投稿の順番が前後してしまいましたが、先々週、渋谷Bunkamuraル・シネマで映画「Dear フランキー」を見てきました。(今年17本目)
舞台はスコットランド。台詞は、スコットランド風英語で、最初、映画が始まったときは、いったい何語?と思ってしまったほどです(まあ、僕の語学力が乏しいせいですが)。
難聴の少年フランキー(ジャック・マケルホーン)を育てるシングルマザーのリジー(エミリー・モーティマー)、それにリジーの母親ネルの3人家族は、何度目かの引っ越しの様子。貧しいながら、毎日、新聞の死亡欄や尋ね人の欄を確かめるネル。フランキーは、船乗りの父親にあてて手紙を書くのが楽しみで、父親からは、寄港先の珍しい切手が送られてくる。しかし、その手紙は、実は母親のリジーが、フランキーに寂しい思いをさせないために、書いていたものだった。そんなある日、地元の新聞に、父親の乗った船が入港する、という記事が載り、フランキーとクラスメートとは、父親が会いに来るかどうかで賭けをすることに。それを知ったリジーは、1日だけの父親役を捜すことに…。
ということで、予告編やチラシで紹介されているストーリーだけでも十分泣けてくるお話なんですが、実際に映画を見ると、シングルマザーで障害をもった子どもを一生懸命に育てる家庭の暮らしぶりがリアルに描かれていて、ぐっと引き込まれます。ストーリーの展開とともに、なぜリジーたちが引っ越しをくり返しているのか、なぜネルが毎朝新聞を確かめるのか、なぜフランキーが難聴になったのかが明らかになります。生活はけっして楽じゃないし、街の景気だってけっして良くはなさそうな、そんな暮らしのなかで、フランキーと父親役のストレンジャー(ジェラルド・バトラー)との出会いが、新しい変化を生み出していく様子が、微笑ましく、温かく感じられました。
ロケがおこなわれたのは、スコットランド、グラスゴー近郊のグリーノックという港町。映画の中で、フランキーたちが街を見下ろす丘に登る場面が登場しますが、丘の上から見下ろした町は、港があり、ドックがあり、湾の向こうには山並みも見えて、とても美しいところです。それでも、緯度が高いので、どこか薄暗く、淋しげな感じがして、それが映画の情感をいっそうそそってくれます。
1日だけの父親役を引き受けたストレンジャーが、フランキーに初めて出会うシーン。フランキーのほしがっていた図鑑を受け取ってようやく“本物”と確信したフランキーに抱きつかれたときの、ぎこちない表情がみものです。映画はいろんなことをそのままにして終わりますが、それは、映画を見た人が、このあときっとこの3人はこうなっただろう、こうなってくれたらいいなと自由に想像する余裕を残してくれたんだろうと思います。
主演のエミリー・モーティマーが、インタビューに答えて「すごくシンプルなストーリーなのに複雑で奥深い面を併せ持つという希なスタイルを持った脚本だと感じた。(スコットランドという)地方カラーが強くて、印象的」と語っていますが、ほんとにそのとおりだと思います。祖母役のメアリー・リガンズ、リジー一家が住むアパート近くで店をきりもりするマリー役のシャロン・スモールの脇役はもちろん、フランキーが転校した学校で出会うリッキー(ショーン・ブラウン)とカトリオーナ(ジェイド・ジョンソン)を演じた2人の子役が素晴らしいと思いました。
→公式サイト 『 Dear フランキー 』
【映画情報】監督・撮影:ショーナ・オーバック/脚本:アンドレア・ギブ/出演:ジェラルド・バトラー、エミリー・モーティマー、ジャック・マケルホーンほか/2004年 英国
(参考ブログ)
- 三茶ぶらぶら日記: Dear フランキー
- Diarynote: Dear フランキー
- Take it easy.
- 映画だ――いすき! !
- Doblog – かいもの にっき –
- 映画鑑賞カレンダー:『Dear フランキー』
- 日々映画。:Dear フランキー
- わみこ日記:Dear フランキー
あちこちブログを見てみたら、主人公3人だけじゃなく、脇役、とくにフランキーの友だち2人がいいという感想や、エンディングが良かったというコメントが多いので、「な〜んだ、そう思ったのは僕だけじゃないのか…」とちょっとガッカリ。(^_^;) でも、同じところに気づく人がたくさんいて、うれしくなりました。
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久々に感動しました。心の底から、リジーに幸せになって欲しい。ストレンジャーと一緒になればいいのに、と思いました。ヒネクレ者故、あまりハッピーエンドは望まないのですが、この「Dearフランキー」は望みました。
みんな普通の人で、普通の生活をしている。肩の力が抜けた作品で、見終わったあとも余韻が残った。
お目当てのJ・バトラーもカッコよかった(笑)
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