経済学者の都留重人氏が死去。
高校生の時、経済学に興味を持って初めて読んだ本の1つが都留重人氏の『経済学はむずかしくない』(講談社現代新書、初版1964年、第2版1981年、現在絶版)だったと思います。他に伊東光晴『ケインズ』(岩波新書)などを読んで、こういう経済学を勉強しようと、母校の経済学部を受験しました。
でも、合格してみると、都留重人氏は学長を務めたあと退職されており、伊東光晴氏も他大学へゆかれていて、希望していたような経済学を講義する先生は誰もいない…。ということで、呆然としてしまったことを思い出します。
晩年は経済学だけでなく、日米安保体制、憲法問題など積極的に発言されていたのが印象的でした。
最初の経済財政白書を執筆、経済学者の都留重人氏死去(読売新聞)
最初の経済財政白書を執筆、経済学者の都留重人氏死去
[2006年2月7日22時14分 読売新聞]終戦の翌々年に第1回経済財政白書を執筆し、国際派の経済学者として活躍した一橋大名誉教授の都留重人(つる・しげと)氏が5日午前1時42分、呼吸不全のため死去した。
93歳だった。告別式は近親者で済ませた。しのぶ会を3月6日正午、東京都千代田区一ツ橋2の1の1の如水会館で行う。喪主は妻、正子(まさこ)さん。
東京都出身。1935年に米ハーバード大卒業後、同大講師を経て、42年帰国。戦後、内閣府の前身である経済安定本部で経済復興政策に携わり、47年には、最初の経済財政白書である「経済実相報告書」を執筆した。
48年に東京商科大(現・一橋大)教授となり、72年から75年まで一橋大学長を務めた。アメリカのマルクス経済学の発展に貢献したほか、独自の政治経済学の研究手法から、効率重視の資本主義社会に対する批判を展開した。58年に発表した論文「資本主義は変わったか」は国際的な反響を呼び、シュンペーターら著名学者との交流を通して、国際舞台で活躍した。
都留先生の死は日本の大きな損失です。
ああいう理性的で、深い批評を出来る人は今の論壇にはいないのではないでしょうか?