衆議院が戦後60年決議を採択

衆議院が、共産党を除く自民・民主・公明・社民などの賛成で、戦後60年の国会決議を採択。

メディアではまだ要旨しか流れていませんが、10年前の決議に比べても明らかに後退。歴史に残る無意味な決議になりそう…。

衆院で戦後60年決議採択 50年決議「想起」(共同通信)

衆院で戦後60年決議採択 50年決議「想起」

 衆院は2日午後の本会議で、戦後60年の国会決議を採決、共産党を除く自民、公明、民主、社民4党などの賛成多数で採択した。
 与党側が提示した案文に1995年の戦後50年決議に明記された「植民地支配」や「侵略的行為」という文言が盛り込まれていなかったことに、野党側が「内容が後退している」(民主党幹部)と反発、調整が続いていた。同日午前までに共産を除く4党が、戦後50年の国会決議の内容を「想起」するとの表現を加えることで一致した。
 採決の際、自民党の平沼赳夫前経産相ら一部議員が退席した。
 名称は「国連創設およびわが国の終戦・被爆60周年に当たり、さらなる国際平和の構築への貢献を誓約する決議」。国際平和の維持と創造に果たした国連の努力を高く評価し、「わが国の過去の一時期の行為がアジアをはじめとする他国民に与えた多大な苦難を深く反省」すると記述。さらに「唯一の被爆国」として、核廃絶や戦争回避などに努力するよう、政府に求めている。[共同通信 8月2日13時36分更新]

衆院の戦後60年決議要旨(中国新聞)

衆院の戦後60年決議要旨

 国連創設およびわが国の終戦・被爆60周年に当たり、さらなる国際平和の構築への貢献を誓約する決議(案)の要旨は次の通り。
 国際平和の実現は世界人類の悲願であるにもかかわらず、戦争による惨禍が絶えない。戦争やテロリズムなどによる人命の喪失が続き、大量破壊兵器の拡散も懸念される。
 このような国際社会の中で、本院は国連が創設以来60年にわたり、国際平和の維持と創造のために発揮した英知と努力に敬意を表する。
 われわれは、ここに10年前の「歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議」を想起し、わが国の過去の一時期の行為がアジアをはじめとする他国民に与えた多大な苦難を深く反省し、あらためてすべての犠牲者に追悼の誠をささげる。
 政府は、日本国憲法の恒久平和の理念のもと、唯一の被爆国として核兵器の廃絶、あらゆる戦争の回避、世界連邦実現への道の探究など、持続可能な人類共生の未来を切り開くための最大限の努力をすべきだ。
[中国新聞 First upload: 8月2日12時33分 ]

全文を入手しました。(以下、8/3追記)

国連創設及びわが国の終戦・被爆六十周年に当たり、更なる国際平和の構築への貢献を制約する決議(衆議院本会議、8月2日採択)

 国際平和の実現は世界人類の悲願であるにもかかわらず、地球上に戦争等による惨禍が絶えない。
 戦争やテロリズム、飢餓や疾病、地球環境の破壊等による人命の喪失が続き、核兵器等の大量破壊兵器の拡散も懸念される。
 このような国際社会の現実の中で、本院は国際連合が創設以来六十年にわたり、国際平和の維持と創造のために発揮した叡智と努力に深く敬意を表する。
 われわれは、ここに十年前の「歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議」を想起し、わが国の過去の一時期の行為がアジアをはじめとする他国民に与えた多大な苦難を深く反省し、あらためてすべての犠牲者に追悼の誠を捧げるものである。
 政府は、日本国憲法の掲げる恒久平和の理念のもと、唯一の被爆国として、世界のすべての人々と手を携え、核兵器等の廃絶、あらゆる戦争の回避、世界連邦実現への道の探求など、持続可能な人類共生の未来を切り開くための最大限の努力をすべきである。
 右決議する。

この決議がどれほど無内容かは、わずか400字程度の短い文章のなかに、「等」や「など」がどれほど出てくるかを見ただけでも明らかです。「10年前の決議を想起して」というフレーズが追加されたと言いますが、10年前の決議は、「植民地支配」や「侵略的行為」という文言は登場するものの、それらは「世界の近代史上」に数多あるエピソードになってしまっています。そんななまくら決議の「植民地支配」「侵略的行為」の文言さえ拒絶した今回の決議は、日本の政治が、戦後60年間たって、結局、日本の行った侵略戦争や植民地支配と向き合うことがまったくできていないということを歴史に残す役割しか果たさないということです。

↓で、こっちが、その10年前の決議。

歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議(衆院本会議、95年6月9日)

 本院は、戦後五十年にあたり、全世界の戦没者及び戦争等による犠牲者に対し、追悼の誠を捧げる。
 また、世界の近代史上における数々の植民地支配や侵略的行為に思いをいたし、我が国が過去に行ったこうした行為や他国民とくにアジアの諸国民に与えた苦痛を認識し、深い反省の念を表明する。
 我々は、過去の戦争についての歴史観の相違を超え、歴史の教訓を謙虚に学び、平和な国際社会を築いていかなければならない。
 本院は、日本国憲法の掲げる恒久平和の理念の下、世界の国々と手を携えて、人類共生の未来を切り開く決意をここに表明する。
 右決議する。

このような無意味な決議でさえ、けしからんといって退席してしまった議員がいます。新聞報道から名前の分かった議員は以下の通り(このほかにも、当然いたのでしょう)。片や幹事長代理、片や副代表と、党幹部が先頭切って侵略戦争に少しも反省を示さないという点でも、自民党・民主党に遜色ないことがよく分かります。

【自民党】安倍晋三・幹事長代理、平沼赳夫・前経済産業相)、松下忠洋・元内閣府副大臣、古屋圭司・元経済産業副大臣
【民主党】西村真悟・「正しい歴史を伝える国会議員連盟」事務局長、米沢隆・党副代表、中井洽(ひろし)・党副代表、達増(たっそ)拓也・党政務調査会副会長

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