いつまで派兵するかは、アメリカのご意向次第…、という訳で、アメリカの要請を受けて、派兵期間の延長へ。
12月以降の駐留を打診 米がイラク自衛隊派遣で
イラク移行政府が米軍主体の多国籍軍の駐留を来年以降も継続するよう求めていることを踏まえ、米国務省が外務省に対し、ことし12月に期限が切れる自衛隊の派遣延長を非公式に要請してきていることが24日分かった。政府筋が明らかにした。
日本政府は回答を留保しているが、外務省幹部は多国籍軍の駐留延長が決まった場合は、自衛隊派遣の延長も避けられないとの見方を示す。一方、サマワで23日発生した爆発事件での陸上自衛隊車両の損傷で、防衛庁・自衛隊内では延長に慎重論が強まるのは確実。対米配慮か派遣隊員の安全優先か、小泉純一郎首相は難しい判断を迫られる。[共同通信 6月25日2時5分更新]
サマワの自衛隊、駐留延長論が政府内で浮上
政府内で、イラク南部サマワで活動する陸上自衛隊の派遣期限を、現在の12月14日から延長する議論が出ている。
米軍を中心とした多国籍軍の駐留は来年以降も続くと見られ、「米国との同盟関係を考えると、日本だけが撤収するわけにはいかない」(外務省筋)という事情がある。しかし、治安面の不安から長期の駐留に対する慎重論もあり、政府内の意見集約はできていない。◆再 考◆
イラクへ主権が移譲されてから、28日で1年を迎える。
細田官房長官は27日の記者会見で、「イラクの民主化をお手伝いするのは、日本の大きな役割だ」と述べ、日本のイラク支援の意義を強調した。ただ、自衛隊派遣の期限については「(期限は)年末であり、まだ、考える状況にはない」と指摘するにとどまった。
昨年6月に採択された国連安全保障理事会の決議は、今年末のイラク本格政権樹立に伴い、多国籍軍の任務は終了すると定めている。しかし、米軍に対する武装勢力の攻撃は収まる気配はない。ラムズフェルド米国防長官は23日、多国籍軍の撤収時期を明示せず、来年以降も駐留するとの見方が広がった。
日本政府は、昨年12月に現在の派遣期限を決めた時点では「再延長せず、活動終了」が既定路線だったが、これも再考を迫られている。
昨年以降、スペイン、オランダなどが相次いでイラクから部隊を引き揚げた。多国籍軍を構成する国は多い時は40か国近くにのぼったが、今は28か国に減っており、「イラクに自衛隊の旗を掲げておいてほしいという米国の期待は大きい」(日米関係筋)。
サマワの治安維持を担当しているオーストラリア軍が、少なくとも来年4月までの駐留を予定していることも、自衛隊の駐留延長論を補強している。◆不 安◆
ただ、防衛庁を中心に、安全確保の面で不安は残る。23日に自衛隊を狙ったと見られる爆発事件が発生し、宿営地外での活動に支障が生じている。
また、政府内には、「サマワの町づくりが進めば、復興活動にあたる自衛隊の存在意義は小さくなっていく」という指摘もある。
日本の政府開発援助(ODA)で浄水器が供与された結果、自衛隊は2月初旬に給水支援を終えた。今は学校や病院、道路などの公共施設の復旧などが活動の中心になっており、「自衛隊でなければできない、というわけではない」(政府関係者)のも確かだ。◆4基準◆
大野防衛長官は27日、都内で講演し、自衛隊の派遣期間は「日本が主体的に判断する」と強調し、判断基準として<1>イラクの経済発展の状況<2>治安状況やイラク治安部隊の能力向上の状況<3>政治プロセスの進ちょく状況<4>国際社会や各国の動向――の4点を挙げた。
郵政関連法案の国会審議が大詰めを迎えており、与党を交えた本格的な議論は8月以降になると見られる。
仮に派遣期間を延長する場合、派遣規模の縮小を模索する向きもあるが、「自衛隊は地元住民を雇用している。派遣規模の縮小は、雇用の減少につながり、住民の反発を招きかねない」という慎重論もある。サマワ以外に自衛隊を展開することも可能だが、「改めて治安の良い地域を見つけ、宿営地を確保するのは難しい」という意見が大勢だ。[読売新聞 6月28日0時24分更新]