日本歯科医師連盟の1億円ヤミ献金事件で、東京地裁は、政治資金規正法違反(不記載)に問われた村岡元官房長官に無罪判決を下しました。
もちろん、これは1億円のヤミ献金がなかったということではありません。政治資金収支報告書に記載しないという指示を、村岡元官房長官が出したという検察の主張が認められなかったというだけです。
判決は、2001年7月に都内の料亭で日歯連側から1億円の小切手が提供されたこと、その席に、橋本龍太郎元首相、青木幹雄・参議院会長、野中広務・元幹事長らが同席していたことなどを認定。「1億円は橋本元首相個人に対する献金だった可能性があり、01年7月に小切手を受け取った当初から、不記載は、既定の方針だった可能性がある」とも言及しています。
村岡元官房長官に無罪判決…1億円ヤミ献金事件
[2006年3月31日0時10分 読売新聞]無罪判決を受け、会見する村岡元官房長官 日本歯科医師会(日歯)側から自民党旧橋本派への1億円ヤミ献金事件で、政治資金規正法違反(不記載)の罪に問われた村岡兼造元官房長官(74)の判決が30日、東京地裁であり、川口政明裁判長は無罪(求刑・禁固1年)を言い渡した。
村岡被告が不記載を決めたとする同派政治団体「平成研究会」(平成研)の滝川俊行・元会計責任者(57)(有罪確定)の証言について、川口裁判長は「不自然で到底信用できない」と述べた。
国会議員経験者の無罪判決は、リクルート事件で受託収賄罪に問われた藤波孝生元官房長官に対する1994年の東京地裁判決(最高裁で有罪確定)以来。
判決は、2001年7月、東京都内の料亭で日歯側から1億円の小切手が提供された際、橋本竜太郎元首相(68)、青木幹雄・自民党参院議員会長(71)、野中広務・元同党幹事長(80)が同席していたことや、翌年、滝川元責任者が1億円を記載しない収支報告書を総務相に提出したことを認定した。
その上で、村岡被告と滝川元責任者の共謀が成立するかどうかを検討。検察側立証の柱で、「村岡被告が02年3月13日の派閥幹部会で、1億円の領収書を発行しないとの意見をとりまとめた」とした滝川元責任者の証言について、「無視できない変遷が見られ、虚偽を述べている可能性がある」と、信用性を否定した。