小野善康『景気と経済政策』

小野善康『景気と経済政?』

伊東出張のときに読んだ『貨幣経済の動学理論』がおもしろくて、同じ著者の岩波新書『景気と経済政策』(1998年)を読み始めました。

こっちは、景気と経済政策の関係をどう考えるかというもっと具体的な話なので、経済理論そのものについての展開は少ないが、その分、難しい理屈よりも、基本になる考え方みたいなものが分かりやすく展開されている。

著者の強調することは、突き詰めていえば、たった1つ。同じ経済政策でも、景気の局面との関係で、政策の影響、効果は違ってくる、ということ。著者は、「供給側の経済学」と「需要側の経済学」という2つの角度から、その問題に迫っていくのだが、注意が必要なのは、著者がこの本でいうところの「供給側の経済学」「需要側の経済学」というのは、いわゆるサプライサイド・エコノミクスとかケインズ経済学とかをさすものではないということ。もっと広い意味で、1つの経済現象を2つの視点から取り上げている。

たとえば競争と企業淘汰の問題について。著者は、こう述べている。
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チリ、ピノチェト時代の憲法を改正

アメリカCIAの後押しで、チリのアジェンデ人民連合政権をクーデターで転覆したピノチェト独裁政権の憲法が、民政移管から15年をへて、ようやく改正されることに。

クーデターと軍政・独裁政権の犠牲となった人々を追悼しつつ、民主チリの新憲法を歓迎しよう!
Venceremos!(我々は勝利するぞ!)

チリ、ピノチェト軍事独裁時代の憲法改正案を承認(読売新聞)
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6万アクセス、突破しました!

昨日、6万アクセスを突破しました。
ありがとうございます。m(_’_)m

5万アクセスを超えたのは7月17日だったので34日で1万アクセスの計算になります。4万アクセスから5万アクセスまでは39日だったので、また少しアクセスが増えたようです。

拙いブログですが、これからもよろしくお願いします。

増税隠し 自民党

昨日、仕事帰りに、自民党の候補者のポスターを見つけたのですが、公約に「サラリーマン増税はおこないません」と書かれています。え?? 政府税調が各種所得控除の見直し・廃止を打ち出したのに、与党が反対するの? と思って、選挙公約を確かめてみました。(→自民党ホームページ

すると、こういうふうに書かれていました。

<7>税制の抜本的改革
引き続き聖域なき歳出改革に果断に取り組みながら、国民の合意を得つつ、新しい時代にふさわしい税体系を構築する。その中で所得税については、所得が捕捉しやすい「サラリーマン増税」を行うとの政府税調の考え方はとらない。なお、

  • 18年度において、三位一体改革の一環として、所得税から個人住民税への制度的な税源移譲を実現する。
  • 19年度を目途に、社会保障給付全般に要する費用の見通し等を踏まえつつ、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する。

しかし最初から読むと、「その中で……政府税調の考え方はとらない」の一文が浮いていると誰もが感じるのではないでしょうか。とってつけたような文章であることは間違いありません。

ちなみに、昨年12月に、自民党と公明党が合意した与党の「税制改正大綱」には、こう書かれています。(以下、引用は関係部分のみ抜萃)

第一 新しい時代への税制改革の道筋

 平成18年度においては、わが国経済社会の動向を踏まえつつ、いわゆる三位一体改革の一環として、所得税から個人住民税への制度的な税源移譲を実現し、あわせて国・地方を通ずる個人所得課税のあり方の見直しを行う。……
 さらに、平成19年度を目途に、長寿・少子化社会における年金、医療、介護等の社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通し等を踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する。(「税制改正大綱」2ページ)

ということで、ここまでは、今回の選挙公約と基本的に同じです。ところが、与党の「税制改正大綱」には、続けてこう書かれているのです。

 平成18 年度においては、わが国経済社会の動向を踏まえつつ、いわゆる三位一体改革の一環として、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実現し、あわせて国・地方を通ずる個人所得課税のあり方の見直しを行う。(同前)

「国・地方を通ずる個人所得課税のあり方の見直し」とは何か? 与党の「税制改正大綱」は、「第二 平成17 年度税制改正の具体的内容」の中で、「一 国・地方を通ずる個人所得課税」として、具体的な内容を次のように明らかにしています。

 国・地方を通ずる個人所得課税のあるべき姿と整合的な所得税・個人住民税の制度とする。このため、所得税においては、税率構造・控除双方の見直しを視野に入れ、検討を進める。また、個人住民税においては、税率のフラット化、低所得部分に係る負担調整措置等について、検討を進める。(同6ページ)

このように、自民党・公明党が合意した「税制改革大綱」では、所得税については、税率構造の見直し(つまり累進税率を下げる、またもや高額所得者の減税だ!)とともに「控除」の見直しにむけた検討を進めると、明記されているのです。政府税調の「論点整理」は、この与党の「税制改正大綱」の方針を具体化し、まさに控除の見直しに向けた検討をおこなったものです。

その証拠に、「論点整理」は、なぜ個人所得課税の見直しを行うのか、その理由として、次のように書いています。与党の「税制改正大綱」に従っていることは明白です。

 平成18 年度においては、定率減税を廃止するとともに、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を行う必要がある。税源移譲に際しては、国・地方を通ずる個人所得課税のあるべき姿と乖離することなく、所得税・個人住民税双方において税率構造を中心とした抜本的な見直しが必要となる。(「論点整理」1ページ)

そして、見直しの第1に、「給与所得者であることを理由として、所得の計算にあたって特別の斟酌を行う必要性は乏しくなってきている」として、「給与所得控除の見直し」が上げられているのです。

で、もう一度、自民党の選挙公約を読むと、くだんの「その中で…」の一文を除き、その前後は、この「税制改革大綱」と全く同じなのですが、その中で、各種所得控除の見直しという部分だけが、選挙公約では「政府税調の考え方はとらない」と逆転させられているのです。つまり、政府税調の方針が公表され、都議選で不評を買ったところから、この部分だけこっそり書き換えた、というのが本当のところでしょう。

自民党は、「税制改正大綱」で示された個人所得課税の見直しを進めるという方針そのものは少しも変えていません。だから、「政府税調の考え方はとらない」という公約は、文字通りのコウヤクで、一時的にぺったり貼られているだけ。選挙が終われば必ず剥がされ、各種控除の見直しに取りかかることは確実です。

今週の「九条の会」(8月20日まで)

各地の「九条の会」の動きについて、インターネットのニュースをピックアップしました。今週は、8月15日をはさんでいたせいか、たくさんニュースがありました。

17日付の「毎日新聞」(たぶん長野版)には、奥平康弘先生が登場されています。

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共産党不破議長の政治回想録を読む

不破哲三『私の戦後60年』

あの新潮社から、日本共産党の不破哲三議長の政治回想録『私の戦後60年 日本共産党議長の証言』が出版されました。ということで、さっそく手に入れてぱらぱらと読み始めたのですが、おもしろくて一気に最後まで読んでしまいました。

この本は、政治ジャーナリストの角谷浩一氏が聞き手となってインタビューをおこない、それをもとに不破さんがまとめたもの。巻末に、インタビュアーの角谷氏のコメントが載っていますが、それが、この本のおもしろみをそれなりに伝えているので、紹介しておきたいと思います。

 不破氏の話は隙がなく緻密であった。傍らに和文、英文の歴史資料や各種データ資料をおいて、時には横に控える秘書に追加資料を用意させ、歴史的な事柄について、裏付けを示しながら、よどみなく、その本質、背景をえぐった。
 物腰は静かで、考えをまとめるために滞ったり記憶を頭の中で探すようなことは一度もなく、政治家特有の、ひとつのキイワードを繰り返すとか、気に入ったフレーズを強調するようなこともなかった。政治家というより、学究肌の人という印象を持ったが、穏やかに話す口調の中に、政治家として歴史の検証に関わっているという重みもしばしば感じた。(本書、350ページ)

 不破氏が本書で語る内容は、決して情緒的ではなく、データと資料によって織り成され、積み上げられたものである。専門家の中には、不破氏が提示したデータや意見に対して、さまざまな感慨や反論を抱く人も多いだろうが、少なくとも私には新鮮に感じられた。同時に、本来立ち止まって検証すべき事象に対して、政府や政治、政党や、政治家、ジャーナリズムが、見抜けなかったり、頬かむりしたり、追及しそびれていた事柄があまりにも多いことを痛感した。
 政治は歴史に対して、あるいは過ぎたことや終わったことに対して「しょうがない」を言ってはいけないのではないか。何度でも検証し、振り返り、間違いを正し続けるべきものではないのかだろうかと、不破氏の話を聞きながら、何度となく考えた。
 政治家にはリーダーシップが必要だが、加えて過去、現在、未来に対しての複眼的視点も必要である。日本の進路に対して、政権や権力に対して、そして国民に対して、情緒的にならずに、謙虚に冷静に対応する多角的視点と行動が、ますます必要な時代はこれからだとも感じた。本書は、その視点を持つための一助になると信じている。(同、354ページ)

角谷氏は、政治家というものはよっぽど、お気に入りのワンフレーズを繰り返して、情緒的に喋るものだと思っていたようですが、何にせよ、これが、これまで不破氏に直接取材することがなかったという若手政治ジャーナリストの感想。僕は、率直なものだと思いました。出発点は、「一度たりとも政権に関わったことのない」、自民党などとは対極にある政治家の政治哲学や政治観、歴史観を聞きたいということだったのでしょうが、それ以上に、日本のこれまでの政治やこれからの進路を考える1つの枠組みを示すものとして受け止められたように思えます。

「田中首相との論戦楽しかった」=不破氏が戦後回想録を出版(時事通信)

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政治をもてあそぶ者

小泉首相・自民党執行部は、郵政造反組への対立候補として現職の岡山市長を自民党公認候補として擁立。さらに、民主党菅代表にたいする対抗馬として、現職の武蔵野市長を擁立。岡山市長も武蔵野市長も、任期を残して、突然、公職を投げ出してしまった訳で、その無責任ぶりは批判を免れない。

さらに、自ら選挙の都合で、現職市長を衆院選に立候補させた自民党の責任も大きい。日頃、地方分権、地方の時代などと言いながら、実は、地方の政治を尊重するつもりはさらさらない、ということなのだが、これほど、有権者を馬鹿にした話はない。

MT-3.2beta5が出ました

MT-3.2beta5が出ました。ということで、早速新規インストールしてみました。

Movable Type 3.2 Beta – Beta-5 is out

beta4までだと、ここでサイトをリビルドしようとすると、テンプレートの誤記のためエラーになっていたのですが、beta5では正常にリビルドが完了しました。

ただいま実験中

勅使河原彰『歴史教科書は古代をどう描いてきたか』

勅使河原彰『?史教科書は古代をどう描いてきたか』

帯に「『つくる会』教科書、徹底批判!」とあるので、最初は、「つくる会」の歴史教科書の古代史部分をとりあげて批判した本かと思って読み始めましたが、実際には、それにとどまらず、明治以来の歴史教科書と歴史教育の移り変わりを丹念にあとづけて、そのなかから「つくる会」歴史教科書の問題点を明瞭に浮かび上がらせています。

明治維新で誕生した新国家は、最初から教育にたいする統制の意図は持っていましたが、それでも、最初から国定教科書でもなかったし、南北朝についても両統併記だったのが、自由民権運動と対抗し、大日本帝国憲法を定めて国会開設にいたる時期に、国定教科書となり、南北朝正閏論でも南朝正統説になる、など統制が強まったことが分かります。そのとき同時に、内容への統制が強められたのが、日本の歴史の「始まり」の部分で、天照大神から始まるのが日本の「正史」とされるとともに、考古学的な知見が排除されるようになります。

さらに勅使河原氏が力を注いで明らかにしているのは、その戦前の国定教科書で日本の歴史の始まりとされた「天照大神」以下の「神話」が、けっして、古事記・日本書紀に記された「神話」そのままではなく、それを巧妙に改作してあることです。
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小泉政権の“サラリーマンいじめ”

テレビが連日、郵政反対派への小泉首相の「刺客」候補擁立を、さも大事件かのように報道していますが、これは最大でも300小選挙区のうちの37選挙区の話。所詮、総選挙の部分の問題でしかありません。

それに比べれば、この日刊ゲンダイの記事。よっぽど、真正面から総選挙の争点を問題にしています。

小泉政権 これだけのサラリーマンいじめ(日刊ゲンダイ)
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ロンドンで誤射されたブラジル青年、不審な行動なし

ロンドンの同時テロ事件に関連して、武装警察官に射殺されたブラジル人男性が、実は、当初言われていたような不審な行動はとっていなかったと、イギリスのメディアが警察資料にもとづき報道。

だとすれば、一体なぜ彼は殺されなければならなかったのか? なぜ、誤認の可能性があるにもかかわらず、その場で射殺するという方針が正当化されるのか? イギリス政府のテロ対策が根本から問われることに。

英テロ捜査で射殺された男性「不審な行動なし」(朝日新聞)
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お母ちゃんのがんばり

イラクで戦死した兵士の母親が、息子がなぜ戦死しなければならなかったのか、大統領から理由を聞きたいと、ブッシュ大統領の私邸近くで座り込みの抗議活動を開始。全米で、これを支援する動きが広がる一方で、妨害や嫌がらせもおこっている模様。

米大統領地元で徹夜の反戦集会、戦死兵母の抗議活動で(CNN.co.jp)
戦死米兵の母に地元民がキャンプ用地提供、大統領邸に接近(CNN.co.jp)
戦死米兵の母の抗議続く、いやがらせも多発 テキサス(CNN.co.jp)

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「出会い/風俗/売買春系」メールを叩き切る!

最近、「出会い/風俗/売買春系」のアホ馬鹿メールでお困りの某先生へ。

僕は、土肥英明さんの作ったSpam Mail Killerを愛用させていただいております。

※ダウンロードはこちらから→http://homepage1.nifty.com/eimei/

Spam Mail Killerは、メールアカウントを登録し、常駐させると、定期的に巡回して、登録したNGワードやメールアドレスに合致したメールを自動的に削除してくれるという便利なソフトです。僕は、これで9割方(たぶん)、アホ馬鹿メールを駆逐しています。
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今年の絶対見るべきでない映画第1位!

予告編を見たときは、設定のセンスがいいと思って、わざわざ渋谷まで見に行ったのですが、結果は、今年の絶対見るべきでない映画第1位に見事当選! 隣に座った欧米系外国人女性(英語喋ってたからたぶんアメリカ人だろうけど)が途中で席を立っていったのは、ある意味、正解だったかも。(今年19本目)
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気になる本

新聞書評から拾ったもの。

  • 戸板康二『歌舞伎への招待』(岩波現代文庫)
  • 山本容子『ピカソに見せたい!』(ちくまプリマー新書)
  • アンドリュー・ローゼン『現代イギリス社会史』(岩波書店、川北稔訳)
  • アナ・ハイルマン『アウシュヴィッツを越えて』(東洋書林)
  • 伊藤之雄『昭和天皇と立憲君主制の崩壊』(名古屋大学出版会)
  • 『TOKYO軍事遺跡』(交通新聞社)

『昭和天皇と立憲君主制の崩壊』は、戸部良一・防衛大教授の評ではあるが。

それにしても、最近、素人にも読めるいい自然科学系の本がない。なんかおもしろそうなテーマはないのかなぁ…

土砂降り のち 地震

今朝は、雨の音で目が覚めてしまった。アパートの自転車置き場がすぐ裏にあるもんだから、その鉄板の屋根をたたく音がすごい。で、いったん小降りになったと思って出かけようとしたら、またど――――っと降り出す。

ということで、今日は、傘をさしてとぼとぼと駅まで歩く。

で、電車に乗ったら、珍しく目の前の席が空いた(さすがお盆だ)ので座り、久しぶりに永原慶二先生の『日本中世社会構造の研究』をどっかとひろげて読む。そうしたら、途中の駅から乗ってきたオッサンが僕の上の網棚に荷物を乗せたとたんに、ばらばらばらと、電車の中であるにもかかわらず、雨が…。

要するに、濡れた荷物の雨粒が落ちてきたわけで、ええ加減にせえよ! (`ヘ´) プンプン

みなさん、雨の日、電車に乗ったら、傘の先、濡れた鞄のゆくえには、十分気をつけましょう。
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損保大手各社、大量の保険金未払い

原因はプログラムミスだと言っていますが、日刊ゲンダイは、担当者が紙切れに保険金額を書いて渡し、さっさと振り込んでしまうという事例もあることを紹介しています(つまり、契約者に考える暇を与えない、ということ)。

ところで、不払いが発覚した富士火災海上ですが、成果主義の結果、6月の手取りが2万2000円になったとして社員が訴えていますが、会社としてこういう不祥事を出したときは、会長・社長らの給料はどうするつもりなんでしょう? ぜひ知りたいもんです。

保険金1万件超未払い 損保大手で計数億円規模(中国新聞)
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