「日本の戦争は正しかった」とする“靖国史観”派にたいするアメリカのメディアの報道を2つ紹介します。
1つはニューヨークタイムズ紙6月22日付の記事、もう1つは、USAトゥデー紙6月23日の記事です(抄訳)。
日本のために無罪判決を求める戦争神社
ニューヨークタイムズ6月22日付靖国神社は、日本の軍国主義の過去を再評価しようとする動きの象徴的中心であり、日本と近隣諸国との関係悪化の核心に横たわっている。……
靖国の戦争博物館〔遊就館のこと――訳注〕は、「参戦によってアメリカ経済は完全に復興した」と言うことによって、アメリカが大恐慌から逃れるために、日本に真珠湾攻撃を強要したと主張する。博物館で上映されている「私たちは忘れない」というビデオは、アメリカの戦後の日本占領を「無慈悲」なものと描き出している。しかし博物館は、日本自身のアジア占領には言及していない。たとえば南京大虐殺について、博物館は、中国人司令官を非難し、日本の活動によって「市内では、市民が再び平和な生活を送れるようになった」とつけくわえている。……
靖国史観は、ほとんどのアジア人やアメリカ人が受け入れることのできないものである。
東京の神社がアジア中の怒りの的
USAトゥデー紙6月23日付数十年前、帝国の日本軍に占領され、じゅうりんされた中国、韓国その他のアジア諸国は、小泉首相の挑戦的な靖国参拝が、血塗られた過去へ反省を示すことを日本が拒否していることの象徴であるとみている。問題は、1978年に靖国神社が……第2次世界大戦後国際法廷によって有罪を宣告された14人の「A級」戦犯を、ひそかにまつったことである。
靖国神社をめぐる(そして、日本の戦争中の残虐行為をもみけそうとする教科書をめぐる)論争は、日本にとって外交上の結果をもたらしつつあり、アジア中の神経を逆なでしている。……靖国神社のウェブサイトは、1941年の真珠湾攻撃と中国・東南アジアの侵略をこんなふうに説明している。「国の独立と平和を維持し、全アジアを繁栄させるために、日本は戦争を余儀なくされた」。靖国神社は、悪びれることなく、14人の戦犯を「連合軍のでっちあげ裁判で戦犯の汚名をきせられ」た殉難者だと描いている。
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USA TODAY紙の記事はこちらから。→USATODAY.com – Tokyo shrine a focus of fury around Asia