有権者の投票動向 総選挙の結果をどう見るか(10)

朝日新聞が、各県ごとに出口調査の結果について報道した記事を集めてみました。

「自公協力」に一定の成果(朝日新聞・岩手)
無党派 自民党に投票、倍増39%(朝日新聞・埼玉)
有権者何を選んだ? 出口調査分析(朝日新聞・兵庫)
自民系に票流れる/本社出口調査(朝日新聞・山梨)
出口調査から見る<上>/小選挙区(朝日新聞・山口)
小選挙区出口調査(上)(朝日新聞・福島)
自民、無党派に食い込む 本社出口調査分析(朝日新聞・福岡北九州)
無党派層、自民に流れ/本社出口調査(朝日新聞・岡山)
無党派層37%自民に(朝日新聞・静岡)
出口調査/無党派層自民へ流れる(朝日新聞・滋賀)

「自公協力」に一定の成果(朝日新聞・岩手)

 11日の出口調査によると、小選挙区で自民候補に投票した公明支持層は75%にのぼり、前回衆院選の61%に比べて14ポイント伸びた。公明は今回、小選挙区の自民4候補をすべて推薦。1人だけの推薦にとどまった前回より自民候補の応援に力を入れた結果が、出口調査からも読み取れる。
 また今回、比例区で公明に投票した自民支持層は5%で、前回に2ポイント上乗せした。今回は自民候補が「比例は公明」と有権者に訴える場面が多くみられたが、それが一定の成果を出した形だ。選挙区ごとにみると、3区が最も高く7%。1区は5%、2区は6%、4区は4%だった。今回の県内比例区での公明の得票は、前回から約3千票増えて5万7536票。得票率は前回とほぼ横ばいの7・51%だった。[朝日新聞:マイタウン岩手 2005/09/14]

【上】無党派 自民に投票、倍増39%(朝日新聞・埼玉)

 朝日新聞社が総選挙投票日の11日に行った出口調査では、投票者の約2割を占めた無党派層のうち、約4割が小選挙区で自民党候補に投票し、民主党候補と分け合っていたことがわかった。もともと強い支持基盤を持つ自民が、民主の得意とする無党派層にも食い込んで得票を「上乗せ」し、次々と競り勝っていった構図が明らかになった。
 出口調査は県内450カ所で行われ、2万2647人から有効回答を得た。
 県全体で、無党派層が小選挙区で投票した候補者の政党は、03年の前回総選挙と同様に民主が最も多かった。だが、割合は64%から46%に大幅に減った。一方の自民は、前回の19%から39%に倍増した。
 県内の政党支持率では、自民が39%、民主が22%、公明6%、共産5%、社民2%だった。県全体では自民、民主両党とも、小選挙区でそれぞれの支持層の8割を固めた。このため、無党派層からの支持が勝敗を左右した。
 埼玉3区では、前回は微差で当選した民主の細川律夫氏が、今回は3万票以上の差で自民の今井宏氏に敗れた。今井氏への投票者を支持政党別に見ると、自民、民主支持層では増加幅は数%だったが、無党派層からの支持は前回の約25%から42%に跳ね上がっていた。
 一方、細川氏は前回と同様に民主支持層の8割以上を固めていたが、無党派層からの支持が前回の61%から47%に大きく落ち込んでいた。
 無党派層の比例区での投票政党でも、自民が大きく伸びていた。03年総選挙では、民主は63%で、17%だった自民の3倍以上だったが、今回は民主は38%、自民36%とほぼ拮抗(きっこう)していた。その後に大きく離れて共産8%、公明、社民、新党日本の各党が6%、と続いた。
   ◇    ◇
自民「政策でも指示」 民主「逆風強かった」
 「自民圧勝」の総選挙から一夜明けた12日、県内の各党に、選挙結果の受け止め方を聞いた。
 自民党は比例区も含め、県内で計18議席を獲得。深井明・県連選対本部長は「大勝利だ。郵政民営化に賛成か反対かを問い、有権者にわかりやすかった」と語った。小泉政権が発足直後で、自民が大勝した01年参院選に比べても、「人気だけでなく、政策でも支持された点が大きい」と話した。
 民主党は議席を解散前の12から7に大きく減らした。県連事務所には、岡田克也代表の「おわび」の文書が張り出された。枝野幸男・県連代表は12日未明、都内の党本部開票センターで「全国でも埼玉に吹いた自民の風は強かったが、(小選挙区で3議席は)よく踏みとどまった」と疲れ果てた表情で語った。
 自民と連立を組む公明党は、比例区・北関東ブロックで3議席から1減となった。県内では自民の協力を強く求め、前回に比べて約5万票増えた。しかし、無党派層を取り込めなかったのが響いた。高野博師・県本部代表は「厳しいとは思っていた。自公協力は功を奏したが、前回議席に届かなかった」と語った。
 共産党は北関東ブロックで1議席を維持した。「2議席とれなかったのは残念だが、前進できた」と、小松崎久仁夫・県副委員長は評価。県内の比例区の得票は前回より約5万6千票、小選挙区でも約7万6千票上積みした。「『たしかな野党』がインパクトあるキャッチフレーズとして受け止めてもらえたのが一要因」と分析した。
 社民党は比例単独候補として擁立した日森文尋氏が当選し、03年の衆院選で失った議席を取り戻した。日森氏は「社民党に何とか生き残って欲しいという思いが伝わってきた。投票してくれた有権者に何とか報いることができる」と喜びをかみしめた。
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落選の小泉氏「初心に返る」  支持者を回る
 郵政民営化関連法案に反対票を投じ、11区で無所属で立候補して敗れた小泉龍司氏(52)。小泉氏は「初心に立ち返って、草の根選挙をやり直す」と語り、12日早朝から、秩父地域や寄居町などの支持者を回った。
 11日深夜、深谷市の小泉氏の事務所には60人ほどの支援者が詰めかけ、入り口前のテントにも人だかりができた。
 テレビの開票速報で落選が伝えられると、小泉氏は沈痛な表情で支援者の前に姿を現し、「暑い中を皆さんにがんばって頂いたのに、このような結果になり申し訳ない。一回りも二回りも大きな政治家になれるよう自分を磨く」と敗戦の弁を語った。支持者からは「がんばれ」「次がある」の声が飛んだ。[朝日新聞・埼玉 9/13]

有権者何を選んだ? 出口調査分析(朝日新聞・兵庫)

 有権者は何を選んだのか――。県内でも自民圧勝、民主惨敗の結果に終わった11日の総選挙。朝日新聞社が投票者を対象に実施した出口調査から、自民候補の勝因の一つとして、これまで敬遠されがちだった無党派層から比較的高い支持を得ていたことがうかがえる。郵政民営化に賛成する投票者の過半数が自民候補を選んでおり、「郵政一本やり」で選挙戦に臨んだ小泉首相の戦術が的中した形となった。
 調査は県内12の小選挙区の計360投票所で行い、1万1882人から有効回答を得た。
 回答者の支持政党は、自民が39%(03年の前回総選挙は37%)と最も多く、次いで民主20%(同20%)、公明7%(同8%)、共産5%(同5%)、社民3%(同3%)だった。「支持政党なし」「分からない」を合わせた無党派層は全体の22%(同20%)で、このうち小選挙区で自民候補に投票した人の割合は34%。前回の16%から倍増した。
 また、小泉首相らが2区と8区に立った公明候補の応援に来県するなど、自公の連携ぶりが注目されたが、公明支持層で自民候補に投票した人は県全体で59%にのぼり、前回の49%から10ポイント増えた。逆に、2区と8区で公明候補に投票した自民支持層は県全体の9%にあたり、前回より2ポイントアップした。
 公明候補に投票した人に占める自民支持層の割合は、2区で52%、8区で47%で、ほぼ同じ対立構図だった前回よりそれぞれ増えている。
 争点となった郵政民営化については、「賛成」と答えた人が65%で、「反対」の28%を大きく上回った。賛成派のうち、自民候補に投票した人は55%で、民主候補に投票した人の24%を大きく引き離した。反対派は59%が民主候補に、17%が共産候補に投票するなど、8割が野党候補に投票しており、郵政民営化が投票行動に大きな影響を与えていたことを示している。
 「この選挙で日本の政治は大きく変わると思うか」という質問には、「思わない」と答えた人は61%で、「思う」が34%だった。「思う」と答えた人のうち、過半数の53%が自民候補に投票しており、「小泉改革」への期待の高さがうかがえる。一方、「思う」と答えた人で民主候補を選んだ割合は26%にとどまっており、「政権交代で本物の改革を」という民主の訴えは、有権者の心に十分に響かないまま終わったとみられる。[朝日新聞・兵庫9/13]

自民系に票流れる/本社出口調査(朝日新聞・山梨)

 総選挙投開票日の11日に朝日新聞社が実施した出口調査で県内有権者の投票行動を見ると、全国的な自民躍進を反映して、他政党支持者が自民候補か無所属の自民系前職候補に集中して投票した実態がうかがわれる。最大の争点とされた郵政民営化については、有権者の考えと各候補の訴えは必ずしも一致せず、候補選びで郵政問題を重要視しない有権者の姿の一端も表れた。
 選挙区に立候補した自民、民主、共産、無所属の10候補のうち、「造反」の無所属を含む自民系候補5人全員が選挙区か比例区のいずれかで当選した。民主の当選は選挙区1人、比例区1人で、自民の躍進ばかりが目立った。
 1区では、自民の赤池誠章氏が自民支持層に加え、公明支持層の68%、民主支持層の10%の支持を集めた。2区でも、自民長崎幸太郎氏が共産支持層の22%の支持を得た。選挙区で共産候補が不在だった3区では、26%の共産支持層が無所属の保坂武氏に投票した。
 一方、郵政民営化への賛否で有権者を分けた場合、だれに投票をしたのか。1区では、態度を明らかにした賛成の有権者の67%が、自民の赤池氏に投票する一方、民主の小沢氏にも28%が投票した。郵政民営化法案に反対した2区堀内氏には民営化賛成者の27%、3区保坂氏にも27%が投票している。[朝日新聞・山梨 9/13]

出口調査から見る<上>/小選挙区(朝日新聞・山口)

 朝日新聞社が11日の総選挙投票日に行った投票所の出口調査によると、小選挙区では、県内の無党派層の47%が自民候補に投票し、41%の民主候補を上回った。03年の前回(民主44%、自民42%)から割合が逆転した。また、今回の選挙で日本の政治が「大きく変わると思う」と答えた人の76%が自民候補に、19%が民主候補に投票。県内でも、小泉首相率いる自民が、「改革」に期待する民意をつかんだことがうかがえる。(小数点以下は四捨五入)

無党派層 自民に動く/「改革」期待47投票%

 支持政党別に見ると、県全体で自民支持層の85%、公明支持層の81%が自民候補に投票。「自公選挙協力」が結果に表れた形だ。一方、民主候補は、民主支持層の77%が投票した以外は、社民支持層の52%、共産支持層の12%にとどまった。
 郵政民営化は県全体で賛成65%、反対27%。自民支持層の82%、公明支持層の76%の他、無党派層も59%が支持した。民主支持層の57%は反対したが、賛成も37%。共産支持層は21%、社民支持層は29%が賛成した。民営化を支持する声が全体に強かったと言える。また、賛成層の78%が自民候補に入れたのに対し、反対層で民主候補に入れたのは57%。反対層の25%は自民候補に流れた。
 自民新顔の福田良彦氏と民主前職の平岡秀夫氏が競り合った山口2区。前回は自民の佐藤信二氏が平岡氏に敗れ、比例区で復活当選した。その際、自民支持層の68%が佐藤氏に投票。今回は76%が福田氏に投票した。公明支持層も佐藤氏の時の59%から76%に伸び、選挙協力の強化が見て取れる。無党派層も佐藤氏の時の24%から34%に拡大。同じ層で平岡氏に投票した人は前回の67%から58%に縮小した。
 2区の年代別では、50代以上の支持で福田氏が平岡氏に差を付けた。性別では、男性で両氏に投票した人の割合はほぼ互角。女性は福田氏52%、平岡氏41%だった。また、今回の選挙で日本の政治が「大きく変わると思う」と答えた人の67%は福田氏に、28%は平岡氏に投票している。
 〈注〉 調査は11日、県内4小選挙区計120カ所の投票所で行い、6339人から有効回答を得た。選挙区別の内訳は山口1区1561人、2区1503人、3区1621人、4区1654人。[朝日新聞・山口9/13]

小選挙区出口調査(上)(朝日新聞・福島)

 全国的に自民の風が吹いた今回の総選挙。県内は、小選挙区では公示前勢力と同数の自民3議席、民主2議席だったが、比例区で自民の渡部篤氏と民主の吉田泉氏がそれぞれ復活当選し、前回より自民が1議席増やした。投票日に朝日新聞が実施した出口調査では、民主候補に前回投票した無党派層や30?40代の人たちが、今回、自民候補に投票したことなどがうかがえる。有権者の投票行動などを、出口調査の結果を通し、2回に分けて分析する。

30?40代「風」に敏感 20代除き自民が優位

 2区では今回、自民前職の根本匠氏が民主前職の増子輝彦氏に大差をつけた。前回03年では、接戦で増子氏が比例区で復活当選したが、今回は復活出来なかった。30?40代が、自民の風に敏感に反応し、根本氏に投票したからだった。
 今回、年代別で根本氏が最も票を集めたのは30代で、56%の人が投票した。前回は60代が最も高く、30代と40代では増子氏のほうが根本氏よりも高かった。だが今回は、20代を除くすべての年代で、根本氏が増子氏を上回った。
 30代の自民候補支持は、福島市を抱える1区やいわき市を抱える5区などで見られることから、都市部を抱える選挙区で共通した傾向とみられる。

無党派層、自民に移動 5区、民主7ポイント減も46%

 自民前職の吉野正芳氏と民主前職の吉田泉氏が接戦を演じ、前回と同じく吉田泉氏が復活当選を果たした5区。今回、無党派層の投票行動に大きな変化がみられた。
 無党派で今回、吉野氏に投票したのは34%。コスタリカ方式で前回立候補した自民の坂本剛二氏の得票率に比べ、6ポイント増えた。一方、吉田泉氏は46%で、前回より7ポイント減っている。自民支持層の比率は46%、民主は21%で前回とほぼ同じ。無党派層も17%でほぼ一緒だった。自民、民主それぞれの支持層の投票行動に変化は見られなかったことから、政党の枠にとらわれずに投票する無党派層は今回、民主から自民にシフトしたことになる。

公明支持層75%、渡部篤氏に投票

 民主のベテラン渡部恒三氏と接戦を演じて比例で復活当選を果たした自民の渡部篤氏。票差が詰まった背景には、4区で2万人余りいるといわれる公明支持層の投票行動が影響したものとみられる。
 前回03年には、公明は非自民の渡部恒三氏を推薦した。県内で唯一、自公協力が成立しなかった。今回初めて、4区で自民候補を推薦し、県内5選挙区すべてで自公の選挙協力が実現した。
 今回、公明支持層の75%が渡部篤氏に投票、渡部恒三氏に投票した人は17%だった。前回は76%が渡部恒三氏に投票、前回の自民候補だった山内日出夫氏に投票したのは20%だった。
 一方、自民側の公明への協力はどうだったのか。
 比例区の公明票は今回21536票で、前回より増えたのは237票。渡部篤氏に投票した人で比例区で公明に投票したのは16%、そのうち公明を支持している人は7%だった。[朝日新聞・福島 9/13]

自民、無党派に食い込む 本社出口調査分析(朝日新聞・福岡)

 自民党の圧勝に終わった総選挙。県内でも11選挙区のうち、9選挙区を同党候補が占めた。朝日新聞社が11日に実施した出口調査によると、郵政民営化に賛成の有権者は63%。その心をつかんだ自民党候補が与党支持層に加え、無党派層にも食い込んで得票を伸ばしたことが分かった。民主の議席を自民が奪った福岡3、6区と、「郵政造反候補」と「対立公認候補」が競り合った10区を分析した。

【3区】 郵政民営化の賛否で差

 前回と同じ顔ぶれで争った3区。投票率は10ポイント上昇し、約4万4千票を上乗せした自民元職の太田誠一氏が勝ち抜けた。2年前の落選をバネに自民、公明両支持層をがっちり固め、自民への追い風にも乗ったことが調査結果からはっきり見える。
 太田氏は自民支持層と、推薦を得た公明支持層の8割以上の支持を獲得。無党派層も40%と、民主前職の藤田一枝氏の49%に迫る勢いだった。
 藤田氏は民主支持層の86%を押さえ、社民支持層の80%、共産支持層の3割近くも取り込んで前回並みを維持した。
 しかし、郵政民営化への賛否で差がついた。民営化に賛成した人のうち72%から得票した太田氏に対し、藤田氏は反対した人の74%から得票。選挙区内では郵政民営化に賛成した人が66%と反対の28%を圧倒し、両者の得票差につながった。
 年代別に支持層をみると、太田氏が各年代から満遍なく支持を得たのに対し、藤田氏は50代以上からの支持が10ポイント以上低く、高齢層をつかみ切れなかった。
 (調査は福岡市西区、早良区などの30地点で実施。有効回答数は1626)

【6区】 「足元」きっちり固める

 東京18区から国替えした自民前職の鳩山邦夫氏が、前回初めて小選挙区で当選した民主前職の古賀一成氏を破り、事実上の一騎打ちを制した。
 鳩山氏は自民支持層の82%に加え、推薦を得た公明支持層の8割近くを取り込み、きっちり足元を固めた様子が分かる。
 一方の古賀氏も、民主支持層の86%、社民支持層の8割を固め、反与党勢力の結集には成功。比例区での復活当選に結びつけた。
 ここでも、郵政民営化を争点にした自民党の戦略が明暗を分けた。選挙区内で郵政民営化に賛成の人は66%。このうち73%が鳩山氏に流れ、25%の古賀氏に大きく水をあけた。鳩山氏に投票した人の88%が民営化賛成で、党の戦略が同氏を押し上げた構図が浮かぶ。
 また、鳩山氏に投票した人の半数近くが「この選挙で政治は大きく変わる」と答えたのに対し、古賀氏は「そうは思わない」が約7割で、鳩山氏が改革に期待する層の受け皿になった形だ。
 (調査は久留米市、大川市、小郡市などの30地点で実施。有効回答数は1611)

【10区】 政治の変化 期待を呼ぶ

 自民分裂選挙になった10区は、「落下傘」として送り込まれた自民前職の西川京子氏が、「造反組」で無所属前職の自見庄三郎氏や民主前職の城井崇氏らを制した。地盤のない西川氏だったが、郵政民営化に賛成する人の約6割を取り込み、与党支持層の半数以上も固めて当選につなげた。
 小泉首相が最大の争点とした郵政民営化に、西川氏に投票した人の9割以上が賛成だった。同じく6割近くが「この選挙で日本の政治は大きく変わると思う」と答えるなど、変化への期待が投票に結びついた様子がうかがえる。
 「自民分裂」の実態に目を向けると、自民支持層は西川氏が公認の強みを生かして61%から得票したのに対し、自見氏は29%にとどまった。両陣営が取り込みを狙った公明支持層は「自主投票」になったが、西川氏55%、自見氏18%と、大きな開きが出ている。
 特徴的なのは西川、自見、城井の各氏で無党派層をほぼ3割ずつ分け合った点だ。「ミカン箱」の西川、「地元出身」を強調した自見の両氏が、無党派層に強いとされる民主の城井氏と互角に渡り合った。
 (出口調査は北九州市門司区、小倉北区、小倉南区の30地点で実施。有効回答数は1578)[朝日新聞・福岡 9/13]

福岡では、公明党支持層の83%(3区)、78%(6区)が自民党に投票。また、共産支持層で共産党に投票したのは62%(3区)72%(6区)という数字も上げられています。

無党派層、自民に流れ/本社出口調査(朝日新聞・岡山)

 民主は前回比14ポイント減

 11日投開票された総選挙で、朝日新聞社は県内150カ所で出口調査を実施した。有効回答数は8079人だった。投票行動が選挙結果に影響を与えるとされる無党派層が比例区で投票した政党は、全国的に圧勝した自民党が29%と前回(03年11月)よりも9ポイント増え、惨敗した民主党は前回より14ポイント減の39%と、県内でも大幅に減らしていることが分かった。
 無党派層が比例区で自民、民主以外に投票したのは、公明が12%(前回比増減なし)、共産7%(同2ポイント減)、社民7%(同3ポイント増)。郵政民営化反対派の一部前職らで結成された国民新党は6%だった。
 一方、無党派層の小選挙区での投票行動をみると、自民候補に投票した人は33%で前回比3ポイント減に対し、民主候補は同11ポイント減の43%。前回はいなかった無所属候補は11%だった。ただ、民主候補が県内で初めて小選挙区で自民候補に勝った2区と4区をみると、いずれも無党派層の6割前後が民主候補に投票しており、小選挙区での議席獲得に寄与したことがうかがえる。
 また、郵政民営化に賛成、反対と答えた人が、どの政党の候補者に投票したかをたずねたところ、賛成と答えた人の66%は自民候補に、23%は民主候補に投票。反対と答えた人の54%は民主候補だったが、14%が自民候補に、15%が無所属候補にも流れた。

 国民新党の得票率5%/比例区

 県内の比例区の得票傾向をみると、自民、民主、公明、共産の各党はいずれも前回(03年11月)よりわずかに得票率を下げ、5年ぶりに小選挙区に公認候補を擁立した社民はごくわずか増えた。総選挙前に結成された国民新党が5%近く得票した分、社民を除く他党の得票率を下げたようだ。
 各党の得票率は自民35・51%(前回37・12%)▽民主31・06%(同33・87%)▽公明17・15%(同18・94%)▽共産6・48%(同6・71%)▽社民4・82%(同3・36%)▽国民4・99%。
 小選挙区別でみると、民主は前回自民を上回った1区と4区で、自民に逆転を許し、比例第1党を保った2区でも前回より差を縮められた。1区、4区では自民の得票率がほぼ横ばいだったのに対して、民主は3?4ポイント台の減となった。[朝日新聞・岡山9/13]

無党派層37%自民に(朝日新聞・静岡)

03年の21%から大幅増

 衆院選の県内の小選挙区では、無党派層の37%が自民候補に投票したことが、朝日新聞社が行った出口調査で分かった。前回03年の21%と比べて大幅に増加。従来の支持層に加え、無党派層の「受け皿」となったことが数字に表れた。一方、無党派層で民主候補に投票したのは、自民候補を上回る46%だったものの、前回の56%より減少した。出口調査は、8小選挙区のそれぞれ30投票所で計1万4400人を目標に実施し、1万3726人から有効回答を得た。
 小選挙区では、自民支持層の72%、公明支持層の74%が自民候補に投票した。無党派層の支持37%は前回の2倍弱に増え、多くの自民候補陣営が「手応えとして感じた追い風」が表れた数字と言えそうだ。
 民主候補には、民主支持層の81%、社民支持層の66%が投票し、3選挙区で候補者擁立を見送った共産支持層からも34%の支持を得た。ただ、前回大きく集めた無党派層の支持は減った。共産候補は共産支持層から半数近くの支持を受けたが、無党派層では5%と広がりを欠いた。
 比例区でも、無党派層の34%が自民を支持し、民主の39%に迫る結果となった。自民支持層は74%が自民に投票した。候補者らが「比例区は公明党」と訴えたが、自民支持層で公明に投票したのはわずか8%にとどまった。

郵政民営化
賛成の62%「自民」 反対の67%「民主」

 郵政民営化の賛否別に見ると、民営化に賛成という人の62%が小選挙区で自民候補に投票し、反対という人は67%が民主候補を支持した。
 「この選挙で、日本の政治は大きく変わると思いますか」という問いに「大きく変わる」と答えた人では、62%が自民候補を支持したのに対し、民主候補は29%。逆に「そうは思わない」と答えた人からの支持は、民主候補が46%だったのに対し自民候補は39%だった。自民候補に対し「改革」というイメージが有権者に広がっていたことがうかがえる。[朝日新聞・静岡9/13]

出口調査/無党派層自民へ流れる(朝日新聞・滋賀)

郵政民営化賛成 民主支持の4割

 朝日新聞社は11日投開票された総選挙で投票した有権者を対象に、県内4選挙区の120カ所の投票所で出口調査を実施した。小選挙区と比例近畿ブロックで復活当選した自民、民主の計8人は、「改革」や「政権交代」を期待する有権者の思いを票に結びつけていたことがわかった。調査では、投票を終えた有権者に、投票した候補者や政党などを聞いた。有効回答は6514人。

□支持政党

 「支持している政党と投票行動」では、初当選した1区の自民新顔の上野賢一郎氏が自民と推薦を受けた公明支持層の約80%の票を得た。無党派層の40%近くからも支持されていた。世代別では50代以上の支持が厚かった。
 郵政民営化法案への賛否をめぐって自民が分裂した注目の2区では、再選された民主前職の田島一成氏が民主支持層の約80%、公明支持層の約20%と無党派層の半数以上の票を得ていた。支持した世代も20?60代と幅広かった。
 3区では、260票余りの差で競り勝った民主前職の三日月大造氏が民主支持層の約90%の票を集めた。自民や共産の支持層へも食い込みをみせ、無党派層の半数以上を取り込んだ。50代以下の世代からの支持を集めていた。
 4区は農水相で自民前職の岩永峯一氏が自民、公明支持層の約80%、無党派層の40%以上から票を得た。40代以上の有権者に支持する人が多かった。
 一方、比例近畿ブロックで復活当選した、1区の民主前職で党幹事長の川端達夫氏は民主支持層の90%近く、無党派層の半数以上の票をまとめた。2区の自民新顔の藤井勇治氏は無党派層の20%以上から支持を受けていた。3区の自民前職の宇野治氏は自民支持層よりも公明支持層から支持された割合が高かった。4区の民主前職の奥村展三氏は無党派層から一定の支持を受け、ライバル岩永氏への支持割合を上回っていた。
 無党派層の51%が民主候補へ投票したと答えたが、自民候補にも03年11月の前回総選挙時より12ポイント多い36%の人が投票していた。比例区では、無党派層のうち自民へ投票した有権者の割合は33%に上り、民主(40%)に迫っていた。

□郵政民営化

争点のひとつとなった「郵政民営化の賛否」では、それぞれに支持する候補や政党に一定の傾向があった。小選挙区の当選者では、1区の上野氏と4区の岩永氏が民営化賛成派の有権者の支持を多く受けていた。反対派の支持を集めたのは、2区の田島氏と3区の三日月氏。田島氏は反対派の60%以上から票を集め、三日月氏は反対派の約70%の支持を受けていた。
 支持政党別でみると、自民、公明支持層の80%前後、無党派層の60%が「民営化賛成」だった。ただ、民主支持層の約40%も民営化に賛成した。「反対」と答えた有権者の割合が最も高かったのは共産支持層で約70%。民主支持層は約50%だった。

□政治の変化

 選挙への関心は投票率の高さにも表れた。今後の政治変化について尋ねると、「大きく変わる」としたのは、自民支持層の約60%で最も高く、民主支持層は30%台だった。逆に、民主支持層で半数近く、自民支持層の30%以上の人が「(変わるとは)思わない」と答えた。[朝日新聞・滋賀9/13]

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