米軍普天間基地の移転は、もともと、1996年に日米で合意したSACO(日米特別行動委員会)最終報告では、辺野古沖に海上基地を建設して5?7年で(つまり2001?2003年までに)移転することになっていました。しかし、現地の住民たちの徹底した反対運動のため、いまだに建設のメドさえたっていません。そこで、この計画を変更し、別のところに移転させようという計画が持ち上がっていました。
キャンプ・シュワブ内に代替施設を作る「地上案」と、同じ辺野古沖でもより岸に近いリーフ内に規模を縮小して建設する「リーフ案」と、2つの案が浮んでいますが、その代替計画が早くも迷走しています。地元の名護市長は「リーフ案」なら受け入れられると言っていますが、政府は「地上案」でいくつもり。ところが、米軍はすでに「陸上案」拒否を日本政府に通告したそうです。
さて、小泉首相は、この問題をいったいどう解決するつもりでしょう?
米、シュワブ案を拒否 普天間移設で国防総省高官が言明(朝日新聞)
普天間移設先「シュワブ陸上」案、政府が最終確認(読売新聞)
縮小案に否定的 普天間移設、知事が見解(琉球新報)
普天間移設、名護市長が「リーフ案」支持(読売新聞)
米、シュワブ案を拒否 普天間移設で国防総省高官が言明
米国防総省高官は22日、海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設をめぐって、日本の防衛庁が示した米軍キャンプ・シュワブ(同県名護市など)の陸上部分に代替施設を建設する「シュワブ陸上案」について、すでに日本政府に「拒否する」と伝えたことを明らかにした。協議が難航していることから、別の米政府高官は、日本側が10月中をめどとしていた中間報告の作成や日米安全保障協議委員会(2プラス2)開催はいずれも行われず、同月にラムズフェルド国防長官が訪日、その際に何らかのめどをつける考えを明らかにした。
米側から「拒否」が伝えられたのは、19日に東京で行われた大野防衛庁長官とローレス米国防副次官との会談。ローレス氏は「現在示されているような案では、米国政府は拒否する」と述べたという。
その理由について、国防総省当局者は、(1)地元の理解や支持が得られていない(2)建設予定地内にある実弾射撃訓練場や不発弾処理施設の移転先が明確に示されていない(3)飛行経路に厳しい制限が課せられる、などの点を挙げ、このままでは「普天間の二の舞いになりかねない」と説明した。
一方、米政府としては、日米特別行動委員会(SACO)の最終報告に基づいて決められた、名護市辺野古沖での現行計画の規模を縮小し、陸地寄りに建設する「辺野古沖縮小案」を支持していることを改めて表明。(1)海上であり、騒音被害を抑制できる(2)名護市の地元団体がまとめた案で岸本建男・名護市長も容認する姿勢を示している(3)現行計画よりも技術的に建設が容易、などの理由を挙げた。
国防総省当局者は、米側の疑問が解消されないまま、日本政府が「シュワブ陸上案」を代替案として絞り込んだ場合には、「辺野古沖縮小案」との比較評価を民間企業などに求める姿勢を示した。それも受け入れられなければ、「米国政府としては『現在の普天間から動かない』と答えることになる」と述べた。
日米両政府は今年7月、再編協議の中間報告を9月に作成することで合意したが、その後の解散・総選挙で作業がずれ込み、日本側は10月に日米の外交・防衛担当閣僚による「2プラス2」を開き、中間報告をまとめる考えだった。だが、別の米政府高官は中間報告について「必要ない」と指摘。さらに「2プラス2」も開かれない方向になっており、ラムズフェルド長官が10月に来日、小泉首相や細田官房長官との会談を予定していることを明らかにした。
最終的には、11月に韓国で予定されているアジア太平洋経済協力会議(APEC)にあわせて準備が進んでいる、ブッシュ米大統領の訪日までに「(大筋を)固めたい」との考えを示した。[asahi.com 2005年09月24日06時14分]
普天間移設先「シュワブ陸上」案、政府が最終確認
政府は22日、米軍再編協議の中で最大の焦点となっている普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について、キャンプ・シュワブ(同県名護市など)の陸上部分へ移設する案で米側などと調整を進める方針を最終確認した。
キャンプ・シュワブの浅瀬リーフ(環礁)案については採用しない方針だ。
同日午前に首相官邸で開いた小泉首相と細田官房長官、町村外相、大野防衛長官との会談で、大野長官が、普天間飛行場の移設先をシュワブ陸上で調整していることや、10月中にも米側との間で中間報告をまとめたいとの意向を説明し、了承された。小泉首相は「よく連携を取りながらがんばってほしい」と述べ、調整を急ぐように指示した。
政府がシュワブ陸上案を推進しているのは、環境への影響が海上案に比べて小さく、新たな基地建設がいらないため、「政府が最も重視する普天間返還を早期に実現できる可能性が最も高い」(政府筋)と判断しているからだ。
米側は、地元の経済関係者らが推す浅瀬リーフ案に関心を寄せ、岸本建男名護市長も同案を容認する考えを示している。
しかし、政府は、沖縄県や名護市と合意した名護市辺野古沖合の代替施設建設が市民団体などの海上阻止行動によって頓挫している現状から、リーフ案については「環境団体などの阻止行動が予想され、早期建設は困難だ」(政府筋)と判断し、採用しないことを確認した。
これに関連し、大野防衛長官は同日午後、防衛庁で沖縄県の稲嶺恵一知事と会談し、「一時的に批判を浴びたとしても、10年たったら良かったと評価されるような結論にしたい」と述べ、移設先の選択は地元にゆだねず、政府として主体的に決断する考えを伝えた。
政府はシュワブ陸上案で米側と合意したうえで、地元自治体に騒音レベルなどを具体的に説明し、理解と協力を求めていく考えだ。[2005年9月23日9時51分 読売新聞]
縮小案に否定的 普天間移設、知事が見解
【東京】米軍普天間飛行場代替施設を名護市辺野古の浅瀬に軍専用施設として建設する「縮小案」を岸本建男名護市長が容認した問題で、軍民共用化を移設条件に掲げている稲嶺恵一知事は20日午後、「政策の変更は簡単には考えられない」と述べ、現段階で縮小案に否定的な考えを示した。稲嶺知事は「県は海兵隊の県外移転などを日米両政府に要望している。政府から(移設先変更の提示が)何もない以上、それ以外の態度は取り得ない」と述べた。
岸本市長との会談には前向きな考えを示した。
衆院選の自民党大勝と日米間の在日米軍再編協議との関連では「小泉純一郎首相のリーダーシップに期待している。沖縄が期待するような案が出ない可能性もある。場合によっては首相と直接会いたい」と語った。[琉球新報 2005-9-21 9:28:00]
普天間移設、名護市長が「リーフ案」支持
沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設問題で、名護市の岸本建男市長は19日、同市辺野古(へのこ)沖に代替施設を建設する現行案を縮小し、同沖の浅瀬のリーフ(環礁)内に軍専用施設として建設する案について、「受け入れる余地はある」と述べ、政府から提案があれば容認する考えを示した。移設受け入れ先の市長がリーフ案を支持したことで、今後の日米両政府の米軍再編協議にも影響を与えそうだ。
岸本市長は報道陣に対し、「政府から打診はない」と断った上で、「(現行案の)2000メートル滑走路では、米軍のジェット機が使用する不安がある。縮小してジェット機が使えないなら、その方がベター」と述べ、代替ヘリポート建設のリーフ案を支持する考えを示した。
ただし、「住宅地での騒音が現在の沖合案より大きくなるのなら、(容認は)難しい」とも述べ、住民生活に影響が出ないことを条件にした。「最終的には、住民の意向を尊重しながら結論を出す」とした。
さらに、公約に掲げていた代替施設の「軍民共用化」にはこだわらないことを明言。今後、同様に軍民共用を施設受け入れの条件としている稲嶺恵一知事と会談する可能性を示した。
一方、日米両政府間で最有力となっている米軍キャンプ・シュワブ(名護市など)の陸上案については、「完全に陸域内なら、受け入れる気はない。そもそも陸域が難しいから海上案に決まった」と話した。[読売新聞 2005年9月20日付]