10月の失業率が、3カ月ぶりに悪化したというニュース。政府は、一時的な自発的失業者の増加が原因だとしています。まあ、大きくみれば景気は回復傾向にあり、就業者や雇用者も増えています。
しかし問題は、そういうなかで正社員が前年同期比で32万人減と、3期連続で減少しているのに対し、非正規社員は87万人増、11期連続で増加しているということ。つまり、失業は減少傾向にあるとはいっても、増えているのは非正規雇用が中心だということです。はたして、これで本当に景気回復といってよいのでしょうか?
と思っていると、10月のサラリーマン世帯の消費支出が4カ月にプラスになったというニュース。ほほう、やっぱり景気がよくなっているのかとよく読んでみると、世帯主の定期収入は8カ月連続で減少、可処分所得も減少。ということで、本当にこれで国民レベルで景気が回復しているといってよいのだろうか?
10月の完全失業率、4.5% 3カ月ぶり悪化(朝日新聞)
10月のサラリーマン世帯消費支出、4カ月ぶりプラスに(朝日新聞)
10月の完全失業率、4.5% 3カ月ぶり悪化
[asahi.com 2005年11月29日11時12分]総務省が29日発表した10月の完全失業率(季節調整値)は、前月より0.3ポイント高い4.5%と3カ月ぶりに悪化した。厚生労働省が同日発表した10月の有効求人倍率(同)は前月より0.01ポイント高い0.98倍だった。厚労省は、失業率の悪化について、女性を中心に条件のいい仕事を求めたり新たに求職を始めたりした人が増えたための一時的なものと分析したうえで「雇用情勢は引き続き回復基調にある」と判断している。
完全失業者数は304万人で、前年同月比7万人減と29カ月連続の減少。うちリストラや定年などの「非自発的失業」は100万人で同13万人減、自発的失業は115万人で同4万人増。自発的失業が増えたのは3カ月ぶり。
男女別の完全失業率は男女とも4.5%で、男性が前月比0.2ポイント、女性は同0.3ポイント上昇した。中でも女性の25?44歳層で自発的失業者や、無業者の求職が増えており、今まで家事などをしていた人が求職活動を始めたと厚労省ではみている。15?24歳の男性の完全失業率が9.4%など、若年者の高失業率が依然として懸念される。
就業者数は前年同月比57万人増の6409万人と6カ月連続で増加。うち自営業者らをのぞく雇用者は同95万人増の5457万人と過去最高になった。
雇用の回復は非正規社員が中心の傾向は続いている。同時に発表された7?9月期の雇用状況をみると、正社員は月平均3372万人で前年同期比32万人減と3期連続で減ったのに対し、非正規社員は同87万人増の1650万人で、11期連続で増えた。
10月のサラリーマン世帯消費支出、4カ月ぶりプラスに
[asahi.com 2005年11月29日10時33分]総務省が29日発表した10月の家計調査報告によると、勤労者世帯(2人以上)の月平均消費支出は、1世帯あたり32万5501円だった。前年同月に比べると、物価変動の影響を除いた実質値で1.3%増と、4カ月ぶりにプラスになった。
エアコンや冷蔵庫、洗濯機、大型テレビなど家庭用・娯楽用の耐久消費財への支出が伸びた。実収入は、世帯主の定期収入が8カ月連続で減少を続けており、同0.1%減。実収入から税金や社会保険料など非消費項目を引いた可処分所得も同0.3%減った。