昨年11月の日米首脳会談で、小泉首相の靖国参拝問題が話し合われたにもかかわらず、日本政府が米側に要請して、公表を避けていたことが明らかに。
米政府が、この間、日本の対中関係悪化に不満を持っていることはもはや公然の事実。米政府に要請して一時的に問題を隠すことはできても、問題の根本的解決にはなりません。
「靖国」公表避ける 日本、首脳会談で米に要請
【ワシントン=有元隆志】米政府関係者は31日、2005年11月に京都で行われた日米首脳会談で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について話し合われたものの、日本側から米側に対し、記者会見などではこの問題に関する具体的な説明を控えるよう要請があったことを明らかにした。首相の靖国参拝に反対する韓国でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を控え、この問題がクローズアップされるのを避けようとしたものとみられる。
同筋によると、会談で大統領は具体的に靖国とは言わなかったものの、現在の日中関係について質問した。これに対し、首相は靖国参拝を続ける理由について、「心ならずも犠牲となった戦没者に哀悼を示すため」との従来の考えを改めて説明。大統領は耳を傾けていたという。
会談後、日本の外務省幹部は記者団からの「靖国については」との質問に対して、「『日中間にいくつかの問題はあるが』ということで首相が言われた部分はあるが、全体として、日中関係は経済をはじめ進展していると首相は説明した」と述べた。米側も、「首相は日中間にあるさまざまな問題について説明した」と説明するにとどまった。
米政府筋によると、大統領はこの場で首相の参拝に対し、とくに態度表明はしなかったという。ただ、日米首脳会談後の11月20日に行われた中国の胡錦濤国家主席との会談で大統領は、靖国参拝に反対する胡主席に対し、父親のブッシュ元大統領が戦争中、日本軍の攻撃で負傷したことなどを指摘。そのうえで、「自分は日本に対し、厳しい感情を抱くこともできたが、実際は、日本と良好な関係を築いている」などと述べ、未来志向の重要性を説き、胡主席に日本との対話を求めた。[産経新聞 1月1日5時2分更新]