日フィル第578回定期演奏会 バルトーク:青ひげ公の城 他

知り合いにかなり強く頼まれ、今シーズンから久しぶりに日フィル定期にも通うことにしました。その1回目が木曜日(16日)。荒天のなかサントリーホールに行ってきました。

プログラムは以下の通り。

リスト:ピアノ協奏曲第2番 イ長調
— 休憩 —
バルトーク:オペラ《青ひげ公の城》(演奏会形式、原語上演、日本語字幕付)

    この日のメインは、バルトークのオペラ「青ひげ公の城」。

    家族の反対を押し切って、《青ひげ公》の城にやってきたユディット姫。かつての妻たちを殺したとの噂がある。城の中に入ったユディットは、閉ざされた部屋の扉を開けるように求める。第1の扉の向こうにあったのは拷問部屋。次の部屋には、血糊がついたままの兵器の数々。第3の部屋には宝石が満ちあふれていたが、そこにも宝石の陰から血が滴る……。

    ということで、ユディットは何でこんな奴と結婚する気になったんだろう、という根本的な疑問がわいてくるほど陰惨なストーリー。ソプラノとバリトンの掛け合いでドラマと音楽が進んでゆきます。

    しかし、座席が2階LA、ほとんど舞台の真横だったため、肝心のソリストの歌が良く聞こえません。しかも演奏会形式では、この作品の良さがなかなか伝わってこないのではと思いました。というのも、扉を開ける度に《青ひげ公》の“悲しみ”に直面させられるユディットの気持ちの揺れみたいなものがこのオペラの一番の見所だと思うのですが、演奏会形式だと、そういうえんぎができません。結局、字幕をちらちらと眺めながら陰惨なストーリーを追うだけで終わってしまい、まったくもって残念でした。バリトンのコヴァーチ・コロシュ氏の現代風の発声に比べ、ソプラノの渡辺美佐子さんはビブラートを効かせすぎ?で、オペラの内容とちょっとミスマッチかなという感じがしました。

    ただ演奏の方は、日フィル主席客演指揮者のルカーチ・エルヴィンだけのことはあって、“勝手知ったる”オケを巧みに操って、この難しい(名演奏をしてみたところで、盛り上がる曲じゃないので)曲をしっかり聞かせてくれました。

    1曲目もなかなかの好演でしたが、実はここんとこ数日のテンテコ舞いで、河村尚子さんの演奏を心地よく聴きながら、途中から爆睡してしまいました。(^_^;)

    それにしても、この入りの悪さはいったいなんだ! ちょっと馴染のないプログラムで、その上天気が悪かったからかも知れませんが、それにしてもお客さんは5割ほど。1階S席でも、舞台に向かって右側などはほとんど全部空席でした。センターも、前から3列目はほとんど空席というような状態で、ソリストの方に申し訳ないほど。こういうときは、途中休憩後、ある程度座席の移動を認めてもいいのではないでしょうか。力のこもった演奏に、終了後、お客さんからは大きな拍手が送られていただけに、主催者側にもうちょっと気の利いた対応を期待したいと思いました。

    ところで、それとは別に、またもや演奏中に鈴の音が何度となく響いていました。たぶん、財布か携帯かに鈴を付けて、それをバッグか何かに入れていたのが、何かの拍子にコロコロと鳴ったという感じで、1回だけなら、あまり咎め立てするほどでもないのかも知れませんが、本人がまったく気がついてないのか、2度、3度と鳴らせていたのには閉口しました。

    たとえば携帯ストラップに鈴をつけている人がよくいますが、満員電車の中でメールを打っていると、その間ずっと鈴がチャラチャラ鳴り続け、回りにはけっこううるさいものです。しかし、当の本人は、鈴の音にすっかり慣れてしまっているて全然気にならないし、うるさがられているということに気がつきもしないのです。なんにせよ、コンサート会場には、鈴のついた財布や携帯、バッグなどは持ち込まない。一番いいのはそういうものを持たずに来ること。もし、会場に持ってきてしまったのなら開演前にクロークに預ける。そういうマナーを守ってほしいと思います。

    【音楽会情報】指揮:ルカーチ・エルヴィン/ピアノ:河村尚子/ソプラノ:渡辺美佐子/バリトン:コヴァーチ・コロシュ/オルガン:長井浩美/コンサートマスター:木野雅之/演奏:日本フィルハーモニー交響楽団/サントリーホール/2006年3月16日 19:00開演

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