自分は自殺するつもりなんてさらさらないのに、「自殺サイト」で相手をつって、首を絞めるなどして殺し、苦しむ姿を楽しむ…。病気だわな、これは。
「一緒に自殺」女性殺害 男逮捕「苦しむ姿、快感」 大阪(産経新聞)
「一緒に自殺」女性殺害 男逮捕「苦しむ姿、快感」 大阪
インターネットの自殺サイトで知り合った女性を「一緒に自殺しよう」と誘い出し、殺害したとして、大阪府警は5日、殺人と死体遺棄の疑いで、同府堺市鴨谷台、人材派遣会社社員、前上博容疑者(36)を逮捕した。前上容疑者は「自分は自殺するつもりはなかった。苦しむ人を見るのが快感だった」と供述。自殺志願者の心理につけ込んだ「快楽殺人」だったことを認めている。自殺サイトを利用した殺人は初めてのケース。
調べでは、前上容疑者は2月19日午後10時ごろ、大阪府河内長野市加賀田の路上に止めたレンタカーの中で、自殺サイトを通じて知り合った同府豊中市三国、無職、長元美智子さん=当時(25)=の鼻と口を押さえて殺害。近くの加賀田川河川敷に遺体を埋めた疑い。
前上容疑者は昨年12月末、自殺サイトで知り合った長元さんとメール交換を開始。犯行当日の午後6時ごろ、長元さんを自宅近くまで車で迎えに行き、約40キロ離れた現場周辺に停車。自殺の準備をするふりをしながら、すきを見て手足をビニールひもで縛り、鼻と口を手で押さえて数回にわたって苦しませた末、殺害した。
前上容疑者は「男でも女でも、苦しむ顔を見るのがたまらない」と供述。長元さんの胃には大きさ約7センチのサツマイモが丸ごと残っており、大阪府警は死因との因果関係も調べている。
前上容疑者は、生前の長元さんにメールの削除を指示。犯行後は長元さんの衣服を近くの池に捨てるなど、隠蔽(いんぺい)工作も行っていた。
≪ネットで物色 偽装メール≫
「男でも女でも、苦しむ顔を見るのがたまらない」。自殺サイトで知り合った長元さんを誘い出し、殺害した容疑で逮捕された前上容疑者は、不安定な心理状態の自殺志願者に“共鳴”するふりをして、ネット上で殺害対象を物色していた。
殺害に通じる衝動は中学生時代からとみられ、大阪府警の調べにも「小説の挿絵に、子供が口を押さえられる様子が描かれているのを見て興奮した」と供述。自作のホームページに主人公の自分が他人を窒息させる小説を書き、ネットで入手したグロテスクな写真を掲載していた。
平成7年から14年にかけては、通行人の口をふさいだとして傷害容疑で3回逮捕されており、実刑判決を受けたこともあった。
自殺サイトに網を張り始めたのは昨年10月。約2カ月後に知り合った長元さんに「練炭自殺をしませんか」と持ちかけ、「お願いします」と応じられると、練炭や七輪を用意してみせるなど、信用を得るためにさまざまな行動をとった。
「どうせ死ぬんやから夕食を抜いてください」「練炭自殺の準備がしにくくなるのでつめを切っておいてください」「実行どうですか」。犯行直前までのメール交換は約20回。殺害現場となった山中の写真を「ここが死ぬ場所です」と送りつけたこともあった。
前上容疑者は元警官の父親と母親の3人暮らし。友人付き合いはほとんどなく、タクシー運転手などの職を転々としていた。一方の長元さんは母親(62)と2人暮らしで、ここ数年は部屋にこもってインターネットにふけることが多かったという。
[産経新聞 2005/08/06 東京朝刊]