今日は、日本科学者会議が主催する国際シンポジウムに参加してきました。(於・早稲田大学文学部)
午前中は、「持続可能社会を実現するために」のパネルディスカッション。発言者は
厳 網林(慶應義塾大学):中国における環境問題と持続可能な発展戦略
舘野 淳(中央大学):「持続可能な開発」概念の再検討
南 有哲(三重短期大学):生命中心主義と多文化主義の非両立生に関する試論
厳氏の報告は、中国の経済発展と、そのもとで相当環境問題が深刻化している状況が率直に語られました。まあ、ニュースなどで流れていることなんですが、自然科学系の研究者の多い会場からは、驚きのため息が聞こえたりもしました。さて、報告の趣旨は、経済発展そのものは貧困克服のためにも必要だということを前提にした上で、環境問題をどう解決するか、そのためにエネルギー構造の転換(現在、中国は石炭が主)と循環型社会の実現が避けられない、しかし中央集権的なシステムで対応するのは限界、環境問題は市民社会の問題。企業の社会的責任をどうするか。企業は儲けるだけで、環境や規制は政府の責任というやり方ではうまくいかない、というもの。中央で環境保護、規制を決めても、地方へ行けば、いろんな利害関係があり、企業の経済活動を規制しようとしてもうまくいかない、企業の経営責任者と地方幹部との癒着、腐敗もある。だから、市場システムを使って、環境そのものに価値を与え、環境保全が企業にとっても利益になるようにしないといけない、云々。ということで、政府も「科学的発展観」を協調して、省エネ省資源の技術、再生可能エネルギーの利用などを強調している、中国の環境問題は、チャンスにもなるし驚異にもなるが、はたしてどうなるだろうか、という感じでした。
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