最近、すっかりご無沙汰していたので、今日は、午後から渋谷で映画を2本続けて見てきました。
1本目は、昨日公開されたばかりの米・コロンビア合作映画。コロンビアの田舎町に住むマリア(カタリーナ・サンディノ・モレノ)は、都会にあこがれ、偶然知り合った男の紹介で麻薬の運び屋をやることに。小分けにパックされた麻薬を胃の中に飲み込んで、ニューヨークまで運べば、5000ドル貰える。同じ運び屋をやっているルーシーと知り合い、パックを飲み込むコツを教えてもらう。友だちのブランカともう1人の運び屋が加わって、4人が同じ飛行機でアメリカへ。しかし、税関で1人は捕まり、マリアも取り調べを受ける。しかし、妊娠中のマリアにはレントゲン検査ができず、何とか税関を通過できた。しかし、ここでパックを出せと連れて行かれたホテルで、ルーシーに異変が……。マリアはブランカをつれて、ホテルを逃げ出す……。
ということで、テーマは相当に重い作品です。
しかし、映像的には予想したほどきついシーンはありませんでした。といっても、無理やり60個を超えるパックを飲み込まなければならないとか、機内のトイレでパックを出してしまったのを(それが上から戻したのか下からなのかは描かれていませんが)、洗ってもう一度飲み込まなければならなかったとか、かなりぐっとくる場面もあります。下剤を飲まされ、バスタブの中でパックを排泄させられるなんていうのも、げんなりきます。
この映画を見て気がついたこと。バラの花束が、きれいに棘がとられて、揃えられているということの背後には貧しい南米の労働者がいる、ということ。日本のバラの花束が、はたして、同じなのかどうかは知りませんが、バラの花束を見ても、これからは、そんなに素直には喜べないなぁと思ってしまいました。(今年21本目)
→公式サイト:そして、ひと粒のひかり
【作品情報】監督・脚本:ジョシュア・マーストン/出演:カタリーナ・サンディノ・モレノ(マリア)、イェニー・パオラ・ベガ(ブランカ)、ジョン・アレックス・トロ(フランクリン)、ギリード・ロペス(ルーシー)、パトリシア・ラエ(ルーシーの姉)/2004年 米・コロンビア
2本目は、フランス映画「メトロで恋して」。地下鉄の中で、偶然、目の前に座った女性(クララ)に向かって、ノートに「お茶しない?」と書いてナンパしたアントワーヌ。売れない俳優(アントワーヌ)と、小説家をめざしてTGVのバーカウンターでバイトしているクララとの恋が始まる。やがて2人は結婚を意識し始めるが、そのときクララは病院でHIV陽性を宣告される。ショックを受けるクララ。彼女は、「眠れない」「眠ると2度と目が覚めないような気がする」と不安な気持ちを訴えるが、優柔不断なアントワーヌは彼女をささえていくだけの決心ができない…。
ということで、「その手」のお気楽なフランス映画を想像していた僕は、すっかりだまされてしまいました。「メトロで恋して」なんていうお気楽な邦題をつけるからです。原題は「Clara et Moi」――「クララと僕」という意味。最初、あんまりお手軽に2人の恋が始まって、映画が始まって5分ぐらいで、さっさとラブラブになってしまって、“いくら何でも早すぎるだろう”なんて思って見ていたのですが、途中から、ストーリーはぐっと深刻に。いまの御時世、HIV陽性だからといって、即エイズを発症するとは限らないのに。ああなんたる無知な男よ。
しかし、映画の中でアントワーヌが言うとおり、男というのは、女性のように現実的に生きることができないものなのかも。あるいは、アントワーヌが単に自己中心的なだけなのか。なんにしても、男の情けなさを、あらてめて思い知らされる作品でした。(今年22本目)
→公式サイト:メトロで恋して
【作品情報】監督・脚本:アルノー・ビアール/出演:ジュリー・ガイエ(クララ)、ジュリアン・ボワスリエ(アントワーヌ)/2004年 仏