「東京新聞」19日付の世論調査によると、所得格差が「広がっている」「どちらかといえば広がっている」と感じる人が合計で87%を占めていることが明らかになりました。
表1 所得格差は広がっているか
広がっている | 43.4% |
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どちらかといえば広がっている | 43.6% |
どちらかといえば広がっていない | 6.2% |
広がっていない | 2.0% |
わからない・無回答 | 4.8% |
表2 広がっていると思う理由
アルバイトやパートで働く人が増えている | 42.7% |
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企業規模や業種での賃金の差が広がっている | 31.5% |
経済社会の仕組みが金持ちに有利になってきている | 30.5% |
注)「広がっている」「どちらかといえば広がっている」と回答した人への質問。2つまで回答、上位3つ。
「所得格差が拡大」87% 非正規雇用増で実感
[中日新聞 2006年3月19日朝刊]所得の格差が「広がっている」「どちらかといえば広がっている」と感じる人が、合計で87%を占めていることが、本社加盟の日本世論調査会が四、五の両日に実施した全国面接世論調査で分かった。国民の大多数が格差の拡大を実感していることが明確になり、政府は実態の把握や政策対応を迫られそうだ。
◆全国世論調査 「景気回復」は61%
格差拡大の理由(複数回答)では「アルバイトやパートなどで働く人が増えている」が43%と、正社員より給与水準が低い非正規雇用の増加を挙げた回答が最多。次いで「企業規模や業種による賃金の差が広がっている」(32%)、「経済社会の仕組みが金持ちに有利」(31%)などが多かった。
所得格差が「広がっていない」「どちらかといえば広がっていない」の合計は8%。理由(同)としては「能力や労働の成果による賃金の差は広がっていない」が38%と最も多かった。
景気の現状については「良くなっている」「どちらかといえば良くなっている」の合計は61%。一年前の調査より21ポイント増えた。「悪くなっている」「どちらかといえば悪くなっている」は計35%と、景況感がほぼ二分された一年前とは状況が大幅に変化。景気回復感の広がりが確認された。
景気が良くなっているとみる理由(同)では「消費の回復」を挙げた人が52%と最も多かった。「株価の回復」(33%)、「失業者の減少」(26%)がこれに続き、所得や雇用環境の改善を裏付けた。
ただ、景気が悪化しているとみる理由(同)では「給料やボーナスなど収入の減少」が44%と最多。「消費が回復していない」(42%)とする人も多く、景気回復の恩恵を十分に享受できない人が依然多いことをうかがわせた。
今後の政策論議の焦点になることが確実な消費税率の引き上げについては「反対」「どちらかといえば反対」の合計は70%に上った。反対の割合は一年前(72%)とほぼ同じで、国民の間の根強い抵抗感を示した。「賛成」「どちらかといえば賛成」は28%だった。
反対の理由(同)では「食料品、日用品などが消費税から除外されていない」(50%)が最も多かった。◆30、40代では90%超に
所得の格差について「広がっている」「どちらかといえば広がっている」と回答したのは、自民党支持層で87%、公明党支持層では86%と、与党の支持層でも高い数値となった。小泉純一郎内閣の支持層、不支持層を比べてもほとんど差がなく、格差拡大の実感がこのように層を超えて広がっている実態を示した。
所得格差の広がりを感じている人の割合を年代別に見ると、最も高かったのは三十代の93%で、特に男性は94%に達した。四十代(91%)も90%を超えた一方で、格差を実感しにくいとみられる二十代が84%とやや低かった。
二十代に限ると、男性は89%が格差拡大を感じていると答えたが、女性は79%と10ポイントの差がつき、意識の違いがうかがえた。<調査の方法> 調査は層化二段無作為抽出法により、1億人余の有権者の縮図となるように全国250地点から20歳以上の男女3000人を調査対象者に選び、4、5の両日、調査員がそれぞれ直接面接して答えてもらった。転居、旅行などで会えなかった人を除き1810人から回答を得た。回収率は60.3%で、回答者の内訳は男性48.0%、女性52.0%だった。