民主党の前原代表が訪米・訪中して、「中国は現実的脅威」と指摘。集団的自衛権にふみこみ、改憲を主張するなど、言いたい放題。
中国軍増強は「脅威」 民主前原代表、ワシントンで講演(朝日新聞)
中国軍増強は「脅威」 民主前原代表、ワシントンで講演
[asahi.com 2005年12月09日12時12分]民主党の前原代表は8日(日本時間9日朝)、ワシントンの米戦略国際問題研究所(CSIS)で講演した。中国の軍事力増強を「現実的脅威」と指摘。また、シーレーン(海上交通路)防衛のために、集団的自衛権を行使できるよう憲法改正を検討すべきだとの考えを示した。
前原氏は、中国について「経済発展を背景に、軍事力の増強、近代化を進めている。これは現実的脅威だ」と指摘。対中外交については「対話と関与、そして抑止の両面で対処すべきだ」と語った。
東シナ海のガス田問題や原子力潜水艦の領海侵犯事件などをあげ、「中国による領土、海洋権益の侵犯の動きが見られる。毅然(きぜん)とした対応を取ることが重要」と語った。「(ガス田問題で)中国側が既成事実の積み上げを続けるなら、日本としては係争地域での試掘を開始せざるを得ない」と述べた。
また、日本の主権・権益を守るための防衛力や法整備の必要性を強調。「1千カイリ以遠のシーレーン防衛を米国に頼っているが、日本も責任を負うべきだ。憲法改正と自衛隊の活動、及び能力の拡大が必要になるかもしれない。集団的自衛権の行使と認定され、憲法上行えないとしている活動について、憲法改正を認める方向で検討すべきだ」と述べた。シーレーン防衛については講演後の質疑で「多国間の協力できる仕組みをつくり、日本は役割を果たす」と説明した。
また、講演では対米関係について、「アジア太平洋の長期的な平和と安定のために、民主党は日米同盟の進化を推進する」とした。在日米軍再編でキャンプ座間(神奈川県)に米陸軍第1軍団司令部を改編した統合作戦司令部を移す案について、「日米安保条約の地理的範囲の解釈と齟齬(そご)をきたさないか。安保再定義の必要性を含めて、日米間で十分議論することが肝要だ」として、「極東条項」見直しなどが必要との認識を示した。
自衛隊イラク派遣などの国際貢献活動については「国民の理解の得られない国際貢献については、米国の協力要請を断る場合は十分ありうる」とするなど、日本の主体性を強調した。
14日にマレーシアで初めて開かれる東アジアサミットについては「東アジア共同体を進化させるべきだが、米国は排除されるべきではない。米国抜きでアジア経済の発展はあり得ない。日本が積極的な懸け橋になるべきだ」とした。
前原代表、米でシーレーン防衛拡大へ憲法改正を訴え(読売新聞)
前原代表、米でシーレーン防衛拡大へ憲法改正を訴え
【ワシントン=東武雄】民主党の前原代表は8日午後(日本時間9日早朝)、ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)で講演し、日本に食糧やエネルギーを運ぶシーレーンの防衛について、「死活的に重要で、米国に頼る(日本周辺の)1000カイリ以遠についても日本が責任を負うべきだ」と訴えた。
その上で、「これを可能にするには、憲法の改正と自衛隊による活動および能力の拡大が必要になるかもしれない」と述べ、シーレーン防衛拡大のための憲法改正に積極的な考えを示した。
これに関連し、前原氏はシーレーン防衛の範囲について、「中東から原油を運ぶシーレーンはマラッカ海峡からインド洋、ペルシャ湾まで通じている。多国間協力の枠組みを作り、その中で日本も役割を果たすことが現実的だ」と述べた。
さらに、<1>第三国からのミサイル発射<2>周辺事態――などで日本に直接危機が及ぶ可能性のある場合は、「現在は集団的自衛権の行使と認定され、(政府が)憲法上行えないとしている活動について、(行使できるように)憲法改正を認める方向で検討すべきだ。集団的自衛権の行使は、日本の主体的判断に基づいて行われるべきだ」と強調した。
また、中国の軍事力増強・近代化を「現実的脅威だ」とし、中国が東シナ海で進めるガス田開発に対しては、「毅然(きぜん)とした対応が重要だ。(中国が)既成事実を積み上げるなら、日本としては、係争地域での試掘を始めざるを得ない」と語った。
在日米軍再編問題に関しては、「(神奈川県のキャンプ座間に移転する)米陸軍新司令部の機能と目的は、『極東』とする日米安保条約の地理的範囲を超えている。日米安保を再定義する必要も含めて、十分な議論が必要だ」と述べた。(2005年12月9日10時56分 読売新聞)
前原民主党代表、憲法改正「与党としっかり議論したい」(日経新聞)
前原民主党代表、憲法改正「与党としっかり議論したい」
【ニューヨーク=中前博之】訪米中の前原誠司民主党代表は9日(日本時間10日)、ニューヨークで記者会見し、日本の憲法改正問題について「与党としっかり議論していきたい」と述べ、改正へ向けた自民党などとの議論に意欲を示した。同氏は「憲法を改正しなければならないと考える政党に与野党(の区別)はない」と発言。憲法改正については「野党の民主党も責務は負っている」と強調した。
憲法改正を巡っては小泉純一郎首相が9日に前原氏との連携に意欲を示したばかり。前原氏は8日のワシントンでの講演でも、憲法改正による限定的な集団的自衛権行使の容認を柱とする外交・安保政策を示している。
また、8日の講演で中国が脅威であるとの認識を示したことを巡り民主党内で異論が出ていることについて同氏は「日本にいる時と米国で話すことが違っては困る」と説明。日本国内で普段から発言していることを繰り返したにすぎないとの認識を示した。(NIKKEI NET 2005/12/09 11:15)
横路民主元副代表、前原外交ビジョン「党の方針に反する」(日経新聞)
横路民主元副代表、前原外交ビジョン「党の方針に反する」
民主党元副代表の横路孝弘衆院副議長は10日、北海道倶知安町で講演し、同党の前原誠司代表がワシントンで発表した外交ビジョンについて「民主党の方針に反するもので、非常に問題が多い」と強く批判した。
特にシーレーン(海上交通路)防衛拡大の必要性や中国を「現実的脅威」と指摘したことについて「日本の経済活動を軍事力で守っていく発想だ。アジアの中の日本が(周辺国との)友好を考えないでどうするのか」と強調。
同時に「カレーライスかライスカレーかというように、(自民党と)名前は違うが中身は何も変わらないということなら民主党は次の衆院選でも得票を減らして負けてしまう」との見方を示した。〔共同〕(NIKKEI NET 2005/12/10 15:20)
前原代表、中国のガス田開発けん制…唐国務委員と会談(読売新聞)
前原代表、中国のガス田開発けん制…唐国務委員と会談
【北京=東武雄】民主党の前原代表は11日、北京の釣魚台国賓館で、中国の唐家セン国務委員(前外相)と会談し、中国の東シナ海でのガス田開発について、「開発を停止しないのであれば、試掘を行うための国内法を整備しなければならない。与党が来年の通常国会でこうした法案を出せば、民主党との共同提案になる可能性もある」と述べた。(「セン」は王へんに「旋」)
自民党がガス田開発などにおける安全確保を目的とする法案を通常国会に提出した場合、民主党も同調する可能性を示すことで、中国のガス田開発をけん制したものだ。
これに対し、唐氏は「(これまでのガス田に関する日中政府間協議の)交渉の勢いを保ちつつ、適当な時期に次回協議を行う用意がある」と述べるにとどまった。
一方、唐氏は小泉首相の靖国神社参拝について、「日中関係は国交正常化以来、最も困難な状況にある。歴代の首相は(参拝見送りが)できていたのに、小泉首相はなぜできないのか」と改めて批判した。(2005年12月12日11時0分 読売新聞)
民主前原代表も中国から拒絶される
民主党の前原誠司代表の米中歴訪は13日、要望していた胡錦濤国家主席との会談が実現しないまま主要日程を終えた。
中国側は事前調整で同日午後に胡氏か曽慶紅副主席らトップクラスの要人会談を設定する方針を示していたが、直前になって「都合がつかない」と通告してきたとされ、前原氏が8日のワシントンでの講演で中国脅威論などをぶち上げたことに反発した可能性が高い。
前原氏は米中歴訪で、「アジア各国との良好な関係構築が日米同盟強化にもつながる」と強調し、「対米一辺倒」の小泉純一郎首相との違いをアピールする戦略だっただけに、前原外交のデビュー戦は空振りに終わった格好だ。
前原氏は12日の北京の外交学院での講演で、首相の「日米関係万能論」を批判し、「隣国との友好関係を築かずに世界の平和と安定に貢献しようと思っても夢物語に終わる」と強調した。
しかし聴衆の学生らからはワシントン講演で「中国の軍事力増強は現実的脅威」とした発言への真意をただす質問が続出。呉建民院長が「日本の軍事力も中国への脅威で、前原氏の論理はまったく成り立たない。冷戦時代の発想だ」と切り捨てると、会場から拍手がわく場面もあった。
米国で前原氏はイラク対応について「(米軍の)出口戦略が見えない」と指摘しつつ、自衛隊の派遣延長への反対を表明。しかしバーンズ国務次官に「イラクの政府がつくられようとしているときに邪魔をする政府は、責任ある政府に値しない」との言葉で、民主党の「政権担当能力」への疑問を提起されるなど、すれ違いも際立った。
前原氏は13日夜、北京市内で記者会見し、中国要人との会談見送りについて「靖国問題が解決しても、すべてがうまくいくわけでないことが明らかになった」と中国側の対応を批判。同時に「誰かに会うために自説を曲げることがあってはならない」とも強調した。[日刊スポーツ 2005/12/13/22:10]
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