ロンドンで誤射されたブラジル青年、不審な行動なし

ロンドンの同時テロ事件に関連して、武装警察官に射殺されたブラジル人男性が、実は、当初言われていたような不審な行動はとっていなかったと、イギリスのメディアが警察資料にもとづき報道。

だとすれば、一体なぜ彼は殺されなければならなかったのか? なぜ、誤認の可能性があるにもかかわらず、その場で射殺するという方針が正当化されるのか? イギリス政府のテロ対策が根本から問われることに。

英テロ捜査で射殺された男性「不審な行動なし」(朝日新聞)

英テロ捜査で射殺された男性「不審な行動なし」

 ロンドンの同時テロ事件に関連して先月22日、地下鉄駅で武装警察に射殺されたブラジル人男性について、複数の英メディアが17日、警察の内部資料に基づき、「男性は当初言われた不審な行動はとっていなかった」と報じた。
 この誤射事件をめぐっては、当初、警察筋の話として、殺されたジェアン・シャルレス・デメネゼスさん(27)が捜査官の追跡に気づいてストックウェル駅の改札を飛び越えて構内に逃走した、とされていた。また、同じように警察筋の話で、暑い日なのに厚手のジャケットを着ていたため、自爆の恐れがあると見て頭部に銃弾を撃ち込んだとも報道されていた。
 しかし、ITVテレビや「ガーディアン」紙が入手した内部捜査資料によると、デメネゼスさんは、通常通りに改札を歩いて通過し、途中で構内に置かれた無料新聞を手に取るなど、逃亡しようとした形跡はなかった、という。またデメネゼスさんは、薄いデニムの上着を着ており、爆発物を隠すような服装ではなかった。
 警察当局は、誤ってデメネゼスさんを射殺したことが分かった後も、「自爆の疑いが差し迫っている場合には射殺する」との方針を取り下げていない。しかしデメネゼスさんの遺族や弁護士は、公開での調査を強く要求しており、今後の進展次第で、銃器取り扱いの手続きの見直しを迫られる可能性が出ている。[朝日新聞 2005年08月17日23時45分]

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