日本経団連が、新内閣に要望を提出。
「小さな政府」の実現、公務員給与の削減、社会保障の一体改革、消費税引き上げを含む税制の抜本的改革、研究開発減税、IT減税の継続、法人税率の引き下げなど、5分野23項目にわたる要望は、財界がいま何を望んでいるか、分かりやすい一覧表という感じです。
それにしても、新内閣発足にあたって経団連が要望書を発表する、というのは、昨年9月に続いて2度目。しかし去年のものは5項目だけですから、体系だった要望書は、今回が初めてといえるかも知れません。ともかくいま財界が何をねらっているか、これらの要求がどういうふうに実現されていくのか、要注目です。
新内閣への要望
2005年10月31日
(社)日本経済団体連合会今般発足した新内閣は、先の総選挙における国民の信任に応えるためにも、内閣全体で改革断行の方針を共有して、大胆かつスピード感をもって取り組み、具体的な成果をあげることが望まれる。われわれは、政府の構造改革と企業の経営革新があいまって、自律的かつ持続的な景気の回復、拡大が実現されるものと確信する。
新内閣は、経済のグローバル化の進展や人口減少社会、超高齢社会の到来などを踏まえ、経済社会の長期的な発展に向けた基盤を整備する観点から、以下の課題に果敢に取り組むよう、ここに要望する。記
1.効率的な行財政構造を確立する
- 一般会計、特別会計、政策金融の改革等を通じた「小さな政府」の実現
- 地域の自立・発展に向けた地方行財政改革(地方交付税制度、税源配分、国庫補助負担金の一体的見直し)
- 国・地方を通じた公務員の総人件費の削減
- 公務員制度の抜本的な見直し(内閣による一元的な採用・人事・再就職管理等)
- 経済と整合的で持続可能な社会保障制度の確立、年金・医療・介護・雇用保険の一体的改革
- 消費税を含む税体系の抜本的改革の実現、納税者番号制度の導入
2.民の力を引き出す競争基盤を整備する
- さらなる規制改革の推進と「公共サービス効率化法案」(仮称)の早期策定
- 国際競争力の強化に資する税制の整備(研究開発促進税制、IT投資促進税制の延長・活用、法人実効税率の引き下げ、減価償却制度の改革、土地税制の見直し等)
- 企業の自主的な活動を促進する会社法制、開示・会計制度の整備
- 独禁法の抜本的改革の実現
- 首都圏三環状道路など主要都市道路の早期整備、成田・羽田両空港の近代化(再拡張及び国際線・国内線の接続充実)
- 担い手の明確化を通じた競争力のある農業の育成
3.イノベーションを創出し世界のトップランナーとなる
- 政策目標実現のための戦略重要科学技術の選定と推進、政府研究開発投資の対GDP比1%目標の設定、知的財産政策の強化
- 環境税の導入ではなく国民や企業の活力を重視した地球温暖化対策の実現、原子燃料サイクル推進を含む原子力政策の着実な実施、資源・エネルギー戦略の再構築
- ICTの利活用に向けた国家戦略の策定と社会的諸課題の解決促進、世界最先端のコンテンツの創造と文化発信
4.対外経済戦略および外交・安全保障政策を推進する
- 総合的な対外経済戦略の構築と一体的な推進体制の確立
- WTO新ラウンド交渉の成功を通じた自由化の推進と多角的な自由貿易体制の強化、FTA・EPAによる二国間・地域間の経済連携の強化
- 対内直接投資の促進
- 世界に開かれた魅力ある地域づくり・景観美化を通じた国際観光立国の実現
- 世界の平和とわが国の繁栄に向けた外交・安全保障政策の推進
- 憲法をはじめとする国の基本的な枠組みの再構築
5.人を活かす社会をつくる
- 競争原理の導入による教育現場の活性化、教育の質の向上を目指した教育基本法の改正
- 若年者、女性、高齢者などの活用と多様な働き方を推進する労働分野の規制改革、外国人受け入れのための体制整備
- 重点的・効果的な少子化対策の実施
- 安全で良質な住宅・住環境の整備に向けた「住宅・街づくり基本法」の早期制定、住宅投資減税の導入
- 国民が安心して生活できる治安の実現
以上