財界はどう動いたか 総選挙の結果をどう見るか(4)

トヨタが、愛知・自民党を全面応援。「東京」も「自民躍進に“トヨタ効果”?」の記事を載せているが、「読売」はもう少し詳しい。15の選挙区すべてに部課長クラスを派遣、決起集会に幹部社員1万人を動員、奥田会長自身がグループ企業に出向いて支援を依頼した、等々。

「王国 愛知」揺らぐ 小選挙区 自民、名古屋でも議席(読売新聞)

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マスコミ論調 総選挙の結果をどう見るか(3)

マスコミというほどではありませんが、今日の「日刊ゲンダイ」(13日付=12日発行)の見出しを紹介しておきましょう。

まず両1面ぶち抜きの見出しはこれ。

この国の民主主義は死んだ
もはや何も言うことなし。この選挙結果は狂気の果てだ。
全く情けなかった民主党、これからこの国の暗黒の10年が必ず始まる

で、2?3面に続く記事の中見出しはこれ。

▼岡田民主党は四分五裂で野党は無力化、自民党独裁の最悪事態
▼ヌエ公明党は小泉政権から吹っ飛ばされる
▼自民党に投票した若年層はその悪い報いで酷い目に遭うだろう
▼驕る平家は久しからず、勝ちすぎ小泉自民党を待ち受ける罠
▼郵政民営化が成立しても、12年後の民営化実現という喜劇的事態
▼狂人首相が勝ち誇ってこの国はどんな事になるのか、世の中のお先真っ暗
▼小泉首相は1年後に辞めるというがそれから先はどうなるのか
▼この国の選挙民の政治水準は一体どうなのか
▼本紙としてはもはや何も言うことなし、これから先、生きるのが辛い大多数の庶民とヌレ手でアワの一部サギ集団に二分化されて、アメリカと同じになっていいのか
▼この国の選挙民の政治水準では選挙など何回やっても民主主義は確立されないムダであることが分かった

他方で、「夕刊フジ」では、漫画家のやくみつる氏がこんなコメントを寄せています。

 怒りを通り越して無力感でいっぱいだ。……小泉という1人のタレント候補に入れてしまった。「改革」というワンフレーズにコロリとやられ、投じる1票が改革に寄与するように思ってしまったのだろう。政治家は愚直でよく、石部金吉たるべきなのに、まじめなやつより面白いやつが勝つということだ。4年間の信を問うこともできず、こんなことでいいのか。[「夕刊フジ」2005年9月13日付=12日発行]

総選挙の結果をどう見るか(2)

とりあえず、分けて考えよう。

  1. 誰が、どういう理由で、自民党に投票したか。有権者の動向。
  2. 小泉首相は、いつ、どんな見通しにもとづいて、解散・総選挙を決めたのか。そして、どんなふうに「郵政」解散を演出していったのか。
  3. 自民党は、圧勝したことによって、あれこれの政治課題(増税、社会保障の切り捨て、憲法など)を、今後どんなふうにやろうとするのか。
  4. これから、自民党政治とどんなふうたたかっていったらよいのか。

ということで、少しずつ考えてみたい。

投票結果 総選挙の結果をどう見るか(1)

とりあえず、各党の比例ブロックの得票を過去の選挙と比較してみました。

主要5政党のみ、各比例ブロックの得票の合計を、2004年参院比例区得票、2003年総選挙比例ブロック得票合計と比べてみました。今回の総選挙の数字は、選管確定票が分からないので、とりあえずNHKのホームページの総選挙特集のページに載っているものを利用。上段が得票数、下段が得票率です。

主要5政党の得票・得票率の変化
2005年総選挙 2004年参院選 2003年総選挙
自民 25,887,798 16,797,686 20,660,185
38.2% 30.0% 35.0%
民主 21,036,425 21,137,457 22,095,636
31.0% 37.8% 37.4%
公明 8,987,620 8,621,265 8,733,444
13.3% 15.4% 14.8%
共産 4,919,187 4,362,573 4,586,172
7.3% 7.8% 7.8%
社民 3,719,522 2,990,665 3,027,390
5.5% 5.4% 5.1%
投票総数 67,811,069 55,931,785 59,102,827

これをみて分かるのは、過去の選挙に比べて、今回の自民党票が大きく増えていること。2004年参院選と比べると、投票率が上がった分、全国で投票総数は1200万票増えていますが、そのうち900万票が自民党に投ぜられています。その限りで、小泉流「郵政」解散作戦は“してやったり”ということになります。

しかし他方で、民主党は議席を大きく減らしたけれども、得票ではそれほど減っていません。共産党、社民党も、若干ですが得票を増やしていることが分かります。

また、自公で衆議院の議席の3分の2以上を占めたと言っても、得票率で言えば自公合わせて51.5%で、5割をわずかに超えただけ。2003年の“小泉ブーム”といわれた総選挙のときでも、自公合わせると49.8%だったのですから、めちゃくちゃ支持が増えたという訳ではありません。このあたりは、やっぱり「小選挙区制」による“マジック”といえます。

もちろん、自民+公明だけで衆議院の3分の2以上を占めたという結果は重大であることは言うまでもありませんが。

災害を食い物にする者

ブッシュ政権高官の関連企業が、ハリケーン復興事業を次々に受注しているという話。

たとえば連邦緊急事態管理庁(FEMA)の前長官ジョセフ・オルボーがロビイストを務めるハリバートンの子会社ケロッグ・ブラウン・アンド・ルート(KBR)と、ショー・グループが、あわせて約2億3000万ドルの復興事業を受注した。ハリバートンは、チェイニー副大統領が1995?2000年にかけてCEOを務めていた企業でもあり、イラクの復興事業も受注している。

ハリバートンなど米政権関係企業、ハリケーン復興を受注(CNN.co.jp)
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意趣返し

町村外務大臣は、7月27日に、国連本部での記者会見で、「常任理事国になれなかったら国連分担金を削減すべきだという世論が広がるだろう」と発言したことは前に紹介(→「また嫌われるだろうなぁ…」)しましたが、まさかほんとに実行するとは…。

国連分担金、日本が引き下げ要求へ(読売新聞)
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当然のこと…

しかし、あの騒ぎはいったい何だったんだろう? 

星野氏、巨人入り否定/大阪で会見 阪神残留の意向示す(中日新聞)

でも、じゃあ阪神は星野さんを引き続きSDとして、彼に何をしてもらうつもりなのか? 人気があるからとりあえずキープ、なんて発想じゃなきゃいいんだけど。
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風邪のようです

おととい風邪を引いたみたいだと書きましたが、やっぱり本当に風邪を引いたようです。
暑いんだけど、エアコンをかけるとその風が痛い。体中節々が痛いし、喉も痛い…

MT-3.2日本語版のベータ版公開

Movable Type 3.2日本語版の公開ベータ版テストが開始されました。

MT-3.2英語版ではカレンダーがなくなってたけど、日本語版はどうなんだろう? 僕としてはカレンダー欲しいんだけどなぁ…

Six Apart – MovableType News: Movable Type 3.2日本語版の公開ベータテストを開始

違法解雇の「金銭解決」は許されない

厚生労働省は、新しい労働契約法の制定をめざすことを大筋了承。

解雇の「金銭解決制度」は、金さえ払えば解雇自由!ということです。絶対に許してはダメです。雇用の権利は、たとえば企業倒産の場合でも、未払い賃金などが労働債権として最優先されるようになっています。もちろん、一方的な解雇にたいし、裁判に訴え、結果として和解し、金銭を受け取って「円満退職」という形をとることがあるとしても、最初から金銭解決が認められるのと、労働者が和解に応じない限り金銭解決できない現状とでは大違いです。

「労使委員会」を労働協議の場に…労働契約法制定へ(読売新聞)
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風邪を引いたみたい…

風邪を引いたのかも知れません。
今日の暑さで、正直、熱があるのかどうかよく分かりませんが、体中の節々が痛いし、頭も痛いし…。ぼーっとしてて、仕事をしてても全然効率が上がりませんでした。
困った……。

追伸:
計ったら、37.0度でした。やっぱビミョーに熱が…

怒れる高村薫氏

作家の高村薫氏が、「朝日新聞」のオピニオンのページで「あなたの怒りが政治動かす」と題して、若者に向かって、こんなことを書かれている。

 今回の総選挙に突如出馬した某IT企業の青年社長は、「ぼくのような若者が出馬することで政治への関心が高まるのは、意義のあることだ」と語っている。これは一面の真実であろう。さてしかし、こんなふうに語られる「政治への関心」の正体とは何か。

メディア露出の多い著名人が出馬したからといって高くなるような「政治への関心」でいいのか? 高村薫氏は、そう言いたいのである。

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韓国で8000年前の丸木舟が出土

韓国南東部の慶尚南道昌寧郡にある飛鳳里(ピボンリ)遺跡から、約8000年前の丸木舟の一部が出土したそうです。

出土したのは、長さ約3メートル、最大幅約60センチの舟底部分。舟の全長は4メートル以上だったとみられています。松の木で作られ、船体を石器で加工した跡や焼いて強度を高めた跡もあったとのこと。こんごの調査が楽しみです。

国内最古推定「新石器時代の丸木舟」が出土(中央日報)
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初動が遅れたのはあなたでしょうが…

ハリケーンの被災者救援が遅れたことへの批判が高まっていることをうけて、ブッシュ米大統領が連邦政府の初動対応について調査する意向を表明。

って、言うじゃな〜〜い。いちばん初動が遅れたのは、29日にハリケーンが再上陸したのに、31日になるまでワシントンに戻らなかったあんたじゃないの…?

それにしても、調査する目的が「テロ対策」だとは…。とことん、すっとこどっこいな国ですなぁ。

米ハリケーン:連邦政府の初動対応調査へ ブッシュ大統領(毎日新聞)

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佐々木潤之介『江戸時代論』 途中経過報告

先日いただいた佐々木潤之介先生の『江戸時代論』(吉川弘文館、9月10日刊)ですが、行き帰りの電車の中で一生懸命読んでいます。

まだ第1部「社会史的江戸時代史」を読み終えて、第2部「日本・朝鮮・中国」に入ったところですが、ここまで読んでみて、先生がこの本で論じようとしたことが、スケールが大きくて、非常に今日的な問題であることが分かってきて、ますます引き込まれています。

なぜ明治維新が「王政復古」の形をとらなければならなかったのか? なぜ日本の幕末には、中国の太平天国の乱や朝鮮の甲午農民戦争(いわゆる東学党の乱)のような「民乱」が生じなかったのか? それを兵農分離、幕藩制国家の特質として考えようというのです。ほんとにこんなに風呂敷を広げちゃって大丈夫?と心配になるほどですが…。

何とか原稿を仕上げる

締め切り2日前にして、ようやく担当の原稿を書き上げることができました。(^^;) 「自民党新憲法第1次案」の主なねらいを紹介しつつ批判する原稿です。

1つめの論点は9条の全面改悪。ここは、「戦争の放棄」も「戦力保持の禁止」「交戦権の否定」も全部削ってしまって、「自衛軍を保持」すると明記しようというのですから、書くべきことは明白です。ただ、それだけだと「九条を変えるのはけしからん」だけになってしまうので、集団的自衛権の行使を求めるアメリカの要求が改憲策動の出発点にあることや財界のねらいなどを押さえながら、論じてみました。
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