生活保護は国の責任

高知市の岡崎誠也市長が、朝日新聞「私の視点」欄で、生活保護財源を国から地方に転嫁する議論にたいして、意見を述べられています。

「受給者の多くは65歳以上の高齢者と障害者、傷病者」、この三者で生活保護の約90%を占める、母子世帯も9%で、「実際に働ける『稼働世帯』は2.4%しかない」という高知市の実情を踏まえて、こう指摘されています。

 高知市の国民年金受給世帯の割合は、この5年で約26%増えたし、高齢者の単身世帯も5年前に比べると1.2倍に増えている。その結果、年金だけで何とか暮らす高齢者が病気になって医療費の自己負担などができなるケースや、夫が亡くなった後、妻が単身で生活し、やむなく生活保護を受けるといったケースが目立っている。……
 それなのに厚生労働省は福祉の分野で金科玉条のように「自立支援」を強く打ち出している。だが、高知市の実例で示した通り、働ける年齢層の生活保護受給世帯は3%にも満たない。自立支援だけでは、保護率急増に対応できない。

こういう現実を無視して、「地方の負担を増やして生活保護の受給率を引き下げようなどというのは本末転倒だ」という指摘は、まったく正論です。

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