読売新聞が「小さな政府論」の再点検を開始

今日の「読売新聞」に「再点検 小さな政府論<1>」として、佐々木毅氏(東大前総長、21世紀臨調共同代表)と山崎正和氏(劇作家)の談話が載っています。

注目すべきは、1面に載ったこの企画の案内。企画の意図を次のように説明しています。

ライブドア事件や耐震強度偽装事件により、「官」の責任放棄や「民」の倫理低下など、「小さな政府論」がはらむ問題点が浮き彫りになってきた。小泉政権が唱える「官から民へ」の流れや、規制緩和も、行き過ぎが生じれば社会の秩序を揺るがしかねない。適正な「官」と「民」のあり方を有識者が再点検する。

ということで、あの読売新聞が小泉内閣の「小さな政府論」に批判的立場に転じ、再点検を開始したことは明らかです。

追記:
中の面での2人の談話につけられたリードが、また、この問題での読売新聞のスタンスを示していて、興味深いと思いました。

 「小さな政府論」が声高に叫ばれる中で、「官は非効率で悪」で「民は効率的で善」という固定的なイメージがはびこっている。そこには効率性とは別の次元で語られるはずの「公的役割を誰が担うのか」という視点が欠落している。

まあ、個人的には、佐々木毅氏が「『民』万能論や『民イコール善』という『民』性善説と混同されると、本来必要なルールの問題が見失われてしまう」「『官』と『民』の概念をきちんと整理しないと、まずい」「『官から民へ』が実現できれば、『安上がりな政府』ができると安易に考えるのは間違い」などと言われると、思わず“どの口がそんなことを言うのか?”と思ってしまいますが、まあそれはそれとして、とりあえずいま引用・紹介したことは、誰が言ったとしても、正しい問題を指摘していると思います。もちろん、僕は、「小さな政府」と「強い政府」の両立という佐々木氏の結論にはまったく賛成しませんが、まあ、あの佐々木氏でさえこういうようになった、というふうに読ませていただきました。(^_^;)

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