国連改革枠組み決議案(G4案)の共同提案国は、G4を除く23カ国。それを地理的に分類すると…。
※その後、リトアニアとマーシャルが共同提案国に参加し、共同提案国はG4を除いて25カ国になりました(「日経」7/12付による)。
- アジア(3カ国)
- アフガニスタン、ブータン、モルディブ
- ヨーロッパ(
11カ国12カ国) - ベルギー、チェコ、デンマーク、フランス、グルジア、ギリシャ、アイスランド、ラトビア、ポーランド、ポルトガル、ウクライナ、リトアニア※
- 大洋州(
6カ国7カ国) - フィジー、キリバス、ナウル、パラオ、ソロモン、ツバル、マーシャル※
- 中南米(3カ国)
- ハイチ、ホンジュラス、パラグアイ
※リトアニアとマーシャルはその後共同提案国に参加。
(注)地理的区分は、外務省ホームページの「各国・地域情報」の分類による。
ということで、日本はアジアから3カ国の賛同しか得られなかったのとは対照的に、ドイツがヨーロッパ11カ国12カ国から賛同を得ていること(しかも、そのなかにはベルギー、フランス、ギリシャ、ポーランドなど、かつてナチス・ドイツの被占領国が含まれていること)が目立ちます。
安保理拡大枠組み決議案、共同提案国は23 G4が提出(朝日新聞)
安保理拡大枠組み決議案、共同提案国は23 G4が提出
国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本、ドイツ、ブラジル、インドの4カ国(G4)は6日午後(日本時間7日早朝)、アフガニスタン、ベルギー、パラグアイなど23カ国と共同で、安保理を15カ国から25カ国に拡大する「枠組み決議案」を国連総会に提出した。11日から国連総会で審議される。G4は7月中の採決を目指すとしているが、採択に必要な賛成票を確保する見通しは立っておらず、「見切り発車」の提出となった。
G4は8日、ロンドンで外相会合を開き、今後の方針などについて協議する。決議案は常任理事国を6カ国、非常任理事国を4カ国増加させるのが柱。新常任理事国の拒否権は15年間凍結するとしている。
当初は100カ国を超える共同提案国を集めたうえで、6月中の採決を目指すとしていたが、イタリアやパキスタンなどの「コンセンサス連合」や中国などの強い反対にあったほか、米国も独自の安保理改革案を示し、アフリカ連合(AU、53カ国)も独自の決議案提出を決定。共同提案国は23カ国にとどまった。
G4は、決議案の成立に必要な加盟国の3分の2以上にあたる128カ国の賛成が確保されてから、決議案を総会に提出するとしてきた。だが、アフリカ諸国が態度を保留していることもあって「賛成が確定しているのは100カ国程度」(国連外交筋)という。
背景には「各国の国連代表部が8月の夏季休暇に入る前に採決するには、これ以上提出を遅らせられない」「このままでは反対派の切り崩しにあい、勢いをそがれてしまう」との意見がG4内で強くなっていたためという。
◇
枠組み決議案の共同提案国(G4を除く)は次の通り。
アフガニスタン、ベルギー、ブータン、チェコ、デンマーク、フィジー、フランス、グルジア、ギリシャ、ハイチ、ホンジュラス、アイスランド、キリバス、ラトビア、モルディブ、ナウル、パラオ、パラグアイ、ポーランド、ポルトガル、ソロモン、ツバル、ウクライナ[asahi.com 2005年07月07日11時36分]
G4:アジアの共同提案国、中国の圧力で3カ国にとどまる
日独など4カ国グループ(G4)は日本時間7日、安保理拡大の枠組み決議案を国連事務局に提出したが、共同提案国に加わったのは当初の目標100カ国を大きく下回る23カ国にとどまった。このうちアジアは、ブータン、モルディブ、アフガニスタンの3カ国のみ。日本の常任理事国入りに反対する中国の圧力が主な原因とみられるが、「アジアの代表」を掲げて常任理事国入りを目指す日本にとって厳しい現状を突きつけられた格好となった。
日本は「アジアから共同提案国ゼロは避けなければならない」(外務省幹部)として、政府開発援助(ODA)の供与額が多い東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に働きかけてきた。しかし、中国が日本の先手を打って特使を派遣するなどしてG4案に反対するよう説得活動を展開。日中両国に挟まれたアジア諸国からは「共同提案国になるのは勘弁してほしい」との声が相次ぎ、日本の対アジア戦略はつまづいた。【山田夢留】
[毎日新聞 2005年7月7日 22時06分 (最終更新時間 7月8日 3時04分)]
その後、共同提案国にリトアニアとマーシャルが加わった、というのは↓こっちのニュースから。
日独など、安保理改革案を総会に提示・中国は反対表明(日経新聞)
日独など、安保理改革案を総会に提示・中国は反対表明
【ニューヨーク=鈴木哲也】日本、ドイツなど4カ国(G4)は11日、安全保障理事会拡大の「枠組み決議案」を国連総会に正式に提示し、加盟国の協議が始まった。日本の大島賢三国連大使は演説で「日本は新常任理事国になることで国際平和の維持に重要な役割を果たせる」と述べ、決議案への支持を求めた。
しかし、中国など反対意見の表明も多く、採択の見通しは立ってない。中国の王光亜大使は「議論が熟していない問題で加盟国が投票を強制される状況をなんとしても阻止する」とG4を強くけん制。パキスタンやアルゼンチンも反対意見を表明し、G4決議案への賛否両論が真っ向から対立した。
G4決議案の共同提案国は新たにリトアニアとマーシャル諸島が加わり29カ国に増えた。大島大使は「大多数の加盟国は安保理改革が喫緊の課題であると認識しており、決定を行う時期がきた」と強調。20日前後に投票を実施し、加盟国の3分の2(128カ国)以上の賛成で採択に持ち込む構えだ。 [NIKKEINET 2005/07/12 10:35]
これまで、日本の常任理事国入りについて、これまでに僕が書いたこと。
僕は、日本の国連安保理常任理国入りそのものに絶対反対という訳ではありません。だからといって、積極的に賛成もしませんが。しかし、そのために必要な、常任理事国になって世界政治にどう働きかけるのかについての国民的な議論が全然なされないまま、「大国」意識むき出しに「何が何でも、常任理事国に」というやり方には反対です。
また、常任理事国になるのであれば、日本国憲法の平和理念に立って、非軍事で積極的に世界の平和、非核化、「恐怖や欠乏からの解放」のために活動することを望みます。常任理事国→軍事的国際貢献→憲法改正という「ためにする」常任理事国入りの議論は、ご免被ります。
ピンバック: 社長の本音日記
ピンバック: 恵比寿法律新聞