デンマークの新聞が、イスラム教の予言者ムハンマドの風刺画を掲載した問題について、ヨーロッパのメディアの立場を紹介する形で、「言論の自由」の問題だとする報道が目立っています。
しかし、数日前のテレビで紹介していたのですが、最初にムハンマドを風刺するマンガを書いた作者が「拒否すると、『言論の自己規制に加担するのか』と詰め寄られたので、仕方なく書いた」という趣旨の発言をしていることが紹介されていました(記憶モード。インターネットを検索した限りで、それに類するニュースソースは発見できていない)。
もしこれが本当だとすれば、そもそも問題の発端からして「言論の自由」といえるような問題でないことになります。いやがる画家に無理やり風刺画を描かせるのが「報道の自由」でないことは明らかだからです。
もしこれがヒトラーを美化する風刺画ならどうだったでしょうか? デンマークの新聞は、「ヒトラーを自由に論じる雰囲気が抑圧されている。言論の自己検閲を打破するために、この風刺画を掲載する」といって、ヒトラー賛美のイラストを掲載したでしょうか? いや、そもそもそんなこと考えもしなかったでしょう。
大使館への放火など、イスラム圏で起こっている事件には賛成できませんが、だからといって「言論の自由」の面からのみ、この問題を論じるやり方には“胡散臭さ”を感じざるをえません。
なお、この問題では、こちらのブログがヨーロッパの動きを詳しく紹介しています。
→小林恭子の英国メディア・ウオッチ
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