NHKのニュースでも取り上げられていましたが、コンピュータ会社の「デル」が店頭販売員の採用で、川崎市の本社で面接を行ないながら、実は派遣会社に採用させて、その派遣会社から派遣された形にするという違法行為をはたらいていた事件で、法人としての「デル」そのものと、人事担当の社員(すでに退社)が職業安定法違反(許可を受けずに、就職紹介事業をはたらいた)の容疑で書類送検されることになりました。
採用された販売員にはデルの肩書きの名刺を持たせ、本人が会社に問い合わせるまで、派遣会社の採用であることを隠していたそうな。同様の手口で170人も採用していたというのは、呆れる話。
こんなあくどいことをやっておきながら、職業安定法違反というのも釈然としないけれど、詐欺などで告発すると法人の責任が問えないのでやむを得ないものらしい。ともかく、法人としてのデルの責任が問われたわけだし、社長みずから、社会保険料を払いたくないのでやったことを認めている。販売員が勇気をもって告発にふみきったことに喝采を送りたい。
デルの店頭販売員、自社で面接後に派遣扱いで採用か(読売新聞)
デルの店頭販売員、自社で面接後に派遣扱いで採用か
米大手パソコンメーカー、デルの日本法人「デル」(本社・川崎市)が、店頭販売員を確保する際、自社で面接を行ったうえで、人材派遣会社から派遣させる形で働かせていた疑いが強まり、神奈川県警幸署は、職業安定法違反容疑で同社と当時の採用担当者ら数人を近く書類送検する方針を固めた。
調べによると、同社の採用担当者らは2002年8月、パソコンの店頭販売員として応募した男性(30)を面接し、職業紹介の許可を受けていないのに人材派遣会社に紹介した疑い。男性は派遣社員として、家電量販店でデル社のパソコンを販売していた。
同署では、同社が02年5月から03年12月にかけ、計約170人を人材派遣会社に紹介したとみている。同社の浜田宏社長は事情聴取に対し、「社会保険料がかさむのでやった。私の責任」と話しているという。
男性が昨年2月、同社に問い合わせて発覚、今年7月、告訴していた。
(2005年8月11日11時34分 読売新聞)
しかし、そもそも「派遣にすれば社会保険料が節約できる」という仕組みそのものが問題。派遣であっても、保険に入らなければならないのだし、派遣会社自身がちゃんと保険に入っているかどうか監督すべきだし、企業の側には派遣会社が保険料を払えるだけの費用をちゃんと払わせる必要がある。
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