構造計算書の偽造が問題になっていますが、再調査で耐震強度がどれぐらいあるか、結果に食い違いがあるという朝日新聞の記事。ちゃんと計算しても、耐震強度は47%から94%までまちまち。そもそも耐震強度の計算って、実はこんなに適当だったということ?
耐震強度、「どの調査信じれば?」 結果の食い違い多発(朝日新聞)
耐震強度、「どの調査信じれば?」 結果の食い違い多発
[asahi.com 2005年12月19日12時14分]自治体や民間検査機関が姉歯秀次元建築士(48)が構造計算書を偽造した建物の耐震強度を調べ直したところ、結果が大きく食い違うケースが生じている。調査手法が一律でないためだ。関係者の間では調査の信頼性をめぐり戸惑いの声も上がっている。
奈良県大和郡山市のビジネスホテル「サンホテル大和郡山」。奈良県は16日、耐震強度を調べ直したところ、基準の47%しかなかったことを明らかにした。震度5強の地震で倒壊の恐れがあるという。
このホテルについては、建築確認をした民間検査機関・日本ERI(東京都港区)が強度を再調査した際は基準の94%という結果が出た。建築主の総研ビー・エイチ企画(東京都千代田区)が設計者に依頼した再計算結果は63%だった。
3通りの計算結果が出た理由について奈良県建築課の担当者は「日本ERIや建築主とは、建物にかかる地震の力の解析方法に違いがあった」と説明する。
地震の時は建物にねじれるような力が働く。県の再計算では、この力を立体的に解析する手法を採ったが、日本ERIは縦、横方向だけで解析していたという。
下の階ほど大きくなる地震時の荷重の計算で、各階ごとの配分方法でも県と違いがあった。県は「日本ERIのやり方も違法ではないが、やや一般的ではない手法だったようだ」とする。
北九州市のホテル「アルクイン黒崎」でも食い違いがあった。建築確認をした日本ERIは11月30日、「構造計算書の偽造があった」と市に報告する一方、「建物自体の強度は基準を満たしている」と発表した。
しかしホテルの運営会社が構造計算の再計算をしたところ、耐震強度は87%だったという。市の実地調査の結果、耐震補強工事で対応できる見通し。営業再開を目指すホテル関係者は「振り回された」と話している。
日本ERIは奈良のホテルについて「県側の計算手法とは違うようだが、当社の計算が甘いとか正しくないということはない」と話している。
耐震基準に限らず、住宅の構造計算は統一のものさしがあるわけじゃないんです。
例えば、戸建に関していえば、木造、軽量鉄骨、重量鉄骨、2×4、パネル工法、スチール工法などなど、工法だけでもさまざまです。
こうしたさまざまな工法は工法別に基準が決められているので、一律に比較することはできません。木造で建築確認が下りる基準でもパネル工法では下りないということがあるのです。
建築確認ってそんなもので、それを民営化しちゃったもんだから、それこそ“ズブズブ”なんでしょうね。
こんなまちまちな結果になるから、武部幹事長がもくろむマンション全棟検査が胡散臭い話なのです。建て替えさせて儲けられる住人には、大丈夫なのに危険だ危険だと言い、建て替えさせる資力のない住人には、危ないのになんとか持ちこたえられると言う可能性は高いです。建築業界まゆつばです。