皇室典範有識者会議 2回目の「学識経験者」ヒヤリング

高森明勅氏と所功氏が女系を容認したのは意外。「保守派」と「開明派」とでバランスをとったというだけでなく、「保守派」の中でも、神懸かり的な復古派と、女系容認派でバランスをとったという感じがします。

で、その分類でいくと、山折氏は「開明派」に入らなければならないはずなのですが、天皇のカリスマ性は大嘗祭だというのは唖然…。鈴木正幸氏は、女系・男系は態度を表明しなかったということですが、「天皇に積極的な国民統合の役割を求めない立場からすれば、どちらでもいい問題」ときっぱり言い切った横田耕一先生に比べると、やっぱり見劣りしてしまいますねぇ…。(産経の報道なので、バイアスがかかっている可能性はありますが)

ところで、先日の会議での横田耕一先生の発言要旨が、内閣府のホームページにアップされました。一読も二読もする価値あり、の堂々としたご発言です。

皇室典範有識者会議 「女帝」専門家見解割れる 次回から委員本格討議(産経新聞)

皇室典範有識者会議 「女帝」専門家見解割れる 次回から委員本格討議

 安定的な皇位継承のあり方などを議論する政府の「皇室典範に関する有識者会議」(座長・吉川弘之元東大総長)は8日、都内で第7回会合を開き、前回に続き日本近代史などの学識経験者から意見聴取を行った。これにより有識者会議は1月の発足時以来続けてきた「勉強会」を終了。30日の次回会合で、委員同士の本格的な議論をスタートする。
 8日の会合では、焦点の女性・女系天皇を容認するかについて、神道古典・祭祀(さいし)に詳しい高森明勅・拓殖大客員教授と、日本法制史専門の所功・京都産業大教授が、女性天皇の容認を主張した。
 高森氏は「女系も皇統に含まれ得る」として皇位継承資格の制約緩和を主張した上で、「直系優先で兄弟姉妹間では男子優先がいい」との見解を提示。所氏は「可能な限り男系男子による継承の維持に努めるべきだが、男系女子皇族の即位も、女系継承も制度的に可能性を開いておく必要がある」と指摘した。
 日本近代史専門の鈴木正幸・神戸大副学長は女性天皇容認の是非には触れず、「次世代と価値観を共有できるものでなければならない」と述べるにとどめた。宗教学者の山折哲雄・国際日本文化研究センター名誉教授は「男系であろうと女系であろうと構わない」と述べた。
 2度にわたる計8人の専門家からの意見聴取の結果、2人が現行の男系男子維持の優先、3人が女性天皇容認を主張。残る3人は、立場を明らかにしなかった。専門家らの見解は真っ向から対立しており、有識者会議の今後の意見集約も難航が予想される。
 今年1月に発足した有識者会議は、30日の会合からようやく本格討議に入るが、まだ「勉強を終えたばかりのメンバーがどういう意見を持っているのかわからない」(政府関係者)状態だ。
 一方、政府は今秋までに有識者の報告を得たい考えだが、「問題の重要さなどから、場合によっては報告が年末、あるいは来年にずれ込む可能性もあるのではないか」(別の関係者)との見通しも浮上している。
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 ≪鈴木正幸・神戸大副学長≫
 ■次世代と価値観共有
 天皇、皇室は社会秩序を理想的に体現し、(変わり行く)社会に適応しながら、国民にあるべき姿を示してきた。現在、皇室の伝統ということがいわれているが、伝統は後の時代に選択されて取り入れられたものだ。今日、(皇位継承に関して)新しい伝統を作ろうということになれば、次世代と価値観を共有できるものであらねばならない。今回の皇室典範改正には、皇位継承に関しては家督相続という側面もある。皇族の方々の意見を何らかの形で配慮する必要がある。
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 ≪高森明勅・拓殖大客員教授≫
 ■兄弟姉妹は男子優先
 現皇室典範では、皇位継承資格が歴史上、例をみない窮屈なものとなっている。危機を打開するには、女性・女系天皇を認めるべきだ。旧宮家の皇籍復帰により皇族の数を確保するという提案があるが、仮に旧宮家の復帰が実現しても、男子限定を解除しないと早晩、行き詰まる。問題の先延ばしに過ぎない。また、皇位継承順位については直系を優先し、兄弟姉妹間では男子を優先するのがよい。天皇という立場で行う公務は、生理的、肉体的条件から男子の方が望ましいと考える。
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 ≪所功・京都産業大教授≫
 ■可能な限り男系男子
 皇位が千数百年以上にわたり男系の皇族により継承されてきた史実は重いが、女系継承も制度的に可能性を開いておく必要がある。可能な限り男系男子皇族による継承の維持に努めながら、同時に女系継承を認め、継承順位は「男子先行」とするのがよい。女性天皇の結婚相手は、皇室に十分なじむ方が望ましい。皇族減を食い止めるため、女性皇族が結婚後も宮家を立て皇族にとどまるようにすべきだ。女性天皇や女性宮家に、旧宮家の男子孫が入り婿することも期待したい。
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 ≪山折哲雄・国際日本文化研究センター名誉教授≫
 ■男系女系こだわらぬ
 象徴天皇は、日本の歴史が平安時代と江戸時代に長期にわたって平和な時代を築いた上で、最も重要な役割を果たした。象徴天皇の歴史的背景、性格などが担保されるのであれば、皇位継承者は男系であろうと女系であろうと構わない。皇位継承の場合、血統の原理と(天皇が神格を得る)他国にはない即位後の大(だい)嘗祭(じようさい)によって、天皇にカリスマ性が備わることが特徴だ。カリスマ原理が欠けると象徴天皇の維持はできない。また、象徴家族と近代家族とのあり方の検討が必要となる。
[産経新聞 6月9日2時45分更新]

八木秀次氏の話も要旨・資料がアップされていますが、資料のなかで、X1X2-X3Y1などと性染色体の模式図を持ち出して男系がなぜ大事かを説明しています。しかし、その出発点が「神武天皇」となっているのをみて、びっくり。エセ科学の極致ですねぇ。神武天皇の遺伝子にお目にかかれるものなら、ぜひ見せててほしいもんです。

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