キロ。人口は153世帯359人。産業は漁業と農業。北端にリゾートホテルがある。
[東京新聞 2005年6月8日朝刊]