実をあげた米韓首脳会談

韓国は、米韓首脳会談で、朝鮮半島の恒久的平和体制を実現するために、当事者である韓国・北朝鮮、米・中の4カ国で開始することでアメリカと合意。

<米韓首脳会談>平和協定協議開始へ 共同宣言を発表(毎日新聞)

<米韓首脳会談>平和協定協議開始へ 共同宣言を発表

 【慶州(韓国南東部)及川正也、堀山明子】アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議参加のため訪韓中のブッシュ米大統領は17日、韓国の古都・慶州で盧武鉉(ノムヒョン)大統領と会談した。03年の盧政権発足以来、ブッシュ大統領が訪韓したのは初めて。会談後、両首脳は共同会見を行い、朝鮮半島の平和体制への転換の必要性をうたった「米韓同盟と朝鮮半島の平和に関する共同宣言」を発表した。
 米韓首脳による文書は、03年5月に共同声明、同年10月に共同報道文が発表されたが、声明よりランクが高い共同宣言が発表されたのは初めて。
 宣言は、9月の6カ国協議共同声明で記された「朝鮮半島の恒久的な平和体制についての協議」を推進すると再確認しており、朝鮮戦争(50?53年)の休戦協定を平和協定に移行させるため、6カ国協議と別枠で平和体制に向けた協議を開始する姿勢を表明。平和体制に関する協議は「直接当事者が開催すべきだ」とし、米韓と中国、北朝鮮による協議を促した。
 共同会見では、盧大統領は米韓関係を強化するため、「米韓外相の間で戦略対話を開始することで合意した」ことに触れた。また、北朝鮮の核問題については「朝鮮半島の平和構築のためには、緊張緩和と信頼関係構築が大切であるという認識で一致した」と語った。
 一方、ブッシュ大統領は核問題について「解決は我々の関心だけでなく、全世界の関心事だ」と強調し、「南北朝鮮の平和統一は我々の望みであり、いつかは平和的に統一されると思う」と述べた。軽水炉提供問題については「我々は適切な時期に北朝鮮に軽水炉を提供するが、それは北朝鮮が核を完全に廃棄した後のことだ」とし、北朝鮮が核廃棄よりも前に軽水炉を提供するよう求めていることを拒否した。
 ブッシュ大統領は16日夜に釜山に到着。17日朝に慶州入りした。慶州では世界遺産に登録されている仏国寺などを見学する予定。(毎日新聞) – 11月17日14時41分更新

韓国・北朝鮮・米国・中国の協議を始めるというのは、まあ見方によっては、6カ国協議でじゃまになる日本を除いた別の枠組みで交渉を始めようというもの。アジア外交で、日本が「パス」される状況がますます強まる、ということかも知れません。

このように実をあげた米韓首脳会談に比べると、中身がなかったのが日米首脳会談。

アメリカ側からみれば、在日米軍基地の再編、BSEでの牛肉輸入再開など、日本側の約束をかちとった訳ですが、日本側から見れば、アメリカから訳してもらったのは、拉致問題と常任理事国入りとでの支持表明ぐらい。しかし、対北朝鮮関係では、アメリカは6カ国協議の枠でやっていくという方針を動かすつもりなし。また、常任理事国入りは、中国が反対を表明している以上、実現可能性jはゼロ。つまり、アメリカ政府にしてみれば、結果に責任を持つ必要なく、お気楽に「支持」を表明できるし、それで日本政府が日米同盟の負担を受け入れてくれるなら、これほど安い「約束」はない訳です。

で、結局、日本側から言えば、具体的な成果は何もなく、ひたすら負担だけを約束させられた格好です。そこにまんまとはまっていく小泉さんも、小泉さんだと思うんですけどね。宮沢元首相も「中身が乏しい」と指摘してます。

<日米首脳会談>同盟協力を世界規模に拡大する方針確認(毎日新聞)

<日米首脳会談>同盟協力を世界規模に拡大する方針確認

 小泉純一郎首相は16日、ブッシュ米大統領と京都迎賓館で会談した。自衛隊と米軍の連携を強化する在日米軍再編の中間報告がまとまったのを受け、同盟協力を世界規模に拡大する方針を確認した。会談後の共同記者会見で、首相は「日米関係が緊密であればあるほど中国、韓国、アジア諸国とも良好な関係が築ける」と述べ、靖国参拝で中韓両国との関係が悪化しているアジア外交でも、日米同盟を最優先させる考えを強調した。
 会談で首相は「日本国内では日米関係より国際協調に比重を移してはどうかという議論があるが、賛成しない」と述べ、大統領も「正しい考え方だ。良好な日米関係があればこそ、中国も対日、対米関係を強化しなければならないと思うのではないか」と応じた。日中関係について首相は「経済、文化、スポーツ、人的交流など各分野で拡大している」と強調、靖国問題には両首脳とも直接言及しなかった。
 両首脳は来年3月にまとめる在日米軍再編の最終報告に向け協議を加速させ、「世界の中の日米同盟」を強化するため自衛隊と米軍の連携を世界規模に拡大させる方針を確認。小泉首相は中間報告に盛り込まれた普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)移設など基地再編案の実現に政府を挙げて取り組むことを約束した。
 首相は日本政府としてイラクの復興支援を継続する方針を表明。12月14日に期限を迎える自衛隊のイラク派遣については「国際社会の一員として何ができるか、日米同盟の重要性も考え総合的に判断する」と、延長する考えを強く示唆した。
 首相はまた、米国産牛肉の輸入再開に向け食品安全委員会が国民から意見を公募する手続きに入っていることを説明。大統領は日本政府の対応を評価した。
 大統領は北朝鮮による拉致問題の解決を求める日本政府の立場に改めて支持を表明。日本が目指す国連安保理常任理事国入りについても強く支持する考えを示し、安保理改革の実現へ向け協力することで一致した。
 このほか、鳥インフルエンザ対策や世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(新ラウンド)を促進させるため協力することも確認した。
 大統領の来日は03年10月以来2年1カ月ぶり。小泉首相とブッシュ大統領との日米首脳会談は12回目だが、チリで会談した前回の04年11月からは1年の間隔が空いた。会談に先立ち首相と大統領夫妻は金閣寺を散策し、紅葉の京都を楽しんだ。【平田崇浩】
 ◇京都迎賓館で行われた日米首脳会談の主なやりとり
【イラク支援】
 ブッシュ大統領 イラク、アフガニスタンでの日本の支援に深く感謝している。
 小泉首相 日本のイラク支援は、イラク人自身の力による安定した国にするよう努力している。(自衛隊の派遣期間が期限切れとなる)12月に日本としてどうするかについては、イラク復興のために日本に何ができるのか、国際社会の一員として何をすべきか、また日米関係も考慮して、総合的にその時点で主体的に判断する。
【日米関係】
 大統領 この地域の平和と安定を維持するために日米同盟は不可欠だ。首相の指導力の下でこれが強化された。
 首相 日米関係は日本にとって最も重要だ。敗戦後60年間、努力して平和の中で繁栄してきたが、これは日米関係が維持、強化されてきたからこそ実現された。日米関係より、国際協調にもう少し比重を移してはどうかという議論があるが、これは自分が取る考えではない。日米関係がよいからこそ、中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国、すべての国とのよい関係が維持されてきている。
 大統領 よい考えだ。中国から見たら、よい日米関係があればこそ、中国は日本との関係、米国との関係も強化し、よいものにしなくてはと思うのではないか。
【中国】
 大統領 中国についてどう見ているか。
 首相 いくつか問題があるが、首相就任以来、日中関係は強化されてきている。日本で一時、中国脅威論というのがあったが、中国経済は日本にとって脅威ではなく、むしろチャンスだと思っている。例えば農産物を見ると、中国から安い農産物が日本市場に入ってくるという面があったが、最近は、イチゴ、リンゴ、ナシなど良い日本の農産物が中国に輸出されている。中国の経済発展も日本経済にとってプラスになっている。高い技術を使う製品については日本に生産拠点が戻ってきている。政治や安全保障の分野では、中国がこの地域、国際社会で建設的なパートナーになるよう働きかけていくことが重要だ。
【北朝鮮】
 首相 北朝鮮が6カ国協議に応じているのは、良好な日米関係があるからではないか。日本にとって北朝鮮との関係では、核問題ももちろん解決しなければいけないが、拉致問題の解決が必要と考えている。
 大統領 拉致問題についてはかねがね自分は共感しているし、問題の解決を支持している。北朝鮮の人々が置かれている状況に非常に強い懸念を持っている。米国にできることには限りがあり、2国間で処理できないことも多い。6カ国協議の枠組みの中で、問題解決を図っていかなくてはいけない。
【米牛肉輸入再開問題】
 大統領 米議会で、牛肉の輸入再開問題についての関心が高い。
 首相 科学に基づき安全性に配慮しつつ、できるだけ早期に日米間で双方向の牛肉貿易を再開したい。食品安全委員会の正式な答申を受けて、関係省庁がしかるべき措置を取ることになる。
【新多角的貿易交渉】
 大統領 農産品の取り扱いなど難しい問題があるが、何とか世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(新ラウンド)を進めることが重要だ。アジア太平洋経済協力会議(APEC)の会合で進展を支持するようなメッセージを出したい。
 首相 新ラウンドの前進のために最大限の努力を米国とともにしていきたい。同時に日本は最大の農業輸入国としての立場がある。すべての面に配慮しながら成功させていく必要がある。
【在日米軍再編】
 首相 中間報告を取りまとめた後、内閣改造で防衛庁長官、外相が交代したが、切れ目なく努力を続けていく。米軍施設を受け入れる地方自治体が賛否を問われれば、やはり否定的な反応になる。しかし、日本の安全、全体を考えて対応していく必要があり、何とか地方自治体の理解を得て、実現を図っていく考えだ。
【国連改革】
 大統領 日本が国連安全保障理事会の常任理事国入りすることをこれからも支持していく。安保理改革を実現するために日米で協力していこう。(毎日新聞) – 11月16日22時29分更新

<宮沢元首相>日米首脳会談、中身が乏しいとの認識(毎日新聞)

<宮沢元首相>日米首脳会談、中身が乏しいとの認識

 自民党の宮沢喜一元首相は18日、民放の討論番組の収録で、日米首脳会談について「注目すべきことはなかった」と述べ、中身が乏しいとの認識を示した。また、小泉純一郎首相が「日米関係が良好であればあるほど各国との良好な関係を築ける」と発言したことについて「適当な発言とは思わなかった」と批判した。(毎日新聞) – 11月18日20時35分更新

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