教育評論家の尾木直樹さんの新刊『思春期の危機をどう見るか』(岩波新書)について。教育問題についていろいろ論じられていますが、インターネットの普及が思春期の子どもたちの人格形成にどういう影響を与えるのか、本格的に研究する必要があると強調されているので、そのことに限って、紹介しておきたいと思います。
尾木さんは、「思春期の危機がなぜ深刻化するのか」「成長への条件を奪われる現代の思春期」と論を進めたうえで、「時代を生きる力――新たな2つの課題」の1つとして、「ネット教育の確立」が急がれると提起しています。
メールやネットの問題には2つの側面があると氏は指摘。1つは、出会い系サイトやフィッシング、振り込め詐欺、ネットオークションなどに絡む直接的なトラブルで、子どもたちがその被害者・加害者にならないようにするという課題。もう1つは、「メールやネットに遺存することによって、子どもたちの成長にどのような影響を与えているのか」という問題です(131ページ)。
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