今日の日本記者クラブ主催の各党党首討論会。国政選挙のたびに開かれていますが、毎度思うのは、ジャーナリストのとんちんかんな質問。今日も、第2部で道路公団の人事問題などで記者が小泉首相にずいぶんと食い下がってたけど、なんであんなことを各党党首討論の席上、長々と質問するのか? 党首討論という場所を、自分たち政治部記者の興味本位な質問でつぶしてほしくないなぁ…。
それからもう1つ。小泉首相は、聞かれていることには答えず、聞かれてないことを延々と喋る。司会はもう少し的確に交通整理すべきだ。いわゆるサラリーマン増税に関連して、共産党の志位委員長が、政府税調の控除見直しの方針は与党の「税制改正大綱」を具体化したもの、サラリーマン増税をしないというなら「税制改正大綱」を撤回するのかという質問に、小泉首相は、ほんとに無関係なことばかり延々と喋って、結局、撤回するのかしないのか、明言しなかった。
しかしそれでも、首相は、“税制改革は消費税、所得税、法人課税、各種控除もふくめて一体的にやる。法人課税は、海外と比べて負担が重いということがないようにしなければならない”と発言。結局、大企業には減税し、あとは消費税でとるか、所得税でとるか、控除の見直しでとるか、どこからとるかの違いでしかないことを事実上みとめたかっこうに。
一方では、自分の首相任期はあと1年だけども、こんどの政権公約は党として決めたもの、私のあとの総裁だってきちんとやると言っておきながら、消費税増税になると、「私の任期の間はやらない」と繰り返すだけで、そのあとどうするつもりかという質問には答えようとしない。結局、小泉首相は、都合の悪いことは、言を左右にして逃げ回るだけで、まともに説明しようとしなかった。
ということで、今日の党首討論会について、いろんなメディアが報道しているけれど、結局、このロイターの記事が、比較的まともな方かな。
[焦点]衆院選あす公示、消費税含む税制改正論議で新たな攻防も(ロイター)
[焦点]衆院選あす公示、消費税含む税制改正論議で新たな攻防も
吉池 威記者
[東京 29日 ロイター] 第44回衆院選が30日公示され、本格的な選挙戦に突入する。小泉首相は郵政民営化の是非を国民に問いたいとして、最大の争点に挙げている。しかし、野党からは、年金改革や税制改正、特に消費税について追及され、新たな争点に浮上してきた。出足好調が伝えられた自民党だが、執行部内の消費税引き上げの考え方の違いがあぶりだされており、今後の発言の内容次第では形勢が逆転する可能性もある。
「在任中に消費税は引き上げない。来年9月の任期まで行財政改革を緩めない」。──小泉首相は29日午後、各党党首との討論会に出席し、これまでの主張を繰り返し強調した。これまでの首相の主張に振れはない。靖国参拝と消費税に関する発言には、とりわけ注意を払ってきた。政権の命取りになりかねないからだ。
しかし、この日も郵政民営化を防波堤とする小泉首相に、各党党首から消費税というくさびが打ち込まれた。首相は、消費税を引き上げることなく抜本改革ができるのかと聞かれ、「来年(2006年)暮れの税制改正で消費や法人、個人の課税などについてどのように見直されるかの議論が行われる」とかわした。
この後、2007年度に消費税を引き上げないで済むことはあり得ないのではないか、とたたみ込まれると、「(今後)消費税を07年にやりたいという人が出てきたとしても早いと思う」と答えた。首相の自民党総裁としての任期は来年9月までで、首相自身もその後は任期延長の可能性を否定している。
首相が任期後に言及したのは、自民党の武部幹事長が28日、民放テレビで、小泉政権に続く次の政権で消費税率を引き上げるかとの問いに「それはそうです」と答え、2007年度から消費税率を引き上げる方向性を認めてしまったことが背景と考えられ、今後も消費税論議で攻防が見られそうだ。
過半数の議席獲得を目指す自民、公明にとって、不安材料も出てきた。八代元郵政相(68)が29日、衆院東京12区から無所属で出馬するとを表明したためだ。これにより、自民支持票が12区から立候補する自民党推薦の太田昭宏公明党幹事長代行(59)と八代氏に分断される。公明党の神崎代表は自公の選挙協力について、「全く影響がないとはいえない」と話した。影響が全国レベルに及ぶ可能性も指摘されている。
共同通信社が27、28両日実施した衆院選に向けた全国電話世論調査(第2回トレンド調査)によると、比例代表で投票する政党は自民党29.7%、民主党18.3%となり、前回調査(20、21日)の自民31.5%、民主15.2%に比べ、両党の差が約5ポイント縮まった。
この調査では、最も重視する課題として「年金、医療など社会保障政策」を挙げた人が42.2%と6.4ポイント増え、争点を郵政民営化に絞ってきた小泉首相の勢いに陰りが見え始めた形だと指摘している。ただ、比例代表で投票行動を決めていないのは、36.1%(前回41.2%)を占め、その動向が選挙の鍵を握っている。
衆院の議席数(8日解散時)は、自民249、民主・無所属クラブ176、公明34、共産9、社民6、無所属3、欠員3の計4800。2年前の前回衆院選では、重複を含め1771人が立候補した。小泉首相は、29日の党首討論の中で、自民、公明両党で、目標としている過半数を1議席でも下回れば退陣する考えを表明した。
[ロイター 2005年 08月 29日 月曜日 19:00 JST]
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