昨年亡くなった恩師・佐々木潤之介の書き下ろし遺作、『江戸時代論』(吉川弘文館、9月刊)を、奥様からいただきました。病室にパソコンを持ち込んで、最後まで原稿を仕上げようとされていたものだそうです。元々は吉川弘文館の歴史文化ライブラリーの1冊として予定したものとのことですが、できあがった本はその3倍、400ページを超える分量もあります。
とりあえず目次だけ紹介すると、
- 社会史的江戸時代史
- 兵農分離と統一
- 士農工商の社会
- 封建社会のゆきづまり
- 明治維新
- 日本・朝鮮・中国
- 復古と兵農分離
- 近世アジアと江戸時代
- 華夷変態と鎖国
- 補論『父は唐土、母は日本 国性爺合戦』
- さまざまな近世
- 回顧の16?17世紀
- 歴史の区分
- 在来技術と社会―技術史上の江戸時代
- それぞれの「氏系図」の時代―家族史上の江戸時代
- 国家史としての江戸時代
- 幕藩制国家論
これだけ書けば、400字詰め原稿用紙300枚には収まる訳ないですね。佐々木先生らしいといえば、先生らしいですが。(^^;) まず兵農分離論から始まって、寛永期の転換と18世紀の幕藩社会論、そして幕末の改革論、明治維新論へと佐々木流「江戸時代論」が描かれた上で、アジア論や技術史の問題、幕藩制国家論を取り上げ、先生があれこれの機会に書かれたことやお話を伺ったことの総まくりみたいな見出しが並んでいます。
巻末には、山口徹氏による「解説にかえて」とともに、「偲ぶ会」での安丸良夫先生の「佐々木潤之介さんの人と学問」が収録されています。
これからじっくり拝読させていただきます。
ありがとうございました。m(_’_)m
【書誌情報】著者:佐々木潤之介/書名:江戸時代論/出版社:吉川弘文館/出版年:2005年9月10日/定価:本体3000円+税/ISBN4-642-07945-9