昨日の「朝日新聞」夕刊・文化欄で、免疫学者の多田富雄氏が、国立能楽堂で2月に上演された新作能「紅天女」の演劇評を書かれています。
「紅天女」は、漫画「ガラスの仮面」の二人のヒロインが主役を争う作中劇を能にしたもの。NHKのニュース番組でも数日前に紹介されていて、そこでは「分かりやすい」「親しみやすい」など好意的に取り上げられていましたが、この多田富雄氏の評は、なかなか手厳しい。
この新作能のメッセージは何だったのだろうか。アイ狂言の理屈っぽい重複した台詞に、地球環境問題とかいろいろあったが、言葉が空疎で訴えかけるものがなかった。
「能になりそうな題材」というだけで舞台を作るのでは志が低い。現代人に感銘を与える能をどう作るか。せっかく能の新しい観客が生まれる機会がこれではもったいない。
私はこの作品は見ていないし、「ガラスの仮面」も好きな作品ではありません。間狂言での台詞で地球環境問題云々のくだりは、テレビでも紹介されていましたが、梅の精とその木を切らねばならぬ仏師の悲恋というのが、なぜ地球環境問題になっていくのか、ちょっと強引だなぁと思いました。
さて、この作品の評価はどのように定まってゆくのでしょうか。