この間、読んだもの

この間、雑誌論文で読んだものをちょいとメモしておきます。

関岡英之「奪われる日本――『年次改革要望書』 米国の日本改造計画」(『文藝春秋』2005年12月号)

 『拒否できない日本』の著者による、「郵政民営化」後の、アメリカのねらいを明らかにしたもの。「年次改革要望書」というのは、1993年の宮沢・クリントン会談で合意されてから、毎年、双方の政府が提出しあってきた外交文書。最近のものは、駐日アメリカ大使館のホームページで読めます。そこで、アメリカが1995年以来一貫して簡易保険の廃止を要求してきています。それは、アメリカの保険業界が簡保120兆円をねらっているからだというのが著者の主張。

さて、その郵政民営化が強行されたあと、次にアメリカがねらうのは何か? それは健康保険だというのが著者の分析です。

 そういえば、小泉さん、こんどは執拗に「混合診療」をすすめようとしていますなぁ。しかし著者は、日米の医療費を比べると

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小宮山宏『地球持続の技術』

小宮山宏著『地球持続の技術』(岩波新書)

1999年刊の本ですが、最近、仕事の関係で話題にのぼったので、あわてて買い込み読んでみました。

この本の特徴は、地球持続の技術を、地球規模での物質のライフサイクルという角度から考えていること。さらに省エネがどこまで可能かも、輸送、分離、成型・加工など「素過程」に分けて理論値を考え、そこから技術的に到達可能な限界を推測しています。

たとえば水平方向の輸送は、ちょっと意外ですが、理論的にはエネルギー消費はゼロ。もちろん、これは摩擦ゼロ、ブレーキで発生する熱は全部回収し再利用する、などという理想状態でのことですが、そこから逆に、実際にはそれがゼロにならないのは、たとえばタイヤの摩擦によるロス(熱となって逃げる)、エンジンがガソリンのエネルギーを全部移動のエネルギーに変換できず、排ガス・廃熱となっているからだとか、ひとつずつ詰めていく訳です。

また、鉄やアルミは、鉄鉱石やボーキサイトから新しく生産するより、クズ鉄や廃アルミを回収して再利用した方が、はるかにエネルギーの節約になること。しかも鉄もアルミも、年々生産量が増え、地上に固定される量が増えると、当然、それがスクラップにされて回収される量も増えていくはずで、どこかで回収量と新規需要がバランスするはずです。そうなれば、もはや新しく鉄鉱石を掘り出して鉄を生産する必要がなくなり(現実には、質の問題などがあって、完全にゼロにはならないでしょうが)、資源の枯渇や、廃棄物によって地球が埋まっていくことを心配しなくてます。エネルギーの大幅な節約も可能です。

第4章「『日々のくらし』の省エネ技術」では、ヒートポンプによる暖房が非常に効率的である(これも、あくまで理論値ですが)ことが明らかにされています(ヒートポンプは、電力で、直接室内を暖めている訳ではなく、フロンを圧縮して循環させるポンプを動かすために使われているだけなので)。なんとなく、これまでエアコンで暖房するというのは、ものすごく電気を無駄にしているように思っていたのですが、とんだ勘違いでした。(^_^;)

マクロで省エネや省資源を考えるというのは、なかなか面白い視点だと思いました。
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小掃除な日

いつも日曜日は昼頃まで寝倒すのに、今日はなぜか9時前に目が覚めてしまいました。(^_^;)

で、お天気もいいので、まず洗濯。それから、久しぶりに掃除機を使って掃除。いつもはコロコロや化学モップで、そのへんをちょこちょこっとやってお終いにしているのですが、今日はパソコンの裏につもった埃も全部きれいにしました。(^_^;)
それから、レンジ回りの掃除。といっても、油よけのアルミを取り替えたぐらいですが、それでも随分ときれいになりました。ときどき豚肉の生姜焼きをつくったりする程度なんですが、それなりに油が飛ぶみたいで、アルミに油がべっとり…。流しの棚なんかも、けっこう油でべとついていたりします。そのあたりも、家庭用洗剤をぷしゅぷしゅやって、しこしこ拭いて回りました。

お疲れ様でした。m(_’_)m

「理念」を失った政治

ちょうど最新作『新リア王』を読んでいることもあって、『現代』12月号に作家の高村薫氏が書いた「小泉改革という幻想」を読みました。

高村さんは、いまの政治家が、政治家として欠かすことのできないはずだった「理念」を持っていないことを厳しく批判しています。

 私が今回、「政治家」、それも80年代の政治家を小説に描いた最大の理由は、「人間にとってより良い生き方とは何か」「人間はどう生きるべきか」という、本来、政治家にとって根底にあるべき理想や理念を、80年代ぐらいまでの政治家はかろうじて持っていた、そして今日の政治家たちはまったく持っていない――という現実を書きたかったからです。

 今日の政治家たちには、「人間にとって幸せとは何か」といったような根底になくてはならない理念が完全に消失してしまっています。
 事実、いまの政治――小泉政権は、国民が求めていること、すなわち公共的利益を国民の安定した生活や、安定した未来につなげていくような決断や政治的過程を、ひとつも実現できずにいる。それは、本来政治家にとって何より不可欠である「理念」が、小泉さんをはじめとするいまの政治家たちに欠落しているからに他なりません。だから困る。

今回の総選挙の結果についても、高村氏は、「今回の選挙で小泉自民党政権に票を投じたのは、『いまのこの経済を立て直すためには、膨れ上がった国の債務を減らさなければどうにもならない」という願いというか、共通の認識が如実に反映された結果だと私は思います」と述べる一方で、にもかかわらず「小泉政権は発足以来、国債による赤字を毎年35兆円近くも増やし続けている」。ところが、郵政民営化のように、「多くの大衆が求めている社会の姿とは違うものを、さもそうであるかのように見せている」と厳しく批判。小泉首相は「政治に与えられた権力のなんたるかを理解していないのは明らか」「政治的な駆け引き、政局の中を泳ぐ、その中で勝った負けたという、いわゆる『戦国ゲーム』、そこに人生を見いだしている人ですから、およそ政治家ではない」との指摘は、なかなか本質を突いていると思います。

ほかにも、興味深い指摘がいろいろありました。
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第2次日韓協約 日本側の軍事的圧力を示す史料が見つかる

1905年に結ばれた第2次日韓協約(韓国側では乙巳条約)。日本が韓国の外交権を取り上げ、ソウルに統監府を設置、10年後の韓国併合につながった条約ですが、その締結の際に、日本側が韓国駐留軍の軍事力にものをいわせて圧力をかけていたことを示す史料が、荒井信一氏によって明らかにされました。

1つは、当時の駐韓アメリカ公使の国務長官宛報告書。報告書は、韓国駐留日本軍が交渉会場を固めていたことを指摘し、「韓国皇帝に日本の要求を拒むことは不適当だと思わせるためにも使われた」と報告。
もう1つは、陸軍省の「明治三十七八年戦役陸軍政史」で、長谷川司令官が条約に反対する韓国の閣僚らの動きを封じるため、憲兵に動静を厳しく監視させ、韓国の軍部大臣を呼び、「最後の手段が何か、あえて詳しく言わないが」と告げたとのこと。

日韓協約交渉、日本軍が韓国側の行動制約か 米公使指摘(朝日新聞)
日韓協約交渉、日本側が武力で圧力 シンポで発表(朝日新聞)
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古河電気、残業代14億円未払い

ちょいと古いニュースですが、古河電気工業が、今年9月までの2年間で、全国の事業所の製品開発などの分野で残業代14億円余りが未払いになっていたと発表。

「従業員が実際に残業した時間よりも少ない時間を会社側に申告していた」とありますが、上限を設けるなど、会社側が“申告しにくい”環境をつくっていたはず。そこを変えないと、“サービス残業”はなくなりません。

残業代14億円を未払い 古河電気で1700人分(共同通信)
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今週の「九条の会」(11月12日まで)

先週、11月3日にちなんでいろんな集会やイベントが行なわれたので、今週はちょっと少なめです。

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