NTTドコモ関西が、中継基地局の工事で、直径13メートル、高さ1.2メートルの円墳の大部分を破壊。
「大部分が破壊された」とのことですが、熊本日日新聞のサイトには、共同が空撮した現場の写真がでていましたが、それを見る限りでは、どうやら円墳の真上に鉄塔を建てようとしたようです。
指摘されるまで知らなかったということですが、石室があったのなら、工事中に気がつきそうなもの。また、池田市も、文化財保護法にもとづく届けはなかったにせよ、工事申請が出れば分かりそうなものを…。まあ、どこにでもある円墳といってしまえばそれまでですが、しかしおなじ円墳は2つとしてない訳で、もはや失われたものは元には戻りません。
なお、新聞報道では「無届け」となっていますが、砂防法に基づく届けは出されていたのであり、いわゆる「無届け」工事ではありません。
ドコモ関西が古墳を破壊 無届けの基地局建設工事で(共同通信)
ドコモ関西が古墳を破壊 無届けの基地局建設工事で
NTTドコモ関西(大阪市)が大阪府池田市古江町の山林で行った携帯電話基地局の鉄塔新設工事をめぐり、府の風致条例と文化財保護法に基づく工事開始の届け出をせず、現場にあった「古江古墳」の大部分が壊されていたことが16日、分かった。
古江古墳は同法に基づき、「周知の埋蔵文化財包蔵地」に指定。土木工事などを行う際は、着工60日前までに届け出るよう義務付けられているが、ドコモは住民から指摘を受けるまでその事実を知らず、届け出をしていなかった。
府教委は同日までに、NTTドコモに工事中止を命令。近く発掘調査を実施する。
府教委などによると、古江古墳は推定直径約13メートル、高さ約1.2メートルの円墳。1976年、池田市の調査で発見された。横穴式石室があり、6世紀後半ごろのものとみられていたが、詳細な調査は行われていなかった。[共同通信 6月16日11時28分更新]
朝日新聞の記事(「NTTドコモ関西、無届けで基地局工事 古墳を壊す」)を読むと、もう少し詳しい事情が分かってきます。
まず、NTTドコモ関西は、「昨年9月に同市と府池田土木事務所と打ち合わせて、風致条例と砂防法に基づく届け出が必要だとの指示を受けた」こと。それにもかかわらず、砂防法に基づく届けしか出さず、風致条例に基づく届けを忘れたこと。
池田市の側も、風致条例に基づく届けが出てないことを見逃したこと。
さらに、記事の写真を見ると、コンクリート壁がつくられ、石室なども完全に破壊されている模様。だから、上で指摘したように、石室が出てきたところでなぜ気づかなかったのか、謎は残るということです。また、すでに石室が破壊されているため、被葬者の調査などは事実上不可能になってしまったわけで、NTTドコモ関西や池田市の責任は大きいといえます。
NTTドコモ関西、無届けで基地局工事 古墳を壊す
NTTドコモ関西が、大阪府池田市古江町の山林で、府の風致条例や文化財保護法に基づく届け出をせずに携帯電話基地局の鉄塔新設工事をし、現場の「古江古墳」(6世紀ごろ)が全壊していたことがわかった。府教委は工事を中断させ、近く市が調査に入る。
古江古墳は直径約13メートル、高さ約1.2メートルの円墳。横穴式石室もあり、地域の有力者が埋葬されていたとみられる。76年に池田市の調査で見つかったが、詳しい調査はされていない。
府教委によると、同社は地権者から用地を借り、高さ約14.8メートルの鉄塔建設を計画。昨年9月に同市と府池田土木事務所と打ち合わせて、風致条例と砂防法に基づく届け出が必要だとの指示を受けた。今年2月に砂防法の届け出を出し、4月下旬に着工した。
しかし風致条例による届け出をしていないことが5月に住民の指摘で判明。現場が工事前に文化財保護法で届け出が必要な「周知の埋蔵文化財包蔵地」であることも初めて認識したという。
府教委から指摘を受けたドコモ側は5月27日に工事を中断し、府と府教委に風致条例と文化財保護法に基づく届けを出した。現場はコンクリートの基礎工事が進んでおり、墳丘や石室の大半が破壊されていた。
府教委の文化財担当者は「業者が必要な手続きを怠ったことに加え、市も古墳があることを業者に伝えていなかった。原状回復は不可能で、初歩的なミスで貴重な遺跡が失われてしまったのは極めて残念だ」と話した。
NTTドコモ関西広報宣伝部は「届け出を怠った単純なミスで申し訳ない。行政の指導に従いたい」としている。 [朝日新聞 2005年06月16日11時27分]
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