興梠一郎『中国激流』

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岩波新書の新刊、興梠一郎氏の『中国激流 13億のゆくえ』を読み終えました。『現代中国 グローバル化のなかで』(岩波新書、2002年)に続く2冊目の本です。

著者は、序章「岐路に立つ改革」の最初の小見出しを「改革の臨界点」としていますが、“まさしくいままさに中国「改革」は臨界点にある”――つまり、爆発寸前のぎりぎりの状況に至っている。これが、本書をつらぬく著者の主張です。実際、爆発寸前のぎりぎりの様子が、中国各地の大小様々な事件によって、生々しく?描き出されています。

しかし、一読した印象では、「生々しい」はずの事件やデータが、実は2年前や3年前のものであったりするため、ちょっと混乱させられます。そのなかには、すでに中国の党や政府自身も、問題の深刻さを認識して、いろいろ対処し始めているものもある(そのこと自身は、著者も書いている)ので、いろいろな問題が噴出していること自体は分かっても、党や政府が、中国全体をどこへ導こうとしているのか、中国の「改革」自体をどこへ向けようとしているのかがわかりにくいという印象を受けました。変化の早い中国だけに、このあたりはもう少し整理してほしかったと思いました。
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こんなニュースが流れているが…

小泉首相が9月下旬に訪米し、日米首脳会談をやるというニュースが流れています。

いちおう記事中では、「ただ郵政民営化関連法案の採決をめぐり日本の政局が混乱すれば、日程見直しの可能性もある」とは書かれていますが、いったいどうするつもりなのやら…。

首相、9月下旬に公式訪米 首脳会談で同盟強調(中国新聞)
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そんな結果は知らないが

もういちいち公開するのが面倒になったスパムメールですが、登録の文中に「夏休み」という言葉を入れれば自由に使えるという奇妙なお誘い文句が気に入ったので、ここに貼り付けたいと思います。(^_^;)

しかし、「ポイントを気にせず」とあっても「無料」になるとは書かれていません。というか、下の方を読んでいくと、使えばやっぱり会費や維持費が発生するようで、このあたり要注意です。

で、高木友里って、だれ?
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「満州はドイツの権益を譲り受けた」――安倍晋三氏、珍説を開陳

サンデープロジェクトで、自民党の安倍晋三幹事長代理と共産党の志位和夫委員長とが対決。そのなかで、安倍氏は、「満州は攻め入ってつくったわけではない」「満州の権益は、第1次大戦で日本がドイツの権益を譲り受けた」と発言していました。

しかし、第1次世界大戦で「戦勝国」として、日本が中国から取り上げたドイツ権益は山東省の青島・膠州湾地域のもの(ベルサイユ講和条約第4篇8款、参照)。日本が中国につきつけた「対華21カ条要求」でも、山東省のドイツ権益以外に、日本が寄こせと要求したドイツの権益はありません。それに、そもそもドイツは「満州」(中国東北地方)に「権益」など持っていなかったのですから、もともと譲り受けようもなかったのです。

安倍晋三ともあろうお方が、この程度の知識で「歴史問題」を論じていたとは…。「無知(無恥?)より強いものはない」。あれこれいう前に、まず歴史のお勉強をしましょう。
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