日銀総裁が、「量的緩和」解除の前提として、来年1?3月期には消費者物価ははっきりとプラスになると主張。
デフレ脱却はよいのだろうが、勤労者世帯の実収入がマイナスになっているときに、消費者物価が上昇傾向になったら生活はますます苦しくなるのでは? 本当に国民の暮らしがよくなってデフレを脱却するならともかく、一般国民の収入が伸びないままインフレになれば、踏んだり蹴ったりだ。
量的緩和、来春解除の可能性を強調・日銀総裁(NIKKEI NET)
量的緩和、来春解除の可能性を強調・日銀総裁
日銀の福井俊彦総裁は8日の名古屋市内での講演と記者会見で、金融の量的緩和政策の解除について「2006年度にかけて政策変更の可能性が高まる。重要な判断の局面が差し迫っている」と述べ、従来よりも強い表現で来春の解除への意欲を示した。解除後の金融政策運営では「(現在のゼロ金利の)金融環境に大きな段差が生じるわけではない」とし、利上げを急がない姿勢を強調した。
総裁は中部経済界代表との懇談会で講演し、量的緩和について「もう終わりが近いことはだれの目からみても見える」とこれまでよりも踏み込んだ表現で指摘した。解除基準である消費者物価指数(CPI)の変化率が10月に前年比ゼロ%となり「来年1?3月にかけて比較的はっきりとしたプラスになると予想される」ことを根拠に挙げた。早ければ今年度内に解除条件が整うことを示唆した発言と受け止められている。[NIKKEI NET 2005/12/08 22:27]
勤労者世帯の実収入は、年平均でみると、1997年の59万5,214円をピークに減少に転じ、2003年には52万4,542円まで低下。2004年は若干上向いたとはいえ、53万0,028円で、大きく落ち込んだままです。(詳しくは、総務庁統計局「2004年家計調査年報」の統計表を参照のこと。Excelの表が開きます)
→http://www.stat.go.jp/data/kakei/2004np/zuhyou/2nh0103.xls
今年10月の家計調査でも、勤労者世帯の実収入は、前年同月比で実質0.1%の減少で、7月以来4カ月連続でマイナスになっています。
ちなみに「実収入」とは、「一般に言われる税込み収入であり、世帯員全員の現金収入を合計したもの」です(「家計調査 用語の説明」)。