最近何かと話題の、GPPAC(「ジーパック」と読む。「武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ」の英語表記の頭文字)の世界提言「武力紛争予防のための世界行動提言」(今年7月、ニューヨーク国連本部において採択)ですが、GPPAC JAPAN事務局のホームページに日本語訳が公開されています(pdfファイル、388KB)。
このGPPAC世界提言の中で、日本国憲法第9条が「規範的・法的誓約が地域の安定を促進し信頼を増進させるための重要な役割を果たしている」例として取り上げられ、「アジア太平洋地域全体の集団的安全保障の土台となってきた」との評価を与えられたことは有名です(仮訳の20ページ参照)。
同時に、提言全体を読んでみると、NGOなどの取り組みを踏まえたものだけに、早期対応、紛争予防、和平プロセスへの公衆参加など、複合的なプロセスによって具体的にどう国際紛争・地域紛争の被害を少なくし、紛争を防止し、いち早い復興をすすめるか、非常に実践的で細やかな点にまで配慮の行き届いた方針が提起されています。
アメリカ政府による「人道支援」を口実にした軍事行動がおこなわれ、日本でも、あたかも紛争解決のためには軍事力による抑止が一番であるかのような議論(だからこそ、自衛隊を海外派兵させないと、日本は「貢献」できないんだという議論を含め)が、さも「専門家」のように流布されていますが、この提言を読むと、決してそうではないことがよく分かると思います。憲法9条の部分だけでなく、ぜひ一度全体に目を通してみてはどうでしょうか。
また、日本政府が、いまの何かといえば自衛隊の海外派兵、軍事一本やりの対応をやめて、世界のNGOと一緒になって、こういう多面的・重層的な紛争予防の活動に取り組むようになったら、どれほど世界の信頼を集めることになるでしょう。ぜひ、そういう日本政府を実現したいものです。